さ、せっかく初詣に来たしおみくじでも引いていくか。
あれ?このおみくじどう考えても一本しかくじが入ってなさそうなんだけど・・・。
18番か。
「すいません、18番なんですけど」
「はい、18番は中吉ですね。」
人が少ない神社なので、神主さん自らが対応してくれた。
「あの・・・このおみくじどう考えても1本しか入ってないですよね?」
「よくわかりましたね。」
「いや、わかるでしょう。すっからかんですもん。じゃあ引く人が全員18番なんじゃないですか?」
「その通りです。よくわかりましたね。」
「いや、わかるでしょう。ということは全員中吉なんじゃ?」
「よくわかりましたね。」
「いや、わかるでしょう。それってめちゃくちゃ手抜きじゃないですか。」
「いいえ。全く手抜きではありませんよ。だって全員中吉なんですから。」
「いやいや、大吉とか吉とか凶とか、色々あってのおみくじでしょう。」
「ゲームとしてはそれも面白いかもしれませんけどね、本当に運を知りたいのであればこれほど正確なおみくじはありません。」
「どういうことですか?」
「そもそもツイてるとかツイてない、運がいいとか悪いというものはないのです。全員が全員、常に100%の想いが叶っているのです。そういう意味で全員が平等、中吉だということなのです。」
「中吉だと何だかあんまりよくないようなイメージもありますけど。」
「そんなことはありません。全員が大吉と言ってもいいでしょう。ツイてる、ツイてないでいえば、ツキまくりです。あなたが人生のすべてをクリエイトしていけるのですから。そこに気付いているか、気付いていないかの違いです。現実を自分の想いの結果として捉えることができる人は、その結果を見て自分の想いに気付き、どんどん変えていくことができます。一方、現実というものが自分とは全く無関係に繰り広げられていて、何が起こるか分からないものだと信じている人は、いつまでたっても自分以外のものに左右され続けてしまうのです。」
「でも、事故や病気なんかは明らかにツイてないように思うのですが・・・」
「人生であなた自身が許可をしていないことが起こる事はありません。それに事故や病気が悪いことだというのは一方的な見方です。それによって滞ったエネルギーや不必要なものを一気に解放しているということもいえます。」
「厄落としみないなものですか?」
「そういう見方もできますね。」
「なるほどね・・・。あ、そういえば僕今年厄年なんですよ。厄払いしてもらえますか?」
「わかりました。では、目を閉じてください。」
「え、いきなり?は、はい・・・」
「そして自分にこう言い聞かせます。厄年なんかない。」
「いやいや、ちょっと待ってください!ちゃんとお払いやってくださいよ。」
「必要ありません。厄年なんてないのですから。あなたがあると思えばあります。ないと思えばありません。言ったでしょう?あなたがすべて創っていると。本当に人生はシンプルなんですよ。」
「そんな・・・。じゃあせめて御守りをください。」
「ありません。」
「え?ないんですか?」
「ありません。常にあなたは100%守られています。御守りなど持たなくても大丈夫です。」
「そ、そうなんですか・・・。わかりました。」
まったく変な神主さんだった。
でも、何だか真理をついているような気がした。
人生はすべて自分が創っていて、自分が一番パワフルだということ。
そしてそのパワーはすべての人に平等に与えられていて、実は誰もがいつもツキまくりの人生なのだということ。
厄払いも御守りも必要ない。
厄なんてない、いつも100%の愛で守られている。それに気付いている人が人生を想い通りに創っていける、まさに人生をマスターできるに違いない。
家に帰ると母がある広告を持ってきた。
「ねえねえ、こんなの見つけたんだけどどう思う?」
「ん?開運ペンダント?いらないいらない。母さんね、こんなもの付けなくったって俺たちはいつだって開運されてるんだよ。逆にこれを持とうってことは、自分には人生をクリエイトする力がないって証明するようなもんなんだからさ。」
「そんなものなのかねぇ・・・じゃあこの一攫千金を手にしたというこの男の人も嘘なのかい?」
「きっとヤラセじゃない?ほんと嘘くさいんだよねぇこういう写真って。どれどれちょっと見せてよ。あ・・・!」
「どうしたの?」
「い、いや・・・」
僕は言葉を失った。
そこに写っていた男性は、
そう懇々と僕に説いていた
あの野郎・・・。
僕はその日から、自分だけを信じていこうと決めた。
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一番のパワースポットは、あなた自身の中にあります!
今年も宜しくお願いします!