……ごめんなさい、ライオン丸の話、続けちゃいます。
ヒットした作品の後継企画は、当たり前ですが
「前作のヒットしたポイントを踏まえつつ」 「前作より派手で豪華」
なラインを目指すわけです。
快傑ライオン丸のヒットしたポイントを列挙していくと……
1・変身ヒーロー物ブームで乱立期の中、時代劇という作品個性があった
2・獅子の顔を持つ剣士という数ある変身ヒーロー物の中でも一際異彩を放つ個性
3・主人公の獅子丸(演:潮哲也)が、カッコいい
4・主人公、ヒロイン、少年という3人のレギュラーの道中記の毎回のストーリーの面白さ
5・忍法獅子変化 という、変身シーンのカッコ良さ
6・敵の本拠:ゴースン島を探す~果心覚書に記された者達を訪ねて回る~等、何話かおきに、縦糸を用意する、連続物としてのストーリーの面白さの重視
7・虎錠之介=タイガージョー という本格的なライバルキャラクターの魅力
8・毎回の悪役となる怪人=ゴースン魔人を 人間と同じ「心」を持つ者として描写し、魅力的なドラマを数多く生み出した
こんなところでしょうか。
で、「風雲~」は、ちゃんと上記ポイントを踏まえつつ、作られているのですが……。
なぜか、殆どの要素で、外した、とされています。
なぜ「風雲~」は失敗してしまったのか? は、 ライオン丸を知っている人の間では、もう散々語fられてきていて……最早数々の失敗原因の数々が「定説」と化している感もあるのです。
で、個人的には、それらの「定説」に納得できる部分も、首をかしげたくなる説もあるわけで……。
ライオン丸をすでに知っている人には完全に既知の情報で、ライオン丸を知らない人にはそもそも興味が湧かない話でしょうが、いかに「定説」を含め、「風雲~」での上記ポイントのアレンジ具合について記しておきます。
1・変身ヒーロー物ブームで乱立期の中、時代劇という作品個性があった
→ 踏襲。 同じく時代劇。 さらに西部劇の要素も加味。
→(定説) 時代劇 + 西部劇 は、違和感があり、奇異。
→(私の個人的見解) そう? カッコいいと思うのですが。
2・獅子の顔を持つ剣士という数ある変身ヒーロー物の中でも一際異彩を放つ個性
→ 獅子の顔は踏襲。 更にカッコ良くするために黒い兜をかぶせたデザインに。
→(定説) 兜の為にたてがみが見えず、雌ライオンみたいに見えた。
→(私の個人的見解) 定説に賛成。てか、大賛成。
3・主人公の獅子丸(演:潮哲也)が、カッコいい
→ 踏襲。主人公は前作とは設定上別人だが、名は獅子丸で、役者も潮哲也さんが続投。
→(定説) 潮哲也さんが続投 は良かったのだが、役者も名前も同じで別人の設定なのは、
前作との関係が不明瞭で子供が混乱した。
→(私の個人的見解) 前作との関係が不明瞭、というのには賛成。
でも、そんなに子供達が混乱したとも思えない。
4・主人公、ヒロイン、少年という3人のレギュラーの道中記の毎回のストーリーの面白さ
→ 踏襲。 そして、主人公は兄の仇をうつため一人旅で、ヒロインと少年(ヒロインの弟)は、
行方知らずの父を探すための旅、と別の目的を持たせ、より縦糸のドラマを面白く。
→(定説)別の目的で旅をしているのにほぼ毎回、旅先でなぜか出会う不自然なストーリー。
→(私の個人的見解) 賛成。 不自然。
5・忍法獅子変化 という、変身シーンのカッコ良さ
→ ロケット変身という、ポーズをとった後、空に飛んで行って変身するという
個性的かつ派手なシーンにパワーアップ
→(定説) 突飛すぎ。 空に飛んでいくなんて、子供達がごっこ遊びでまねできない。
→(私の個人的見解) 半分賛成。 突飛すぎるとは思う。でも、ごっこ遊びで空を飛んでいくのは
再現不能でも、そこは子供達の想像力で補完できると思う。
6・敵の本拠:ゴースン島を探す~果心覚書に記された者達を訪ねて回る~等、何話かおきに、縦糸を用意するなど、連続物としてのストーリーの面白さの重視
→ 行方不明の父を探す、敵の秘密を秘めた4つのアイテムを探す、等、縦糸は重視された。
→(定説) 各回のストーリーの印象に比べ、縦糸は印象が薄い。
→(私の個人的見解) 賛成。 あまり縦糸が番組を牽引する魅力を放っていないと思う。
7・虎錠之介=タイガージョー という本格的なライバルキャラクターの魅力
→ 黒影豹馬=ブラックジャガーというライバルを初期から登場させる。
が、タイガージョー程の人気が得られなかったため、
11話で死亡させ、タイガージョーを復活させる。
→(定説) タイガージョー程の人気が得られなかったのは、残念というか、やや可哀相。
→(私の個人的見解) 賛成。 何も早々に殺さなくても……と思うが、
後半の復活したタイガージョーはとても魅力的なので、何とも判断に困る。
8・毎回の悪役となる怪人=ゴースン魔人を 人間と同じ「心」を持つ者として描写し、魅力的なドラマを数多く生み出した
→ より魅力的で深いドラマを追求。 怪人ではなく、人間のドラマを、より深化させた。
→(定説) 番組の大きな魅力であると同時に、余りに重い話が多く、
子供が見るには辛い。
→(私の個人的見解) 大賛成。完全に一線を越えている。
あ~自分でこうやって整理してみると……割と、定説に賛成している部分が多いんだなぁ(笑)。
でもね……結局のところ、私は
2・雌ライオンみたいに見えた
8・余りに重い話が多い
この二つに尽きると思いますよ。 ホント。
それとねぇ、同じ重い話でも、快傑~でやった「ゴースン魔人と盲目の女性の悲恋」なんかは、子供もグッと心惹きつけられると思うんですよ。
やっぱり、着ぐるみキャラクターが好きだと思うんです。 着ぐるみキャラクターが展開する厚い人間ドラマだからこそ、その厚さをちゃんと感じ取れるっていう部分もあると思うんですよ。
でも、
ずっと探し求めていた父は、悪に魂を売った裏切り者であった
とか、
仲間であり、コメディリリーフ的存在のレギュラーキャラが、
人間大砲の砲弾にされ爆死する
とか、
敵の忍者だと思って獅子丸が斬り殺したのは、
実は操られていただけの普通の人間で、
その息子から仇と呼ばれ、無抵抗のまま彼に刺され……
なんて話を、普通に役者が演じても、ひたすら重く感じられるだけだと思うんですよね……。
なかなか、子供は惹かれないと思うのですよ。
大人は別ですが。
この、完全に一線超えちゃってるドラマ群は、シリアスなドラマが好きという人間には直撃ストライク。
しかも超剛速球だと思います。
え~ 上記の
敵の忍者だと思って獅子丸が斬り殺したのは、実は操られていただけの普通の人間で~
というのが、何度もそのサブタイトルを挙げた
第14話「父のかたきライオン丸!」です。
いや、暗い話だな~と思いますよ。この最初の導入部から。
で、普通に考えて、この「獅子丸を仇とする少年」が、獅子丸を許してくれるのか否か? って話だと思うでしょ?
それがねぇ、このエピソード、もっとどん底に突き落とされるような、余りに救いのない話なのですよ……。
ごめんなさい、ライオン丸の話を始めると、マジで止まんない……。