映画監督 坂本浩一 全仕事 を読了。
なんか昨日のは、本自体の感想を書いていなかったので、もう1回、この本についてブログを費やします。
↓映画監督 坂本浩一 全仕事
坂本監督の、インタビューと、関係したスタッフやキャストとの対談で構成された本です。
560P という大ボリュームの本なのだが、ほぼ全ページが 文章 で、殆ど写真は無い。
メイキングスチールとかも載っていると、ホント、良かったんだけどね。
実は文字が割と大きく読みやすい。
読み応え、という面から考えると、分厚さほどでは無い(笑)。
が、内容は非常に濃く、充実している。
感心させられるのは、対談のページで、対談相手として選ばれているメンバーの選出。
こういっては何だが、数少ない写真掲載のページなので(作品写真ではないので、掲載できる)読者受けするキャスト=顔出し俳優を選びたくなるような気がするんですよ! 売れる本を目指すならば。
一応、この本でも木下あゆ美さん(デカイエロ―=ジャスミン)とか、濱田龍臣さん(ウルトラマンジード=朝倉リク)がそういったページに出てきますが、
高岩成二さん(数多くの戦隊ヒーローや仮面ライダーを務めたスーツアクターの方。アクションのカッコ良さのみならず、やはり特筆すべきはその演技力で、数々の人格が入れ替わる仮面ライダー電王の演技は、もう、素晴らしいの一語につきる。マジで、電王人気の一端は、彼の功績だと断言できる)
岩田栄慶さん(ウルトラマンネクサス以降、マックス、メビウス、ゼロ、ビクトリー、エックス、オーブ、ジード、ロッソ、と、歴代ウルトラマンのスーツアクターを務めた方。……てか、シャドー星人ゼナの方、という方が皆さんには伝わりやすいのか?)とか、
横山誠さん(仮面ライダー THE FIRSTや、THE NEXT のアクション監督、TV キューティーハニー THE LIVE や 牙狼<GARO> 〜闇を照らす者〜の 総監督。)
との対談にしっかりとページが割かれているのが、嬉しい。
そして、インタビュー本であるために(もちろん、執筆、編集者の意図も入るだろうが)坂本監督の人柄や作品に対する考え方、が見えてくるのが嬉しい。
このテの本は、私はそこそこ読む方だと思うけれど、「スタッフのインタビュー」で見えてくるものは、結構多く次のようなもので
・なぜ、(過去の作品には)こんな展開が多いのだろう?(それはちがうだろう?)
・私はこういう考えを持っており、それを視聴者に伝えたくて、こういう作品を作った
といった
・過去の作品の(ある種の)否定
・自分の内面の表現の主張
が見える場合が多い。
別にそれはそれでいい。
というより、ファンとして、新しい作風を持ち込んだスタッフのインタビューには、そういう発言を求めているところすらある。
が、この本を読んでも、そういう発言が見えてこない。
一貫しているのは
観ている人が面白いと思うものを作りたい という姿勢。
実はこれ、意外と珍しい。
作家性の強い方であればあるほど、
・過去の作品の(ある種の)否定
・自分の内面の表現
にこだわる人は多い印象があります。
私も、アマチュアといえど、長く創作の場に身を置いており、やはり周囲の方と話をしていると、特に
自分の内面の表現にこだわる人は多い。
厄介なのは、それを言葉にする時、
観てくれる人の事を、一番に考えています
という、同じ言葉で発せられる、という事。
観てくれる人が楽しんでくれることを一番に考えて、作品制作に臨む
のと、
観てくれる人に、自分の思想をきちんと伝えるにはどうすればいいかを一番に考えて、作品制作に臨む
のは、まるで違う姿勢なのですが、言葉として発せられるとき、同じ
観てくれる人の事を、一番に考えています
と化すんですよね~。
私は一応
観ている人が面白いと思うものを作りたい という姿勢
を貫きたいと思っているので(でも、実力が無いので、自分の考え方、思想が、作品に濃厚ににじみ出てしまう)坂本監督の姿勢に、強く惹かれます。
読んでいて、元気が出てくる1冊でした。
後、個人的な、坂本監督の一ファンとして……
・ゴジラ、監督して欲しいな~。
日本の代表的な特撮シリーズを、総まくりした監督になって欲しいです。
・宮崎駿監督のアニメ作品の実写化企画とかあったら、監督をして欲しいな~。(魔女の宅急便は、実写映画版もあることだし)
個人的には「未来少年コナン」が実写化されて、その監督が坂本監督だったりしたら、最高なんですけど。(コナンの超絶アクションを、実写で演出できるのは、坂本監督しかいない! と思う。他の方がやったら、嘘くさいCGまみれになるか、必要以上にスタントマンを酷使したように見える映像になる事でしょう)
なんというか、パワーレンジャーのみならず、もっともっと、世界に向けて発信できるコンテンツで、坂本監督は活躍して欲しいと強く願う。