これまでもこれからも
アイヌモシリ
(2020年/日本・アメリカ・中国/84分)
監督:福永壮志
【ストーリー】
北海道阿寒湖畔のアイヌコタンで母と暮らす14歳の少年カントは、1年前に父を亡くして以来、アイヌ文化と距離を置くようになっていた。友人と組んだバンドの練習に熱中する日々を送るカントは、中学卒業後は高校進学のため故郷を離れることを決めていた。そんな中、カントの父の友人だったアイヌコタンの中心的人物デボは、カントをキャンプへ連れて行き、自然の中で育まれたアイヌの精神や文化について教え込もうとする。自らもアイヌの血を引く下倉幹人が演技初挑戦にして主演を務め、アイデンティティに揺れる主人公カントを演じた。(映画.comさんより)
【かんそう】
自身のアイデンティティーに向き合うドラマでありましたが、とても瑞々しい青春ドラマでもありました。
アイヌ民族として生まれたカントだけれど普段の生活は別段何か特別なことをしているとかそんなことはなく、家がアイヌ民族の民芸品を売っているお店、てなくらいかな?
でも映画の中ではアイヌ民族の儀式やしきたりなんかがちょくちょく出てきて「へー」と興味津々。
今でも皆さんが伝統文化をとても丁寧に守って生活している、というのが伝わってきます。
一番興味津々だったのが「イオマンテ」という儀式。(熊の霊送り)
朝ドラ「エール」で「イヨマンテの夜」って曲が出てきたなーって思い出したけれど内容までは知らなかったな。
そのような儀式があるのはわかりました。
アイヌの方々にとって大事な儀式だってこともわかりました。
自然とともに生きてきたアイヌの方たちにとって神聖な儀式です。
が!
何も言わずにカントに子熊の世話をさせて、実は…てのが、言い出しにくかったとは言え、私がカントならいろいろもろもろショックを受けそう。
子熊が殺されてしまう、ということと、何も言ってもらえなかった、ということと…
そういうことも経験して受け入れていくのかな。
でも、それもカントの世代になると受け入れる人たちが減り、スルーしたり、無関心な人たちが増えたりしているのでしょうか。
主人公をあの不安定な思春期の青年にしたことで気持ちの揺らぎがよく伝わってきました。
セリフが少なかったのも効果的だったような…
2021年の大阪アジアン映画祭でチベットの映画を観ましたが、その中でも伝統は失われたり変化したりしていく、というようなことが含まれていました。
伝統を頑なに守っていく、というのも大切なことだけど「時間」が動き、「時代」が変わっていく以上、難しい部分も出てくるよなぁと思いました。
くうこのおまけ
・カントと先生と母親の三者面談が終わったあとのカントと母親の駐車場でのシーン。間や空気感がすごく自然でほんものの親子みたーい!と思っていたら本当の親子だったのですねー。納得ー。
・カントはバンドを組んでいますが、劇中披露される曲が「Jonny B.Goode」
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『青春デンデケデケデケ』でも流れていましたねー。
この曲はカント君自ら選んだそうです。ちょっと、私にはわからないのですが「バンドと言えばこれ!」な曲なんでしょうか?
・森に入る時の挨拶も印象的でした。
・アイヌモシリ=人間の静かな大地
※画像はお借りいたしました。
うりぼう4つ:
2021.1鑑賞
ありがとうございました