おー、しべーるー
シベールの日曜日
(1962年/フランス/116分)
監督:セルジュ・ブールギニョン
【ストーリー】
インドシナ戦争で少女を殺害してしまったピエールはそのときのショックで記憶を失っていた。いつものように駅で記憶を探していた彼のもとに、ある日寄宿学校へ送られる少女が現れる。少女を見て何かを感じた彼は、その少女に近づき、毎週日曜日に会うようになるのであった。(みんなのシネマレビューさんより)
【かんそう】
友人が「よかったよー」と言っていたので劇場で鑑賞。
ちょうど素敵な昔映画を観ようーみたいな企画で劇場上映してくれていたのです。
しかし『スタンド・バイ・ミー』のすぐ後で観たせいか、静かな映画のせいなのか、うつろうつろしたのも確か・・・
冒頭になんか飛行機が墜落していき、ちょうどそこにいた少女の「やーめーてー!」な表情が!!!!!
という映像は覚えていたのだが、その時にかかっていたBGMというか、音&調子が中国の京劇によく使われるドラなんかを使ったもののように思いました。
でも、確か、設定はインドシナの戦争で主人公の男性が飛行機で墜落して・・・とかいうはずだったので、なんで中国の京劇の音が?!
私がぼーーーっと観ていたから勘違い?!
と、思い友人に聞いてみたところ、しかも「音」を生業としている彼女のご主人にまで聞いていただいたところ・・・
ヨーロッパにありがちなアジアひとくくりじゃない?
というわかりやすーい答えが返ってきました。
ひゃーすっきりー
おおきにー
ご主人もお忙しい中ありがとうございました!
私もスペインのホテルで向こうの人に「しぇーしぇー」と言われたのを思い出したよ。
ザ☆アジアひとくくり
でも、私だって厳密にはヨーロッパのクロアチアとかリトアニアとか・・・パっと見た感じ、とか、とっさに区別してみて!とか言われたらわかんないもんねー。
だいぶ感想がそれましたが。
とにもかくにも美しくも悲しい物語でございました・・・
その友人にブルーレイについていたという、評論家の方が書かれた解説のコピーを送ってもらい読んでいたのだが、専門家の方から観てもやはりかなりの傑作な様子。
(そりゃ変なことは書けないでしょうけど)
ほんと、あの時代のあの映像、そしてあの描き方だからこそ、大人の男性と女の子のピュアな恋物語にまとまっていましたが、今の時代だと、その評論家の方も書かれていましたが、ロリコンの変態物語になりかねんです。
いや、なる。
なります!
それをそう思わせないところが本当に素晴らしいなーと思いました。
シベールという名前は最後の方で彼女自身がピエールに明かすのですが、それまで彼女は自分の名を「フランソワーズ」で通します。
最後までじらして言わない、とか、名前を明かす方法とか、ピエールに発するセリフや彼を翻弄させる姿とか・・・・
見た目「少女」の彼女は、もう立派な「女」でした。
ピエールは見た目「大人」の純粋無垢な「少年」でした。
この二人”だけ”の物語ならまだ単に「美しい悲しい恋物語」・・・で終わるのですが、この物語にはもう一人、女性が出てきます。
ピエールが最初に運ばれてきた病院の看護師マドレーヌです。
ピエールは事故によって記憶喪失になってしまってました。
しかし彼女はピエールと同棲を始めたようで、彼の事がとっても大好きー!というのが観ていてとてもよくわかります。
マドレーヌがピエールをなぜそんなに好きなのか。
見ていると、彼女自身さびしい人だったのかなー、と。
彼ならいつも自分のそばにいてくれる、彼は自分のそばからは離れないだろう(彼が記憶喪失だから、ということもあり)という思いが心の奥底のどこかにあったように見えました。
彼女の存在が邪魔、という見方もありますが、私はこの彼女に感情移入してしまってました。
無口であまり話さなかったピエールがシベールと出会ってからどんどん変わっていく。
時には口笛なんかも吹いちゃってる。
でもシベールとの出会いなんて知らない彼女。
何なん?何があったん?!・・・・てそりゃ思いますわな。
しかし彼の気持ちが自分からどんどん離れていく感覚だけははっきりとわかる。
あー!どないしよー! byマドレーヌ
でも、結局、彼女であれ、シベールであれ、ピエールであれ、誰の立場であってもどこかでせつなくて苦しい思いはするんだろうなぁ・・・と思います。
いや、ピエールだけはシベールに出会ってから楽しかったかな?!
なんかいつもニヤニヤして嬉しそうやったし。
いろいろつっこみたくなるとは思いますが、観てよかったです。
いろいろつっこめるのもまた楽しいと思いますし。
美しさとかわいらしさを兼ね備えた奇跡の美少女パトリシア・ゴッジ。
観ているだけでうっとりする美しい風景やシーンの数々。
白黒映画、というのがまたさらに感情や想像力を湧き起こしてくれているように思います。
友人が送ってくれた解説を読んだおかげで、この映画の背景もよくわかりましたし、この映画はほんとあのタイミングでしか撮れなかった奇跡の一品なんだなーと思いました。
この映画をお勧めしてくれ、また、解説まで送ってくれたり、私の疑問をご主人にまで聞いて解決してくれた友人に感謝感謝大感謝です。
うりぼう4つ:
ありがとうございました☆