「未明の砦」の感想が書けない。先に吐き出しておくべきことがある | 無敵動画堂高田のブログ

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無敵動画堂 というサークルで、アマチュアアニメを製作している者が、アニメや特撮について語ります。

 太田愛さんの小説「未明の砦」について……。

 

 太田愛さんといったら、まぁ、このブログを見るような方々には説明不要でしょうが……。

 ウルトラマンティガでデビューして以降、ダイナ、ガイア、平成セブン、コスモス、Q dark fantasy、ネクサス、マックス、メビウス、SEVEN Xと、ウルトラシリーズで活躍。 アニメでは、∀ガンダム、犬夜叉 など。

 刑事ドラマ:相棒シリーズの脚本は高い評価を得、スペシャル版や劇場版の脚本にも抜擢され、一般的には、太田愛=相棒の脚本家だと思われます

 

    ↓未明の砦

 

 

 発売後即購入し、そこそこ時間をかけてですがとっくに読了しております。

 読み終えて、たまらなく何かがこみ上げてくるのが、止められらない

 で、早速感想をブログに書こう……とする意思はあったのですけれど、これが、できなかったんですね。

 書けなかったんです。

 時間的な問題? いえ、そういう事ではなく。

 感情を揺さぶられ過ぎて、まともな感想を書けない状態に陥ってしまったんです。

 理由は、この小説が取り扱ったテーマにあります。

 

  労働問題

 

 私個人のことを話しますが、以前勤めていた会社で、何年にも渡り再三給与支払い遅延をされまして。

 未払い給与の総額は、100万や200万どころじゃありません。 500万どころですらありません。 まぁ、1000万には届きませんでしたが。

 さして裕福でもない勤め人で、会社からの給料がこれだけ支払われないというのは、生活の破綻を意味します。

 で、労働基準監督署や弁護士に相談して、未払い給与支払いを求めて社長と戦った事があります。

 結果、負けました。

 いやもちろん、主張としては全面的にこちらの言い分が認められ、債権者集会みたいなものも裁判所で開かれたのですが……。

 社長は会社をつぶし、お金はありません、払いたくても払えません、という手段を取ったんですね。

 いやお金はあなたや会社の口座にはないけれど、本当は〇〇のところに以前から流していたでしょ、と。

 で、弁護士にも「〇〇の口座を調べてくれ」と頼んだのですが、「そこまではできない」と言われてしまって。

 犯罪にだってあるように給与支払いについても「時効」というものがあり……。

 結局、社長には逃げ切られてしまいました。

 定期的に手続きをすれば時効は伸ばせるのですが、根負けした形です。

 金額を考えれば、「根負け!? よく諦められるな」と思われるかもしれませんが……。

 争い続けるためには、人間、莫大なエネルギーを必要とするんですよ。

 社長の側からは、様々な嫌がらせをされますし。

 

 この頃のことは、もう、嫌な思い出ばかりで。

 結構怖い目にもあいました。

 あんまり具体的なエピソードを書くと、人物特定されてまた何か嫌がらせをされたりするかもしれない、という恐怖心があるので書けませんが、忘れたくても忘れられない、思い出したくないのに時折思い出してしまう、嫌な記憶がてんこ盛りです。

 

 で、「未明の砦」を読んでいるとですねぇ、どうしても当時の事が頭をよぎるんですよ。

 

 さぁ、感想を書くぞ、となっても、つい上述の通り「私個人のことを話しますが」が始まってしまい、話題が脱線していく。

 しかも結構具体的なエピソードを長々と書いてしまったりして「……何を書いとるんじゃ、私は。こんなの書いて特定されたらどうすんだ。そもそもこれ、私の体験談であって、全然小説の感想文になってないし」と、全消し。

 これが何度も繰り返される破目に

 

 なお、この小説では私のような「途中で戦うことをやめてしまった者」に対しても厳しめの視点が入っているような気がして、読んでいて結構心がえぐられる

 その為、単に当時の事を「思い出す」にとどまらず、「なぜ途中で戦うことをやめてしまった?」「あの時もうちょっと考えて戦っていれば、結果は違ったのでは?」という後悔にまでさいなまれるのです。

 

 こんな調子で、全然感想が書けない状態が続いているわけです

 

 

 ……もしかして、結構辛い読書体験でしたか? って

 いや、そういう側面がなかったわけではないけれど、圧倒的に「読んで良かった」と思える読書体験でした

 

 骨太の社会派作品であると同時に、

 抜群に面白い娯楽作であり、

 落涙必死の感動作でもあるのです。

 

 できれば、一人でも多くの人にお勧めしたい……いやそれ以前に「読んで良かった!」という気持ちをきちんと記しておきたい。 だからちゃんと感想は書いておきたい。

 

 そんなわけで、いずれ落ち着いたら感想は書きますが、その際には「労働問題」の部分には触れず、娯楽作としての面から見てのみの感想にするつもりです。

 で、書くのがそういう(テーマの部分には触れない)感想を想定しているにもかかわらず、準備として、今回ブログに書いたことを一度吐き出しておくというプロセスを経る事が、私的には必要だったのです。

 そのくらい、あの戦いの記憶は、私の心に溜まったどす黒い澱みみたいなものです。

 

 小説自体は抜群に面白く、読み応えもたっぷり。

 ぜひ、未読の方はお手に取っていただければと思います。

 

 

 おまけ

 昔作ったやつ。

 ブログの内容とは、全く関係がありません。

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