巫女への祝詞(のりと)-池田晶子悼詩- | なななし名無しのひとりごと

なななし名無しのひとりごと

迷ったり、ぼんやりしたり、笑ったり。


 彼女は巫女と自称していた


 述べる事無く伝えたからだ


 

 いつも周りに悪口雑言


 同じぐらいに自分もけなす


 その飄々とした語り口


 私はどれほど魅せられただろう



 誰より強く驚きながら


 誰より深く苦しみながら


 それでも発したあなたの叫び


 私をどれほど揺さぶっただろう



 絶望の淵のどん底に沈み


 そこから私に希望をくれた


 あなたにお礼を言いたいが


 あなたはすでに「あなた」ではない



 「さて死んだのは誰なのか」


 あなたが最期に遺した言葉


 きっとあなたは知らずに去った


 自分がいったい「誰」なのか 


 そんなあなたが死んだとて


 あなたがあなたでいるはずがない



 これはあなたへ捧げる祝詞


 でもあなたには届かない


 神へと叫んだあなたの声が


 神に届かなかったのと同じ



 気づけば私は呟いている


 私はいったい「誰」なんだ?!