ブワナ・トシの歌
(1965年/日本/115分)
監督:羽仁進
【しょうかい】
羽仁とアフリカの最初の出会いとなった作品で、長期ロケーションを敢行。渥美清演ずる主人公がアフリカ奥地にたった一人でプレハブ住宅を造りに行く姿を描き、渥美の生涯の代表作ともなった傑作。演技のまったくの素人である原住民と渥美の自然体な演技、掛け合いが絶妙! (シネ・ヌーヴォさんサイトより)
【かんそう】
≪”映画の天才”羽仁進映画祭≫にて鑑賞。
最初に観た『手をつなぐ子ら』でハニー(羽仁進監督ね)に首ったけになった私ですが、これまたとても素晴らしく、面白い作品でした。
ハニー・・・あなたの作品全部観たいです。
ハニー・・・らぶ・・・
渥美清さんと言えば「寅さん」のイメージしかなかったのですが、この作品での渥美さん演じる片岡俊男も人間臭くてとてもよかったです。
この作品では渥美さんとちょこっと出てくる研究者(日本人)がプロの役者さんであとはTHE☆ド素人の原住民の方々。
実質渥美さんがストーリーをぐいぐいひっぱっていっているわけです。
原住民の方々は多分簡単な指示だけ与えられてただただ、言われたとおりにしているだけじゃないかしら?な感じでした。
映画って知ってんのかな?
演じるって意味わかってんのかな?
彼らを観ていると失礼ですが、そんなレベルの疑問が・・・。
それっくらいに超「素」なんだけど、それがまたこの作品の雰囲気にぴったりであり、うまくストーリー&展開のスピードとかみ合っている不思議さ。
ハニー・・・これもあなたの計算なのかしら?
原住民の方がただヘラヘラ笑って黙ってるシーンだって、下手にセリフ言うよりは、渥美さん演じる主人公が未知の土地でアタフタしているのがよりリアルに伝わってくるし、そういう演技をさせると渥美さんはやっぱりいい!!面白い!
また、彼らの素の笑顔がもう、最高に素敵なのです。
いい顔してるんですよ、みんな。
海外で仕事をしたり、留学したり、海外相手に仕事をしたり、国際交流に携わっていたり・・・な経験がある方なら特にこの作品のエピソードのひとつひとつや、トシの狼狽ぶりが「わかるー」じゃないでしょうか。
また、言葉の壁、文化の壁、習慣の壁、トラブル・・・それらを乗り越えて一つの事を成し遂げた時の達成感、お互いの距離がぐっと縮まったね!感、といったような感覚も「わかるー」ではないでしょうか。
彼らも実際そうでした。
最後に彼もようやく仕事を成し遂げ、ちゃんとした立派な小屋が建ちました。
原住民の方々がお別れ会を開いてくれるのですが、その時、彼は片言の現地の言葉で一生懸命感謝の気持ちを述べます。
そのシーンが泣けてねぇ。
最初は小屋を建てることだけに必死で、彼らの事を理解しよう、彼らに歩み寄ろう、なんてあまり思っていなかったトシだったのに・・・。
たとえ上手じゃなくてもその土地の言葉で気持ちを述べるって大切な事ですよね。
(時と場合によるけどさ)
また原住民の方も即興で彼の歌をプレゼントするのですが、これまた良くってねぇ・・・
トシはすぐ怒るけど~♪ほんまはめっちゃええやっちゃやでぇ~♪いぇぃいぇぃ!!
みたいな。
注)もっとまじめに素敵に歌ってます。
これも今思い出しても「よかったなぁ・・・」とじーんと来ます。
もう一度スクリーンで観たいです。
くうこのおまけ
・長期に渡ってここでゴリラの研究生活を送っている大西博士がトシに
「アフリカまで来て日本人を頼らないといけないのかい?」
と言ったセリフがとても印象的でした。
・アフリカの風景も素晴らしかったです!!
この作品でハニーも渥美さんもアフリカに魅せられて何度も渡航している、と聞いたことがあるのですが納得。
本当に素晴らしい景色でした!
・昔参加していた国際交流活動の一環でジンバブエの人たちが来てくれた事があったのですが、いっつも笑って踊っていたのを思い出しました。
・私の勝手な持論ですが、「ありがとう」も大切な言葉であり、素敵な言葉だと思うけど、その土地の人々と距離を縮めるには現地の言葉で言う
「おいしい」
が一番じゃないかなーと思っています。
うりぼう5つ:
ありがとうございました☆