サイコアーマー ゴーバリアン その44(第9話「愛と憎しみのファミリー」その2) | 無敵動画堂高田のブログ

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(続き)
 護衛としてイサムを同行し、ライラは、父に会う為に、故郷であるゾイル市へ向かう。
イサム「ライラのお父さんって、どんな人かなぁ。久しぶりにライラに会って、きっと、喜ぶよ」
ライラ「いいえ」
イサム「え?」
ライラ「(内心の声)父は、私を温かく迎えてくれる人ではないわ。あの人は」

イサム「す、すげえんだなぁ、お父さんの会社」
 イサムは、ライラの父が経営する会社のビルの巨大さに圧倒される。
 まさかライラがこれほどの大会社の社長令嬢だったとは……。
 しかし、ライラの予想した通り、久しぶりに会った父は、ライラの姿を見ても顔色一つ変えず、落ち着いた様子で、質問をしてくるのであった。
ライラの父「ライラ、その青年は?」
イサム「イサム・ナポトです。初めまして」
 が、ライラの父は、二人に一瞥をくれただけで、イサムの挨拶に応えようともしない。
ライラ「お父さん……!」
ライラの父「勝手にうちを飛び出しておいて、久しぶりに戻ったと思ったら……」
ライラ「お父さんはやっぱり私のことを心配しているわけではないのね。心配しているのは世間のことだけだわ。
 少しも昔と変わっていない。
 亡くなったお母さんに対してもそうだった。
 結局考えているのは自分のことだけなんだわ

 自分が娘にどのように思われているのかをぶつけられ、言葉もないライラの父。
 そっと視線を落とした彼の机の上には、親子3人で撮った、写真がたてられていた。
 決して、家族を愛していないつもりはない。
 しかし、その思いは娘には伝わってはいない。
ライラ「行きましょう」
 イサムを促し、立ち去ろうとするライラ。
 ライラの父は、イサムを呼び止め、彼女の父としての言葉を贈る。
ライラの父「こんな時代だ。もう私がライラにしてやれることはないかもしれん。
 イサム君といったね。ライラのことを、お願いするよ

 イサムに向かって少し笑みを浮かべながら言葉を贈るライラの父は、間違いなく娘を愛する父親であった。


 この、家族を顧みない、父親との確執、というのは、イサムと同じ構図である。

 ライラにとって、彼女の父親は、残念ながら、肉親でありながら憎しみの対象である。
 そして、今回の再会の時の態度で、彼女はますますその態度を頑なにしてしまった。
 間違いなく父の言葉は、イサムとライラの仲を誤解してのものであるが、彼女はそれを訂正するような会話をすることにも、もはや関心がない。
 そして別れ際の父の言葉は、彼なりに精一杯の愛情を込めて贈ったものなのであろうし、ライラも頭ではその位は分るだろうが、そこに、本物の親子の愛を感じることはない。
 とても悲しい関係ではあるけれど、ライラが精神的に幼く、片意地を張っている、というようには見えない。
 彼女は十分大人になっており、その上で、父とは分かり合えない、という結論を、ハッキリと出したのだ。
 対してイサムは……?
(続く)