- ※この記事は過去記事の再構成です
- 諸君、ご壮健かな。
機動戦士ガンダムΖΖ。
宇宙世紀を紡ぐ、オフィシャルストーリーの本作。機動戦士ガンダム・Zガンダム・ガンダΖΖム・逆襲のシャアを見てきた諸君の中で、この作品に違和感を感じた人は多いであろう。
そう、主役であるアムロ・レイとシャア・アズナブルが登場しないのだ。
この抗争の象徴である二人が、劇中その影も見せないのは何故か。
これには、理由がある。
実は、もともと二人は登場する予定だったのだ。
その証拠に、オープニングにはアムロもシャアも出てくる。
講談社『機動戦士ガンダム大全集』総監修の富野由悠季による本作の企画書によると、一年間の大まかなあらすじで、シャアやアムロだけでなく、ベルトーチカ・イルマの登場も予定されていた。
しかし、機動戦士ガンダムΖΖの放送期間中に、劇場版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の制作が決定。
それに伴い、物語の後半で予定されていたシャア・アズナブルの登場が、急遽見送られたのだ。
結果として、あのシャングリラでのダラダラとした攻防が展開され、変人マシュマー・セロが再登板することとなった。
ガンダムΖΖはΖガンダムの続編である。しかし「シャアVSアムロ」の構図がないため、ガンダムΖΖを本史から外す考え方が存在する。
事実、『劇場版 機動戦士Ζガンダム』三部作では結末がTV版のものから変更されているため、ここからΖΖには物語上つながらない。
そのことを裏付けるように、総監修・富野由悠季からはファーストから『逆襲のシャア』までの劇場版を7部作とする旨の発言があった。
やはり宇宙世紀は、この二人の物語なのだ。
このことから劇場版ΖΖが作られる気配のないこと、ジュドー・アーシタ が逆襲のシャアに登場しないことも頷ける。
これを打ち破ったのが。
機動戦士ガンダムUC。
シャアとアムロが宇宙の梅雨と消えたあとの世界を、バナージ・リンクスは戦い抜いた。ΖΖの世界を引き継いだマリーダ・クルスともに。
彼らの熱き魂の咆哮が受け入れられたからこそ、ついに映画化された・・・。
機動戦士ガンダム
閃光のハサウェイ。
あのラストも相まって映画化されず、風化されつつあったこの作品に、再び魂が吹き込まれた。
シャアとアムロの時代から、新時代の扉を開けたバナージの後の時代。シャアの最期に立ち会った、時代の黒子ブライト・ノアの息子ハサウェイがどう勇躍するのか。
(過去のコラム )