風雲ライオン丸 第14話 「父のかたき ライオン丸」
↓風雲ライオン丸
(前回の続き)
ライオン丸「許せない……絶対に許さん~ッ!!」
ライオン丸、怒りの咆哮!!
ここから、主題歌でもガンガンかけてライオン丸怒りの大逆襲をカッコ良く描けば、
それはそれでもの凄く燃えると思うのですよ。
なんと言うか、もう十分にハードなエピソードとして、やることはやった感がある。
ここから先はヒーロー物として普通に盛り上げて作っても、もう、充分に「最大級の悲劇的エピソード」として、後々マニアの間で語り継がれるエピソードであろう。
ところが、このエピソードは、それすら許さない。
徹頭徹尾、悲劇のエピソードなのだ。
クライマックスの戦闘シーンは、ただただ、怒りに身を任せ、がむしゃらに敵を斬り殺し、怪人にぶつかっていくライオン丸の姿を映し出すのだ。
それは敵とくんずほぐれつ地面を転がりまわったり、無様に倒れたりといった姿であり、いつもの華麗な剣技ではない。
ハッキリ言って、カッコ悪い、実に無様な姿なのだ。
しかしそれが、むき出しのヒーローの怒りの姿として、
観ている者の胸をうつ。
BGMは、主題歌や、それに類するカッコいい曲ではなく、
寂寥感漂うハーモニカのメロディー。
アクションを盛り上げるための細かなカット割りによる演出すらも拒否。
さすがに「全くのカット割りなし」ではないが、
いくつかの長回しのロングショットで構成されるシーンになっている。
1カット目は約18秒。
2カット目は約25秒。
その後ちょっとだけ細かいカット割りが入り、
4カット目は約35秒……。
ライオン丸は、必殺技として「ライオン風返し」という技を持っており、ほぼ毎回それを使用するのだが、今回はそれも無し。
どころか、怪人キツネバともつれ合っている内に断崖の淵へとたどり着くと、刀をキツネバの肩へ突き刺す。「おのれ! おのれ~!」と、叫びながら。
さらに、キツネバを崖下へ蹴り落して殺す。
……最初に書いたけれど、今回のクライマックス、主題歌でもガンガンかけてライオン丸怒りの大逆襲をカッコ良く描き、燃えるシーンとして演出することもできた筈。
でも、あえてそれもしない。
このクライマックスシーンでは、全然燃えない。
ただただ、悲しさと空しさがこみ上げてくる。
もういい……もういいよ。
悲しすぎるよ。 可哀そうすぎるよ。
涙が止まらなくて、画面がまともに見えないよ。
……ラストシーン、さらなる衝撃が視聴者を襲う。
(つづく)