ウルトラマンタイガ第8話「悪魔を討て!」感想です。
前回からの引き続きで、今回はいよいよパワーアップ編です。
パワーアップ編……
……
…………
……………………
……という程のエピソードではなかったですね(笑)
ちょっと想像していたものと違い、前回から引き続き、
電波系霊能力者アイドル、のドラマを描くゲスト編でした。
パワーアップは、おまけ。
この番組、わざとなんですかねぇ?
本来このテの番組では非常に重要な要素である、販促上、やるべき盛り上げ演出、展開を、
微妙にはぐらかしたり
王道から外したり
するところが、ちょっと鼻につく。
例えば、
タイタス初活躍編では、タイタスの話なんか何もしていないのに、クライマックスでいきなり彼の大活躍が描かれる。
もちろん、唐突な登場によるインパクト、というのもあって、それはそれで効果的な演出なのですが、だとしたら、その次の回で、丁寧なタイタスのキャラクターのフォローが入るのが、真っ当な演出であり、展開であるでしょう。
例えば、ウルトラマンガイアにおいて、スプリームバージョンの初登場は、充分にドラマの盛り上げがあり、大いに燃えます、が、その強さを強調するために、巨獣ゾーリムをあっという間に倒す、という演出になっています。
だから、次の回では、怪獣ミーモスをぶん投げる映像がタップリ入り、ガイアがいかに強くなったのかを、きちんと描くわけです。
これ、重要です。
幸いにして、この番組、各話の演出が良く、はぐらかしているにもかかわらず、各ウルトラマンの個性やカッコ良さがちゃんと魅力的に描かれていて、なんか、番組としてきちんと成立してしまっている(笑)。
ですが、やっぱり、なんかおかしい、と少々違和感を感じているところです。
もちろん、長期的視座に立って、シリーズ構成として、こういったはぐらかしも組まれている可能性はあります。
例えばウルトラマンメビウス、クライマックス、いよいよウルトラ5兄弟が本格的に絡んでくる辺りの展開が、
・42、43話
ウルトラQで主演の佐原健二さんがタケナカ役でゲスト出演。万城目淳役ではない。(これはこれで、マニア心にビンビン来るが(笑))
ゾフィーがゲスト出演。ただし、あくまで過去の回想という扱いで、メビウスとの絡みなし。
・44話
北斗星司として高峰圭二さん、南夕子として星光子さんがゲスト出演。ただし、主人公ミライとの本格的な絡みは無し。
ウルトラマンAがゲスト出演。ただし、メビウスとは、別の場所での登場という展開で、両者が並び立つシーンは無し。
・45話
郷秀樹として団時朗がゲスト出演。メビウス=ミライとの絡みが本格的にあり、ここで、変身前の2大ヒーローの本格競演、が描かれることに。
帰ってきたウルトラマンことウルトラマンジャックがゲスト出演。メビウスと共に、4天王の一人デスレムを倒す、が、メビウスとジャックが同一カットに写ることは一度もなく、意図的にファンに微妙に不満が残る共闘演出にしている。
・46話
モロボシ・ダンとして森次晃嗣さんがゲスト出演。ミライとの絡みもあり。
ウルトラセブンゲスト出演。メビウスと力を合わせて、4天王の一人である、強敵グローサムを倒す。
最もオーソドックスな、2大ヒーロー共演編。
・47話
ハヤタ役で黒部進さんがゲスト出演。
ウルトラマンがゲスト出演。宿敵メフィラス星人と対決。ストーリーもウルトラマン第33話「禁じられた言葉」と対になるようなエピソードで、ただの2大ヒーロー共演編から、ドラマ面で、さらに一歩踏み込んだ形での共演編となる。
・48話
最終3部作の1 として、この番組のクライマックスとしてのドラマを本格的に盛り上げ始める。
そしてここで、あえて一旦旧ヒーローゲスト出演を休む。
・49話
最終3部作の2 として、この番組のクライマックスとしてのドラマを盛り上げる。
ここで、この番組内での第2ヒーローウルトラマンヒカリがゲスト出演。
前半、何度も登場し、この作品の第2ヒーローとしての存在をアピールしていたヒカリは、第17話を最後に番組から基本、姿を消し、その後は第35話に1回ゲストで出ただけである。
そのヒーローがここで帰還するあたり、旧作ではなく、メビウスのファンへのアピールを、しっかりと行う。
・50話
最終回。
ウルトラ6兄弟、レオ兄弟、80といった旧作主役級ヒーローに加え、ウルトラの父も登場。
そして、サコミズ隊長がゾフィーに変身し(ゾフィーの変身シーンが本格的に描かれるのは(タロウの時の変身シーンは、まぁ、とても本格的描写とは言えぬ)シリーズ史上初)メビウスと共闘して、宿敵エンペラ星人を倒す。
はぐらかしがシリーズ構成に組み込まれていて、徐々にファンの興奮を盛り上げるように計算されている。
タイガも、意図的であり、ちゃんと計算されていて、のことなんですかねぇ?
なんか、タイガの事じゃなくて、メビウスの事ばかり書いてしまいましたね。
ゲスト中心のエピソードだったから、というだけじゃなく、
ナイトファングの強敵感も、少々薄く「絶対にパワーアップしなきゃ勝てない」という「パワーアップの必要性」が特に感じられず、そういう意味ではちょっと残念な出来。
パワーアップ編ということを一旦頭から消去して、純然たるゲスト編、としてドラマをとらえ直すと……。
う~ん、電波系霊能力者アイドルという設定のインパクトや、彼女の見た目の(コスチュームや眼帯、薄紫の髪の毛、など)キャラの強さが表面に立ち、前後編をかけた割には、ドラマはあまりグッと入っては来なかったかな。
オーソドックスな展開は嫌いではないですが、それ故、折角前後編なんだし、もう一つ、(見た目ではなくドラマ的に)しっかりと視聴者に訴える何か、が欲しかった所です。
ちょっと、ドラマも弱かったかな~、今回は。
特撮シーンは、しっかりとミニチュアを組んだ上での、妙なアングルというか、遠くからタイガ達をとらえる見た目に面白いショットが多発で、見た目に楽しませてもらえました。
ただ、それがドラマと有機的に絡んだ上での「○○というキャラの視点でのアングル」という演出にはなっておらず、単に「特撮シーンとして、面白いショット」の連続、なだけになってしまっていて、そこはちょっと残念(十分、見た目では楽しませてもらい、そういう意味での満足度は結構高いのですが)
・オーソドックスなパワーアップ編を期待してしまい、それが外れていたため、いまいちのれなかった(これは、私が悪い)
・ストーリーはオーソドックスなゲスト編だが、ドラマを盛り上げる要素に、もう1アイディア入れて、より深くして欲しかった
・特撮シーンを単体で観ると面白いカット頻出で楽しいのだが、特撮シーン単体での楽しみ、になっている
といったところでしょうか、今回の感想は。
さて次回!