「愚かな辺野古基地計画」元米国務長官補佐官ローレンスさん(全文)2019.2.22 | 群青

「愚かな辺野古基地計画」元米国務長官補佐官ローレンスさん(全文)2019.2.22

(耕論)辺野古、米国から見た ローレンス・ウィルカーソンさん、ジェームズ・ショフさん

 

amebaブログ『さぶろうの WORDS OF LOVE』2019.2.22から転写をさせて頂きます。

 

前話、山本太郎・岡山おしゃべり会で、自民党支持の男性からの提案に対して、山本太郎は元米国務長官補佐官のローレンス・ウィルカーソンさん取材(朝日新聞)の応答を要約しスクリーン引用していました。

この転写は、『朝日新聞2019年2月22日』全文のようです。

貴重でありますし、山本太郎の引用が間違い無いものと確認するため、全文を示します。

なお、さぶろうさんブログでは、他にも米国要人2人の証言を収録されております。必要な方は、そちらに飛んでお読みください。

 

朝日新聞
2019.2.22

 24日に迫った沖縄県民投票では、辺野古の海を埋め立てて「新しい基地」をつくることの是非が問われる。在沖米海兵隊の存在に戦略的な意義はあるのか。本当に辺野古移設は必要なのか。かつて米軍基地の見直しに関わった元米政府当局者に聞いた。


自然災害にも攻撃にも脆弱

ローレンス・ウィルカーソンさん(元米国務長官首席補佐官)

 東西冷戦の終結を受け、米海兵隊本部は1990年代前半、国内外すべての海兵隊基地や構成をどうするか見直し作業をしたことがあります。私は当時、海兵隊大学のディレクターを務めており、この検証作業に関わりました。

 海兵隊の見直し作業では、在沖縄海兵隊も検証対象となりました。部隊の実弾射撃訓練や飛行訓練、爆弾投下訓練をする地域として沖縄の適合性を調べたところ、運用は「極めて難しい」と判断されました。また、朝鮮半島有事の作戦計画「5027」などを始め、対中国、対東南アジアへの展開を含めて在沖海兵隊の戦略的な役割を調べました。在沖海兵隊は戦力規模が小さすぎて、「太平洋地域に前方展開させる戦略的価値はない」との結論に至りました。

 ただし、コスト面から調べたところ、海兵隊を当時の移転候補だった米本土のカリフォルニアに移転させるよりも、沖縄に駐留継続させる方がコストが50~60%安くなることがわかりました。日本側が駐留経費負担をしているためです。在沖海兵隊移転による海兵隊への政治的な影響についても分析され、「海兵隊を米本土に移転すれば、米政府がそれを理由に海兵隊全体の規模を縮小させる可能性が高い」という予測がでました。この結果、海兵隊本部は当面、海兵隊の沖縄駐留を続けることを決めたのです。

 つまり、海兵隊が現在も沖縄駐留を継続している元々の判断をたどれば、何ら日米の安全保障とは関係ありません。沖縄駐留を継続した方が必要経費を節約できるし、何よりも海兵隊という組織の政治的な立ち位置を守ることができるという分析だったのです。
  *

 
私はこれまで何度もアジア太平洋地域における米軍の机上演習をしてきましたが、在沖海兵隊は台湾有事であれ、南シナ海有事であれ、米軍の戦闘力にはなりません。米中戦争がもしあるとすれば、空と海における戦闘。米国は海兵隊員を中国本土に上陸させるような愚かな作戦はしません。

 中国に対する抑止力として戦略的に重要なのは、米国が日本防衛に確実に「コミットメント(関与)」しているというシグナルを明確に送ることです。海兵隊員を沖縄に置くよりも、米本土から核搭載可能のB2戦略爆撃機を日本周辺で飛行させる方が効果があります。いざとなれば米国は日本のために、中国に大きなダメージを与える――。その意思をはっきりと示すことができるからです。

 

→ この部分は、山本太郎のスクリーン引用には無かった部分。極めて明快な「米海兵隊」機能の説明だと思います。
▲ 海兵隊員を中国本土に上陸させるような作戦は米国にとって愚かな作戦。
▲ つまり米中間武力敵対の戦略的意味合いとして、沖縄米海兵隊よりも米本土からの核搭載B2戦略爆撃機を日本周辺に飛来させる方が効果がある=いざとなれば日本のために米国は中国に大きなダメージを与える。
 

 

 日本政府は辺野古沿岸部を埋め立てて建設していますが、軍事基地を沿岸部に建設する時代でもありません。気候変動による海面上昇で自然災害を被るリスクは高まっています。60~70年後には巨額の建設費が無駄になってしまうおそれがあります。

 例えば、米軍基地でも現実に気候変動の問題は起きています。マーシャル諸島のクエゼリン環礁にはロナルド・レーガン弾道ミサイル防衛試験場がありますが、最新の研究では近い将来、水没のリスクが報告されています。また、米東海岸のバージニア州ノーフォークの海軍造船所は、原子力空母が寄港する重要な港ですが、近年は急激な海面上昇による高潮などの大きな被害を受けています。30年後は使えなくなるという懸念が出ているのです。

     *

 辺野古の基地は、中国など外部からの攻撃に脆弱(ぜいじゃく)すぎるという問題があります。2、3発の精密誘導弾の攻撃を受ければ、滑走路は跡形もなく消え去るでしょう。戦略的な観点で言えば、辺野古の基地建設は愚かな計画です。
もし私が安倍晋三首相の立場にあれば、現計画に固執して沖縄の人々と敵対する手法はとらないでしょう。
 日本政府にとって必要なのは、こうした変化に適応することです。米政府もまた、変化に適応する必要があるでしょう

 

→ この部分も山本太郎が引用しなかった部分。
踏み込んで「辺野古の基地建設は愚かな計画」として、「もし自分が安倍首相の立場だったら・・・」、辺野古基地建設という手法を取らないでしょう・・・と。
 

▼Lawrence Wilkerson 1945年生まれ。ブッシュ(子)政権下の2002~05年、パウエル米国務長官(当時)の首席補佐官。現在は「海外基地再編・閉鎖連合」のメンバー。
(聞き手・いずれも園田耕司)

 

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