仮面ライダー 令和・ザ・ファースト・ジェネレーション を観てきた(その3) | 無敵動画堂高田のブログ

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 仮面ライダー 令和・ザ・ファースト・ジェネレーション 
 を、観に行ってきました。


 何せ状況が状況で、日曜日をつぶしたくなかったので、
 仕事帰りに、遅めの時間帯のやつに行く、ということで かみさんの理解も得、二人で行ってまいりました。


 以下、ネタばれありの感想の続きです。

 今回の映画、
ストーリー的には、ジオウのゼロワン編的ストーリー
だが
ドラマ的にはゼロワンのドラマ

です。
ジオウ側のキャラは、目立つ登場こそしているものの、今回の事件を通じ、彼らが何か成長したりといったドラマは何も用意されていない。
 あくまで、ゼロワンのドラマの引き立て役である。
 ジオウの映画として観ると、肩透かしを食らうのは確実で、定番の「祝え!」とか「この本によれば……」といったシーンも、ない。
 また、ジオウと比べて、どころか、歴代のライダー冬映画の中でも、「イベント性の無さ、弱さ」は群を抜いており(笑)
・2大ライダーのバイク疾走シーンみたいなのは無し
・互いのライダーの個性的能力を交換する、みたいなシチュエーションも無し
(「ジオウ・ゼロワンアーマー」が登場したりとか。そういうのも一切ない)
・ゼロワンとジオウのメンバー以外の、平成ライダーの本格ゲストは、無し。
 (冬映画では、3作目の「MOVIE大戦MEGAMAX」にWの主役2人が出演して以降、メインとなる2作品以外からも先輩ライダーの登場・メインキャストのゲスト出演は定番化していた。今回は、それは無し)
・TVに先駆け、ゼロワンの最強形態がお披露目、といったようなイベントもない

 わざとか? と思えるほど、イベント性がない。
 これは取りも直さず、映画として観客を呼ぶ要素が、話題性が弱い、ということを意味しており、観客動員数は、まぁ、かなり前冬映画「平成ジェネレーションズFOREVER」と比較すると、苦戦するでしょう。

 そこまでして、イベント性を弱くしてまで、ゼロワンの映画として、筋の通ったものを目指している。
 そしてそれは、TV本編をはるかに上回る程のハードな展開、ドラマである。

 そしてそのドラマを支える、映像が、今回、凝っているんですわ
 ルパパトのメイン監督として活躍し、超絶カメラワークを駆使したアクション演出でファンを魅了した杉原輝昭監督作である。今回の映画は。
 そのカメラワークは健在で、前半の見せ場である人類の避難所でのアクションシーンでは、2フロアのアクションをワンショットで捉えるという、ちょっと、実際に観ないと言葉では上手く伝わらない程に凝った画も登場。
 アクションシーンだけでなく、ドラマパートでも映像は凝っていて、シリアス&ハードなドラマを盛り上げる。
 ちょっと残念なのは、アルトが感情を爆発させるシーンが何度もあるのだが(まぁ、感情を爆発させても仕方がないと思えるほど、アルトには辛い試練となるチュエーションが連続するストーリーであるので、そういうシーンが多いこと自体は、問題ない)そこが割と演技、演出共に一律「うああああ~~、とアルトが嘆き叫ぶ」というものなので、そこは、もう少し感情表現にバリエーションを持たせてほしかった感があるか。

 多分、この映画は、観客動員という面では、外す。
 制作者側も、それは分かってやっていると思う。
 それでもなお、この路線を選んだ制作者側の決断に敬意を表し、私はこの映画を支持する。
 従来通りのイベント重視の企画では、平成と同じ、であり、それが進む先はジオウが示した通り、果てしなき混沌 である。(それを真正面から肯定して見せたのが、ジオウの凄いところであり、評価すべきところ)
 今回、あえて時代の節目において、前作との共演映画という「形」はきちんと継承した上で、中身はまるで違うもので勝負した本作。
 強く、支持したい。