(2014年/イギリス/86分)
監督:ホン・カウ
【ストーリー】
ロンドンの介護ホームで生活しているカンボジア系中国人ジュン(チェン・ペイペイ)は、息子カイ(アンドリュー・レオン)の訪問を心待ちにしていた。彼女は息子の恋人リチャード(ベン・ウィショー)を嫌っていたが、彼はいつもジュンに優しかった。リチャードは英語のできないジュンとイギリス人のアラン(ピーター・ボウルズ)との仲を取り持つために通訳を雇い……。(シネマトゥデイさんより)
【かんそう】
グッと胸にくる作品でした。
息子カイをなくしたジュン。
恋人カイをなくしたリチャード。
両者ともカイを愛し、想い続ける気持ちは同じなのに、ジュンとリチャードは近づけない。
・・・というよりジュンがリチャードを近づけない、と言った方がええんかな。
ほんと頑なに頑なにリチャードを拒否するジュン。
カイがリチャードと暮らして、自分を施設に追いやった事が悔しい、というのもあるだろうけれど、以前lucky2005さんが記事で書かれていた「アジア人ならでは」というのも大きく関係しているように思いました。
ざくっと言うと文化や育ってきた環境・・・などと同じくくりだとは思うのですが、これ、大きいと思います。
彼女がアジア系の母親だからこそこの物語が生きてくるのだと思いました。
また、最後の彼女の長い長いセリフにもじーん・・ときました。
彼女はこれでやっと一歩進めるのでしょうか?
そして私が注目した点はもう一つ。
「通訳」という立ち位置です。
私はプロの通訳ではありませんし、ただただ中国語を勉強中、という身なだけですが、ボランティアで簡単なものですが、通訳をすることもあったりで、物語の中でのこの「通訳」というポジションに非常に興味がありました。
さすがに彼女もプロではないので「おっと・・それは・・」「むむ・・むむむ?」な訳し方もしてはりましたけど、ま、物語の中のことですし、あれは彼女の人柄が前面に出ていた”通訳”ということかな。
また、「通訳」したから、言葉がわかったからと言って気持ちが通じるわけでもないんだなぁ、ということはこの映画でもわかりますし、私が時折感じることでもあります。
私の場合は語学のレベルがむむむ・・・、という事が原因だったりしますけど。
いろいろと勉強させていただきましたっ☆
俳優部門に超疎い私ですが、今回、リチャードを演じていた彼がすごくよかったです。
あの子犬のようなまなざしにキューン。
彼が涙を流すと「いやーん!よしよし!ええ子やから泣かんといてー!!」と抱きしめたくなりますねぇ。
ちょっ・・ちょちょちょっ!こんな美しいシーンあるぅ?!と思うほどに美しかったです。
しずかーに、ぐぐぐぅーっと胸に来る作品でした。
くうこのおまけ
・中国語原題が『轻轻摇晃』で「ゆらゆら揺れる」とか「たゆたう」とかいう意味合いがありますが、映画全体の雰囲気がそんな感じでしたね。
・リチャードの作る中華料理が食べたーい♪
・ジュンとアランとの言い争いに爆笑。だいたい「嫌いな所を言い合いましょう」って、あの場合、そりゃ、ああなるやろ。
うりぼう4つ:
ありがとうございました☆