プッチンプリン好きで何が悪いっっ!うぉりゃぁぁあああ!!
セッション
(2014年/アメリカ/107分)
監督:デイミアン・チャゼル
【ストーリー】
名門音楽学校へと入学し、世界に通用するジャズドラマーになろうと決意するニーマン(マイルズ・テラー)。そんな彼を待ち受けていたのは、鬼教師として名をはせるフレッチャー(J・K・シモンズ)だった。ひたすら罵声を浴びせ、完璧な演奏を引き出すためには暴力をも辞さない彼におののきながらも、その指導に必死に食らい付いていくニーマン。だが、フレッチャーのレッスンは次第に狂気じみたものへと変化していく。(シネマトゥデイさんより)
【かんそう】
※ネタバレがっつりしてます※
ホラーじゃないのにホラー並みに怖かったです・・・が!!とても面白かったです。
ジャズドラマーの話、ということで、ジャズなんて全く知らないけれど大丈夫かしら、と思いましたが杞憂でした。
だって『セッション』という邦題はあるけれど、実際『ニーマンVSフレッチャー』な所が大きいので、この二人がいたらジャズでもティンパニーでも小太鼓でもカスタネットでもなんでも成立したと思います!!
でもジャズのかっこいい曲を知ることができたので私にとってはジャズでよかったのかもしれませんねぇ・・・
では赤コーナーのニーマン。
とりあえず言うときますと、ニーマンがどぉぉも・・・いや、全く好きになれませんでした。
↑
ええ感じで性格悪そうに見えるのがgood。
ドラムでトップになって認められたい、というのはよくわかります。
交通事故にあっても、絶対ドラマーの座は渡さないぜっ!な執着ぶりで血だらけになってステージにやってきたのにはビックリ。
執着、というかプライドの高さ、というか、負けず嫌いというか・・・なんというか、もう完全にこの頃のニーマンは異常でした。
そういえば私が高校生のころ、交通事故にあったのにそのまま「小テストがあるんで!」と運転手の制止を振り切って学校に来たクラスメートがいました。
その運転手が学校に謝りに来て事件が発覚したんだけど。
心の中で「げっ。単なる小テストやで?!つまり小さなテスト!!」って突っ込みましたよ。
そんな彼は希望の国公立の大学にちゃんと受かったらしいです。
と、横道にそれましたが、ニーマンね、ニーマン。
びっくりするほどにストイックに頑張ってドラムに専念してるんだけど、どうも「応援したくなるわ!ガンバレー!」とはならず・・。
この女の子の一件なんて、「はぁ?!お前一体なんやねん!!」でしたし。
そういう事言うヤツに限って大成しなかったりするねん!!とか思っていたのですが・・・
でも、確かにニーマンが彼女と実際ちょっと話してみて自分の思っていた女の子とは違うかな?という様子は見て取れましたけどねー。
いやいや、それでも彼女はニーマンと早々に別れてヨカッタですよ。
勝手やけどおばちゃんはそう思うで?
こえぇ・・・
ニーマンは最初こそ彼に認めてもらいたくて頑張ります。
いや、結局ずーっと彼に認めてもらいたかったのかな。
ちょっと彼に認められた風になった時のニーマンの憎そい笑顔が忘れられません。
しかし、フレッチャーの異常なまでの厳しいレッスンが彼の体と精神を追い詰めていきます。
でも、あそこまで彼にくらいついて、あそこまでフレッチャーに対抗できたのはやっぱり(性格悪そうな)ニーマンだったからこそなのかなぁ、と思いました。
フレッチャーってほんま人をなんやと思てんねん!!と思うほど人を罵倒し、昭和の鬼スポ根ものの監督のような厳しすぎる指導をするのですが、それもこれもジャズに対する愛情、完璧な演奏をしたいという想いから、というのは素人の私にもわかりました。(それでもこんな先生はいやだ)
みんなよく頑張ってついていってるよ・・・
ニーマンVSフレッチャーも観ているこちらがハラハラしながらも続いていくのですが、とうとうニーマンはリングを降りてしまいます。
しかもドラムも辞めてしまいます。
あんなにトップになるために頑張っていたのに・・・。
恐るべしフレッチャー。
しかし、宿敵フレッチャーはニーマンを逃しませんでした。
フレッチャーがニーマンに近づいたわけではなく、ニーマンからフレッチャーにふらふらふらーと引かれるように再会してしまうのですがね。
フレッチャー執念の引力でしょうか。
以前とは違うフレッチャーの優しい口調。
実はお前を認めていたんだよ、というニーマンの自尊心へのくすぐり。
フレッチャーに「どうしてもお前が必要なんだ」という甘い誘惑に乗せられ都合のいい女状態でフレッチャーのステージに立つことを承諾するニーマン。
そうして迎えた本番。
もう、ほんと、このステージシーンが強烈に怖かったのですが、同時に最高の見せ場でもあったと思います。
最初は「フレッチャーの復讐ここにあり!」って感じでゾゾッとしたのですが・・・。
でも(性格悪そうな)ニーマンはやっぱり負けていませんでした。
フレッチャーの復讐にも果敢に立ち向かっていきます!!
もぉ、ただただ圧巻のラストシーン。
そしてラストもラスト。
二人のニヤッとした笑顔。
二人は壮絶な戦いを経てここでやっとお互いを認め合うことができました・・・めでたしめでたし・・・
の笑顔だったとは思います。
あのニーマンのラストの演奏はフレッチャーの想像の範囲をはるかに超えた、彼の復讐心なんてどうでもよくなるくらいの素晴らしいものだったと思いますし。
ですが、私にはラストの(性格悪そうな)ニーマンの「ニヤッ」は「第二のフレッチャー誕生!」の瞬間にも思えてこれまた怖かったです。
107分、ほぼほぼ二人劇であり、妙な緊張と怖さに包まれっぱなしでしたが、全く目が離せない見ごたえ抜群の作品でした!
今思い出してもゾクゾクします!!
くうこのおまけ
・中国のサイトを覗いていたのですが、中国大陸での題名は『爆裂鼓手』!
非常にわかりやすくて笑えました・・・
・原題でもある「WHIPLASH」がすごくかっこいい曲で、動画などでも観ていたので冒頭部分を鼻歌で歌える(?)ようになりました。でもテンポも音程もへなちょこな鼻歌なのでフレッチャー教授に聞かれたら「ふぁっきんてんぽぉぉぉぉー!!」とお鍋のフタ(シンバルがないから)を豪速球で投げられてしまいそうです。
「キャラバン」もかっこよかったな。
うりぼう5つ:
ありがとうございましたI