ライオン丸のライバル達 タイガージョーJr.(その9)弱虫、臆病者!(その7) | 無敵動画堂高田のブログ

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無敵動画堂 というサークルで、アマチュアアニメを製作している者が、アニメや特撮について語ります。

 ↓風雲ライオン丸 第11話より

 

 第11話「生きていたタイガージョー!」

 

  いやもうね、この回については書きたいことが山のようにあるのですよ。

 

 

 どうやったらこれだけの要素を1本に詰め込む事が出来るのかと驚かざるを得ない 恐ろしく密度の高い1本であると同時に……、残念ながら、褒める点ばかりではなく、やや苦言を呈したくなる点もあるのが、この第11話です。

 

 まず、第11話自体の問題ではなく、

風雲ライオン丸という番組のシリーズ構成上の問題

 とにかく1週でも早くこの第11話を放送し、路線変更をアピールしたかったという事がはっきりと感じ取られます。

 素人目に見ても、続く第12話は製作順としては第11話より先に作られており、完全に作風が路線変更前のままだと分かります

 さすがにお蔵入りにするというわけにもいかず、第12話として放送するしかなかったのでしょうが……。

 

 折角「編み笠姿から戦闘時には剣道家スタイルになる、多彩な技と武器を備えた凄腕人斬り魔」というとんでもないキャラを登場させる事で、「何度も西部劇の影響を受けたガンマン怪人が出てくる」番組イメージからの脱却を図ったのに、第12話に登場する怪人は、また「ガンマン怪人」なのです

 

 折角、華々しくカッコ良くタイガージョーを作品に復帰させたのに、第12話には未登場なのです。

 

 折角、きちんとストーリーに絡めて理由を付けて兜を脱いでたてがみを見せるスタイルにライオン丸のデザインを変更したのに、第12話ではまた兜を被ったスタイルに戻ってしまうのです。

 特にこの「兜」を巡っての混乱は大きく、第13話でまた脱ぐことになるのですが、下手に第11話でしっかりと脱ぐエピソードをやってしまったためか、第13話ではなんだか本筋に関係ないもの凄くとってつけたような理由で脱いでしまうんですよね……

(おそらく、第13話も本来は「路線変更前」に脚本の大筋は出来上がっていたものに、「路線変更後」の要素を加えて改変したものではないかと思われます)

 

 

 そして、シリーズ構成上の問題ではありませんが、とにかく1週でも早く、という形でこの第11話を放送してしまった弊害……。

 タイガージョーのコスチュームが「快傑~」の流用で傷みが激しいんですよね。

 復帰決定から撮影日までが急で、メンテナンスの時間が十分に取れなかったのでしょう。

 

 ↓風雲ライオン丸 第11話より

 

 全体的に色落ちもしているし、ゴースンサンダーにやられたということで「快傑~」の撮影ラストでこのマスクは左目周りが焦がされており、目だけ再塗装したのか(?)表情に凄味があり過ぎる

 後にコスチュームは完全新調されるのですが、今度は毛がふさふさで、変わり過ぎ(笑)の感もあり、う~む……。

 

 ↓風雲ライオン丸 第25話より

  新調された後期版タイガージョーJr.

 

 そして何と言っても、これだけの内容を第11話1エピソードに詰め込んでしまったことにより発生した弊害

 詰め込んである上に、描写がいい加減ではなく丁寧であることは驚嘆に値するのですが、それはそれ。

 ブラックジャガー=豹馬がAパートで死んでしまうというのは、やはり印象が悪すぎます。

 実際に作品を観れば、決していい加減な描かれ方ではないというのは分かりますが、それでも「死ぬエピソードにすら1話全体を費やしてもらえず、Aパートだけで死んだ」というのは「事実」であり、その事実から受ける「視聴者の印象」はどんなに丁寧に演出されていたとしてもリカバー不能なレベルで「不人気キャラの末路」という印象を決定づけてしまったのではないかと思います。

 

 また、錠之助が獅子丸を叱咤する「弱虫」という言葉と、ブラックジャガーの死の原因が全然結びついていないという齟齬も生じてしまいました。

 ブラックジャガーの敗因は、むしろもっと豹馬は臆病であるべきところ、その勇猛さ故、果敢にも、無謀にも、ザグロに戦いを挑んだことにありました。

 ところが、ライオン丸が兜を脱ぐというイベントに結論を持って行くため、錠之助はかなり早い段階から獅子丸を「通り魔の剣を恐れている臆病者」呼ばわりします。

 流れとして無理があるのです。

 今回だけのストーリーの流れを自然にするためには、

 

 豹馬は、無謀にもザグロに戦いを挑んだものの、その凄腕に恐れを抱いてしまい、それが技を鈍らせる結果となり破れた。

 獅子丸もまた、豹馬の死を目の当たりにし、敵に恐れを抱いてしまい、技が鈍って本来きちんと相手の技を受けていれば割られるはずのない兜まで割られてしまい、敗北した。

 

 という段階を踏んで、錠之助に叱咤されるという流れにしなければならないでしょう。

 そうしていないから、錠之助の「弱虫! 臆病者!」という獅子丸への𠮟咤は無理がある理屈にしか見えないんですね。

 でも、これまで豹馬というキャラクターを育ててきたスタッフとしては「今回の流れを自然にする為」なんていう理由で、豹馬の無鉄砲なキャラクターを変えてしまう事なんて出来なかったのでしょう。

 

 せめてこれが前後編として作られていたならば……

・前編で豹馬の死をクライマックスバトルに持ってきて

・獅子丸はそこに駆け付けるものの間に合わず

・ロケットは壊れたままなので変身すら出来ず、獅子丸のままザグロと戦うことになり

・そこで圧倒されてザグロに怯えを抱くようになってしまう

・絶体絶命の危機を救ったのはタイガージョー

・が、タイガージョーも獅子丸を庇いながらの戦闘で、ザグロは取り逃してしまう

で、前編終了。

・第12話は、普通に流す。(特に矛盾は発生しない)

・後編は第13話として、11話Bパートと同じ流れのもの

でいけば、流れも自然になったし、大分各キャラの印象も良くなったかと思うのですが。

 むしろ、実際の第13話で兜を脱ぐ流れより自然に思えますが。

 

 とにかく、この時は早く路線変更をアピールしなければ、ということで、ライオン丸がたてがみを見せるというのを第11話で見せなければ!っていう意識が前面に出てしまったのでしょうね。

 

 こんな感じで、とにかく第11話というのは 風雲ライオン丸の良い部分も悪い部分もギュッっと凝縮された最重要エピソードと言えるのではないでしょうか。 

 

 

 ↓風雲ライオン丸

 

 

 

 

 おまけ

 昔作ったやつ。

 ブログの内容とは、全く関係がありません。

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