アコギに2つのピックアップ(PU)を付けて出力をブレンドすることが、最近のマイブームです。コンデンサマイク(ECMエレメント)も選択肢の一つですが、ハウリングはともかくとして、ボディの直接振動を拾わないようにする固定法(ショック・マウント)がイマイチ決まりません。結局、甘いトーンの「マグネティックPU」(サウンドホール)と硬い目の音の「ピエゾPU」(アンダーサドル)をブレンドすることに落ち着いています。ハウリングに強いだけでなく、高さ可変のできるポールピース付きのマグネPUをメインにすることで、「弦間の音量差*」の補正がやり易くなることも大きなメリットです。安価なPUでも効果はあるので、廉価ギターに仕込むのにも気が楽です。(* ピエゾPUのみで弦ごとの音量差が出る場合は、対処法が分かりません。)

 今回、腰に吊り下げるような「PUブレンド用小型プリアンプ」を作成したくて、いろいろ考えました。結局下記の回路に落ち着きました。基本は、良く使う 3V駆動回路なので、安定に作動しています。

( 追記 : 現在、入力の MIX(ブレンド)用 1MΩB の可変抵抗は、500kΩにしてあります。中立付近で使うことが多いので、出力向上とハイ落ち防止を図ってのことですが、まあ効果は「気の持ちよう」ですかね:笑 )

 アコギにステレオ(2ch)のエンドピンジャックを付けて、TIPにマグネPU、RINGにピエゾPUを出力します**。ステレオ シールド ケーブルを用い、プリアンプに繋ぎます。プリアンプの初段の前にB 1MΩ(→ 500kΩに変更)の可変抵抗を置いて、2つのPUからの音をブレンドしています***。これまで試した例では両PUの出力差があまりなかったためか、「ブレンド感」/「切り替え感」はちゃんと出ています。理屈上、0%/100%にはなっていないはずですが。(** 普通のシールド ケーブル(モノラル)を使えば、マグネティックPU出力だけが取り出せます。 *** オペアンプの入力容量は数pFと推定されます。仮に10pFあったとして 1MΩの入力抵抗とCRのLPFを組んだとしても、f-cuttoff = 15.9kHzなので、実質的な可聴高域のカットは少ないと考えられます。モニタを通して聴いても、明確なハイカットは感じられません。) 

 

 作成はしてないのですが、本当はPUごとにボルテージフォロワを置いて、加算回路でブレンドするのが良いのでしょう(下図)。0%~100% のブレンドも可能です。この後ろに Baxandall型トーンコントロールを置けば、さらに良いと思います。

 

 今回、アコギ内で固定抵抗でブレンドしてから、モノラル ケーブルで引き出すことにもトライしてみました。ブレンド比は固定になりますが、一般的なプリアンプやDIボックスに通常のシールドで繋げられるメリットがあります。

 音を聴いたところそんなに悪くはなかったのですが、CRローパスフィルタの計算をしてみると、R = 100kΩ、C = 200pF でカットオフ f = 8kHz となってしまいます。カットオフが10kHz以下と言うのは厳しいところです。シールド ケーブルの静電容量は、手持ちの 1m のものの実測で 200pFでした。シールドを延ばすともっと「ハイカット」になるでしょう。

 対策としては簡単なプリアンプをアコギ内に置けばよいのですが、ギターが増えるたびに内蔵プリアンプを作るのも、何だかなぁです。また、シールドをうんと短くしてプリアンプを繋げても良いのですが、それなら最上段に示した回路とあまり変わらなくなるので、今回はこちらは不採用としました。

 

関連記事

● ピエゾPU + マグネPU ブレンドプリアンプ 2019-12-27

● PUブレンドに使えるミニミキサー 2020-01-13