銀河旋風ブライガー その44(第10話「霧に消えた愛」その3) | 無敵動画堂高田のブログ

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無敵動画堂 というサークルで、アマチュアアニメを製作している者が、アニメや特撮について語ります。

 

 

 先日ブログに載せたブライガーの顔、折角描いたので、清書して色を着けました。
 ブログの見た目を派手にするため、貼っておきます。
 
 (続き)
 お町は、アイザックと対立したように見せ、アドルフたちの基地へ潜りこんだ。
 アドルフの部屋へ通された彼女は、彼がまだ自分との写真を飾っているのを見つける。
 アドルフは、まだ自分の事を想い続けている……。
 そこに嘘はない。
 しかし、彼女は、この基地がガリレオ・コネクションの基地であることもまた突き止めてしまう。
 アドルフはガリレオ・コネクションに騙されている。
 そう思いたいお町であったが、現実は違った。
 やはり、ジョルジュを殺したのはアドルフであった。
 木星基地を破壊したのもアドルフであった。
アドルフ「そこまで分かっていたら、今更何も言う事はあるまい!」 
  お町に銃を向けるアドルフ。
アドルフ「残念だ。こんな再会になるなんて
お町「愛していたわ、昔の貴方を」 
アドルフ「俺は今だって愛している
 
 アドルフは、昔から変わっていない。
 変わったのはお町の方。
 前半の二人のやり取りが、ここで活きてきます。
 アドルフは、確かに昔からこういう奴で、自分の野望の為に、平気で人を騙し、殺せる奴だった。
 しかし、お町を真剣に愛しているのも嘘ではない。
 
 お町を殺すことを躊躇するアドルフを、ガリレオ・コネクションは裏切り者と判断。
 その凶弾に倒れるアドルフ。
お町「愛しているわ……今でも!」 
 傷を負ったアドルフをつれ、何とか脱出を図るお町。
 
 お町の仕掛けた爆弾が、ブライスターを捕らえていた磁力線制御装置を破壊する。
 ブライシンクロン・マキシム!
 ガリレオ・コネクションのメカ群はブライガーの敵ではなく、たちまちの内に殲滅された。
 
 アドルフは、助からなかった。
 悲しみにくれるお町。
アイザック「忘れるのだ……。 霧が、流してくれる……」 
 お町の初恋は、こうして終わった。
 
 実は個人的には、ロボットアニメにおいて、画期的な1本と呼んでいいんじゃないかと思っているこのエピソード。
 まぁ、特段面白さが秀でているわけでも無いのですが。
 
 ブライガーという作品は、J9メンバー4人に、特に順列があるわけではなく、「全員が主人公」状態なのですが、一応「基本主人公ポジションにいるのは、キッドなのです。
 そして、世のロボットアニメの9割方は、主人公とヒロインはカップルになる(カップルである)という法則があるのです。
 それを完全に崩してきた、という意味で、このエピソードは画期的なのであります。
 ヒロインの昔の恋物語編、なんてのがあったら、ノーマルなロボットアニメなら、ヒロインの傷ついた心を癒すのは主人公の役割であり、むしろそこから二人の愛のドラマがスタートするはずなのです。
 が、ブライガーという作品は、それをしない。
 お町を慰めるのは、キッドではなく、アイザック。
 で、この回をきっかけにして、お町とアイザックがデキてしまうわけでも無い。
 また、もし、この回のアイザックのポジションにキッドがいたら、この後何もなくても、視聴者は勝手にキッドとお町はカップルになったと思っていくことでしょう。
 ヒーローとヒロインは、カップルであるべき、という視聴者の先入観は、強い。もの凄く、強い。
 
 それが、破られた。
 
 いやマジで、これって、画期的な事だったと思うのですけど!?
 
 J9メンバーの下敷きとなっている、ルパン三世とも、まるで違う。
 不二子は、なんだかんだ言ってルパンの事を愛している、という風に視聴者が解釈していい関係性なわけで。
 
 そういえば、同時期の、「ゴーショーグン」でも、ヒーローポジションの「真吾」とヒロインの「レミー」は、やはり全くと言っていい程、恋人同士に発展していかない関係性で。
 この時期、作家が、
「カッコ良く自立した女性」をヒロインとして描こうとした際、
「ヒーロー役とは恋をしない」という関係性こそが、
その答えとされたのであろうか。
 
 なんにせよ、この回があったからこそ、後に、あの「カルナバルの嵐」という衝撃作が創りえたのではないだろうか!? と思うのであります。