(1982年/日本/134分)
監督:伊藤俊也
【ストーリー】
幼児誘拐事件を通して浮き彫りにされる、犯人とその家族、被害者の家族、警察及び報道関係者の姿を重厚に描く。原作は読売新聞大阪本社社会部・編の同名ドキュメントで、80年に宝塚市で発生した誘拐事件を取材したもの。豊中市の小学1年生の三田村秀之君が下校途中に誘拐された。県警より、犯人が秀之君の父親に3千万円を要求していることが発表される。同時に報道各社に対し子どもの生命を守るため“報道協定”が要請された……。(all cinemaさんより)
【かんそう】
※がっつりネタバレしています※
宝塚映画祭でこちらの作品を観たのですがとてもおもしろかったです!!
実際に宝塚辺りであった事件を元にしているそうです。
上映後、実際にほんのすこーしこの事件と関係のあった方のトークがありました。
さてさて、映画の方ですが・・・
ショーケンこと萩原健一さん演じる主人公・数男がお金に困って誘拐した男の子が・・・
娘の友人!
ここから話が始まります。
この数男・・・喫茶店を経営していたはいいけれど失敗!
妻(小柳ルミ子)はパートで働いていますが、当然裕福・・・ではないです。
そんな中、娘は私立の小学校に通い、犬はチャウチャウを飼っていて妻は「そんなお金のかかること!!」と反対!!
私は妻に賛成!!
まぁ、チャウチャウは既に飼っているので最後まで愛してあげてね、って思いますが。
そしてお金に困った数男がとった行動が・・・
誘拐
↑
んなことするなら働けー!
しかし、身代金目的で誘拐するものの行き当たりばったりなので全然うまくいかず・・・
浅はかで短絡的な犯人・数男。
でも・・・根っからの悪人ではないので、優しさが見え隠れ。
誘拐した英之くんも最初は殺すつもりだったようですが情がうつっていきなかなか殺せません。
そして英之くんの両親は警察に通報しますが、子どもの命がかかっているので警察は集まった報道陣と事件が解決するまでは報道を控える、という「報道協定」を結びます。
この報道機関もこの作品の重要キャストです!!
各報道社はこの報道協定を守りますが、いざ解除!となった時のために必死で情報をさぐります。
いやー!必死でしたねー!!!
さて数男。
脅迫電話をかけてはうまくいかず、焦りからか狂気じみていく数男。
英之くんも風邪をこじらせ高熱を出してしまいます。
でもその時にはすでに人懐こい英之くんに情がうつっていた数男なのでもう必死!!!
英之くんの両親も身代金を持って行っては数男が現れないことに焦ってきます。
というのも数男が「むっ!警察おるやんけー!」と察知して出ていけなかったのです。
とうとう英之くんの両親も警察に「ついてこないでください!!」と嘆願します。
この時、父親が言った
「金を渡さなかったら冷たくなった子が返ってきた時に申し訳たたない・・・」
という気持ちが痛いほどわかります。(私には子どもいないんですけど)
その場にいた刑事も両親の気持ちを汲んで上司に掛け合いますが・・・
結局、受け渡し場所に刑事たちを配備。
それをまた数男が見つけてしまい取引失敗。
結局、ガソリンもお金もなくなり、なすすべもなくなった数男は警察に捕まります。
トランクに寝かされていた英之くんも無事保護されます。
よかったわぁ~。
かなり衰弱していたけれど、生きていてくれて本当によかったです。
犯人が逮捕されて子どもも救助されたことで報道協定が解除されますが、読売新聞社だけは解除前に逮捕現場にヘリで直行し写真を撮っていました。
警察には警察の、報道陣には報道陣の方針や正義なんかがあって・・・でも子どもの命が最優先、ということでちょっと優しさなんかもあったり。
誘拐ストーリーがメインではありましたが警察や報道陣の立ち位置なんかも描かれていておもしろかったです。
最後に英之くんとご両親の記者会見が開かれていましたが、一言も発せず硬い表情をしていた英之くん。
あの時彼は何を思っていたんだろう。
役者陣もよくて、やっぱり萩原健一さん!!
だんだんと狂気じみていく様子がすごかったです・・・
もう、最後のお金で公衆電話で電話をかけるシーンなんてこちらまでハラハラしましたわ。
くうこのおまけ
丹波哲郎さんが棒読み調子で歌う「ダンシングオールナイト」が忘れられません・・・
うりぼう5つ:
2017.10鑑賞
ありがとうございました