ウルトラマンタイガ第6話「円盤が来ない」感想です。
ウルトラセブン 第45話「円盤が来た」の続編とも取れるエピソード。
「セブン」未見の方の為に、簡単に「円盤が来た」のストーリーを解説しておきます。
天体観測が趣味の青年「フクシン」。
仕事もパッとせず、恋人もいないし、ご近所さんたちとも、あまり仲良くやっているとは言えない。
ふとしたことで知り合った少年から、「今夜いいことがあるよ」と励まされるフクシン。
そしてその夜、いつものように天体観測をしていた彼は、地球に迫る大円盤群を発見する。
ウルトラ警備隊へ通報するフクシンであったが、警備隊が天文台などの各種専門機関に問い合わせても、円盤群は発見できず、見間違い、として処理されてしまった。
フクシン以外にも、数多くのアマチュア天文家が通報していたことから、何らかの異常気象によるものであろう、という結論が出された。
落ち込むフクシン。
が、次の日の夜も、彼は円盤群を発見。
今度は写真を撮り、警備隊へ連絡する。
が、やはり専門機関で円盤は発見されず、フクシンの撮った写真も、星が多く写っているだけの物であった。
「お兄ちゃんなぁ……、あんまり気が強い方でもないし、星を見ることだけが、楽しみだったんだよ」
「どこでもヘマばかりやって、怒られてばかりだろ。
……それに人間なんて嫌いなんだ」
「いいだろ、星はきれいで。
星の世界に行ってしまいたいよ……」
落ち込むフクシンを、慰める少年。
ボクが、お兄ちゃんの望みをかなえてあげるよ……。
きれいな星の世界に連れていってあげる
少年の正体は、ペロリンガ星人であった。
彼らは、円盤群を星にカモフラージュして地球に迫りつつあった。
フクシンのようなアマチュアが熱心に通報すれば通報するほど、ウルトラ警備隊は、かえって円盤群襲来を信じられなくなっていく。
やがて警備隊が完全に信じなくなった時、本当に円盤群が襲来する……。
オオカミ少年の寓話を、ペロリンガ星人も知っていた。
自分は今、ペロリンガ星人と話をしている、とウルトラ警備隊に通報するフクシンであったが、もう、電話応対の担当官は、警備隊の隊員にすら取り次いでくれない。
失望するフクシンに、ペロリンガ星人は、優しく語り掛ける。
さぁ、約束を果たしてあげよう。
私は地球に飽き飽きした君を、星ヘ連れていってあげるよ。
もう随分大勢の地球人を、私は星ヘ連れていってあげたんだ。
ほら、ある日突然蒸発して、いなくなった人達が、君の身の回りにも、いるだろう……?
オオカミ少年、がモチーフとされているエピソードですが、テーマとしてはそれとは違い、「現実逃避」でしょうか。
ユニークなのは、別にペロリンガ星人はフクシンをだましているわけではないらしい、というところ。
確かに侵略者なのですが、孤独を感じ、星の世界にあこがれる彼を、本当に、彼の望む世界へ(善意で)連れて行ってあげようとしているみたいなんですよね。
で、この後、もちろんペロリンガ星人の作戦は見破られ、円盤群は撃破されるわけです。
フクシンの通報が正しかったことが知られるや否や、それまで彼に冷たかった人々は、掌を返し、フクシンを称賛する。
でも彼は、それを受け入れることができない。
やっぱり、星の世界へ行きたかった……。
でも、現実を、日常を、生きていくしかない……。
そういうラストなのですが。
で、今回のタイガ。
もう、タイトルからして「円盤が来た」を現代風に解釈したエピソードであることは容易に想像がつくわけで。
で、私なりに「こんな感じのエピソードかなぁ」と、想像を膨らませていました。
外れました。
今回のタイガで、結局彼(フクシン?)は「星の世界へ行くこと」を拒否し、現実で生きていくこと、を選びました。
まぁ、大変前向きで、番組として、こうあるべきストーリーだと思います。
私は、もっと旧作と相似形を成すストーリーじゃないかと予想していて、
旧作で、
掌返しをした人々を受け入れることが出来ず、また孤独を選ぶ(でも、現実の生活はあるので、煩わしい人間関係から逃れることができない)
というラストだったのですが、
今回は
掌返しをした人々なんか、信用できない。
でも、これまで周囲に認められなかったのに対し、
今回のことで承認欲求が満たされ、
人々は信用なんかできないけれど、状況は受け入れ、前向きに生きていく……。
だれも信用できず、でもちやほやされる状況は嬉しく……。
ペロリンガ星人は、そんなフクシン(に当たる人物)に、失望と軽蔑を覚え、彼を星の世界へ連れていくことなく、去っていく……。
そんな感じのストーリーを夢想していたんですよね~。
うん、全然違った!
そもそも、ストーリーが、旧作の相似形ですらなかった!
うん!現代風に「円盤が来た」とリメイクするなら、このパターンだな! と割とマジで悦に入っていたのですが(笑)
特撮シーンの見せ場が多く、観ていて大変楽しかった。
旧作が旧作だったので、もっといかにもな異色作かと思っていましたが、割とストレートな方向で楽しめる、正統編でしたね。
意外でした。
では次回!