夢の国はすぐそばなのに。
フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法
(2017年/アメリカ/112分)
監督:ショーン・ベイカー
【ストーリー】
定住する家を失った6歳の少女ムーニーと母親ヘイリーは、フロリダ・ディズニーワールドのすぐ側にあるモーテル「マジック・キャッスル」でその日暮らしの生活を送っている。周囲の大人たちは厳しい現実に苦しんでいたが、ムーニーは同じくモーテルで暮らす子どもたちとともに冒険に満ちた日々を過ごし、管理人ボビーはそんな子どもたちを厳しくも温かく見守っていた。そんなムーニーの日常が、ある出来事をきっかけに大きく変わりはじめる。(映画.comさんより)
【かんそう】
※ネタバレしております※
映画としてはとてもおもしろく、2018年個人的好みベストを挙げるとすれば、きっと10位以内には入るだろうなぁ、というくらいに好きでした。
ですが、いろいろ考えてしまったのもまた事実です。
私が考えたところでどうもならんのはわかっているのですが。
フロリダの空は底抜けに青く、街に存在する建物という建物はカラフルで6歳の娘ムーニーたちの毎日は冒険やいたずらで大忙し!
アイスだってほしい時は知らない人からお金をもらって買っちゃいます!
…でも現実は厳しくムーニーと母ヘイリーは毎日その日暮らしでモーテル住まい。
アメリカではモーテルでその日暮らしをし、住み着くのはご法度なので期間が過ぎたらモーテル同士協定を結んでいる別のモーテルに移動し…ていうのは初めて知りました。州によって違うのかもしれませんが。
ヘイリーも最初はお金持ち相手に香水を売って生計を立てていましたが…
口も悪くて決してお行儀のいい親子ではないんだけど二人のお互いへの愛情が伝わってきて、なんとかなりませんか?この二人…という気持ちになりました。
ちょうどこの頃、日本でも虐待で亡くなった子供の事件や、ネットカフェで子供を生んでコインロッカーに赤ちゃんを入れた母親の事件などがあり、専門家が親を責めるのではなく就職やら何やら親を救い出すシステムが必要、みたいなことを話されていたのを思い出しました。
別の機会に観た友人と話していたのですがヘイリーが偉かったのは子供に対して絶対手を上げたり罵ったりしなかったこと、と友人が言っていました。確かにそんな素振りもなかったね。
友人は娘を持つ母親なのですが、余裕なかったらつい大きな声で怒ったりするし、ああいう毎日必死で余裕のない家庭はどうしてもつい子供への愛情がおざなりになりがちやと思うねん、と言っていて(もちろん人それぞれです)それはなんとなくわかるなーと思いました。
あと、ヘイリーとムーニーがムーニーの友人ジャンシーのお誕生日を祝ってあげるところなんて、彼女たちの優しさが溢れていてジーンときました。
ジャンシーはあの誕生日を、三人で一緒に見たディズニーランドの花火を一生覚えてると思います。
娘ムーニーは無邪気に見えて、あれ、自分たちの状況を全部わかってたんちゃうやろか、本能的に。
それは所々で発するセリフからもそう感じました。
また、後半、頻繁に出てくるムーニーの一人入浴シーンの意味がわかる瞬間、ラストのジャンシーの前で号泣する瞬間・・・
明るくカラフルなフロリダの風景に反して、この親子にとっていろんな過酷な瞬間がちりばめられていて胸がきゅぅぅっとなったのですが、管理人ボビーの存在、ちょっと優しくしてくれる住人、そして、この親子のたくましさがまだ救いだったかなぁ。
で、私がヘイリーたちにはちょっと救いがあるかも、と思ったことがもうひとつ。
ほんとこれは私個人の勝手な考えなのですが。
部屋が意外とキレイだったこと。
掃除するシーンや洗濯するシーンもあったので、まだ、彼女たちはまともなんじゃないか、と思ったのです。
私の中で、どうしようもなく、にっちもさっちも行かない人って、掃除もできなくて部屋が恐ろしいことになっていることが多いようなイメージあるので。←これも私の勝手な思い込みです。
そしてラスト。
二人が一気に走り出した先の世界に鳥肌が立ちました!
とても印象に残っている1本です。
うりぼう5つ:
※画像はお借りいたしました。
2018.6鑑賞
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ありがとうございました