駆け落ちしてきたんです
ソワレ
(2020年/日本/111分)
監督:外山文治
【ストーリー】
俳優を目指して上京した翔太は、俳優では芽が出ずに今ではオレオレ詐欺に加担してなんとか食い扶持をつないでいる。ある夏、翔太は故郷の和歌山にある高齢者施設で演劇を教えることになり、その施設で働くタカラと出会う。数日後、祭りに誘うためにタカラの家を訪れた翔太が目撃したのは、刑務所帰りの父親から激しい暴行を受けるタカラの姿だった。とっさに止めに入る翔太、そして逃げ場のない現実に絶望してたたずむタカラ。翔太はタカラの手を取り、夏の街の中へと駆け出していく。(映画.comさんより)
【かんそう】
前回かんそうを書かせていただいた『ボクはボク、クジラはクジラで泳いでる』のプロデューサーの前田さんが今作のプロデューサーもされています。
和歌山プロデューサーさんなんかな?
なのでそのつながりでこちらの作品の感想を。
青春物語は青春物語なのですがキラキラ青春物語ではなく、ヒリヒリ青春物語でした。
タカラと翔太の逃避行。真剣に逃げてくれた方が捕まえやすいのに、という警察の言葉通りタカラと翔太の逃避行は「かくれんぼ」
私も思ったんよね。あんなにスピードも遅く、逃げている範囲も狭いのに捕まえられへんもんなんやなぁ、って。
翔太はタカラに「自分」を見たんじゃないやろうか。だから思わず手を取って逃げたんかなぁ、と思ったり。
また、彼がイラッとしてタカラにぶつけた言葉もタカラではなく、自分自身にぶつけた言葉やったんやろなぁ、とも思いました。
何か通じるものがあったのかな。二人には。
そうそう、逃避行の時に洋服を買ったりしてるんだけど、昭和な私は「お金なんて持って出る時間なかったよなー」とか思ったけど、今はスマホがあれば買い物できますもんね。ぺーぺーとか…。←何も使ってないわたし…
あと、印象的だったのがタカラのバックショット。
何回かあったのですが、そのたびに今、彼女の表情はどんなんなんだろう…ってすごく想像を掻き立てられました。
ラストシーンにも、もう、やられましたねぇ。泣けてきましたわ。
「記憶に残る役者になりたい」と話していた翔太。
誰の記憶にも残ってないと思いきや、本当は・・・だったね。
二人には幸せになってほしいし、どこかで再会してほしいと思いました。
監督とプロデューサーさんの舞台挨拶があったのですが、そこで、もう少しのところでタカラは別の女優さんが演じることが決まりそうだったんだけど、監督がゴリゴリに芋生悠さん推して決定した、ってお話がありました。その監督がなぜ推したかってのもお話してくださってましたねー
あと、劇中に「MOON」というスナック?が出てくるのですが、外山監督は脚本を書いている時点で仮の名前として「MOON」と入れていたそうで、実際にその名前のお店があるとなった時に「おー!」となったそうです。
そして制作に携わっている小泉今日子さんも和歌山に来てくださったことがあり、一緒にカラオケに行った時に中森明菜さんの歌を歌ったらしく「歌のうまい方ですねー」とか言われていたそうで、小泉さんご本人とは思われず、小泉さんの「そっくりさん」ということで通したそうです…ふふっ。
いやーそれにしてもナイスキャスティング!
虹郎くんも良かったですねぇ。
関西弁うまくて関西出身かと思いきや違うんですね!関西出身じゃないのに関西弁うまいって柄本佑さんしか思い浮かばなかったけどこれからは虹郎くんも「関西弁のうまい俳優さん」の仲間入り
和歌山色は正直あんまり感じなかったけれど紀州鉄道が出てきたのは嬉しかったです。
もう一度観たいなぁと思わせてくれる作品でした。
うりぼう5つ:
2020.9鑑賞
ありがとうございました