さよなら渓谷 | シネマド館

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世界の映画を見ていると世界を旅しているように感じる・・・というブログではなく単なる「映画」と「おでかけ・旅行」をメインにしたブログです。とは言いながらも結構他のことも書いてます・・。

一緒に不幸になろうね
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さよなら渓谷

(2013年/日本/116分)


監督:大森立嗣


【ストーリー】

緑豊かな渓谷で幼児殺害事件が起こり、容疑者として実母の立花里美が逮捕される。しかし、里美の隣家に住まう尾崎俊介の内縁の妻かなこが、俊介と里美が不倫関係にあったことを証言。現場で取材を続けていた週刊誌記者の渡辺は、俊介とかなこの間に15年前に起こったある事件が影を落としていることを知り、2人の隠された秘密に迫っていく。(映画.comさんより)


【かんそう】

※がっつりネタバレ※


大森監督の『ぼっちゃん』は考え込んでしまう映画ではあったけれど、どんだけ笑た?!てなくらい笑いのシーンが多かった。



でも今回の大森監督作品は・・・


ぜっんぜん笑う所なかった。(別にいいんですが)



ずーっと胸が、こう、なんですかね・・・シクシクしてた。



激しいベッドシーンで始まるこの映画。


でも、そういう間柄の男女の部屋にしては、逃避行の末に行きついたような殺風景な部屋。

二人で幸せな生活を営む、という感じがない。


わが家もインテリア関係はほっとんど手を加えず荷物だけが増えて行く物置状態なのですが、それでも他人が見たら二人がわちゃわちゃあーだこーだと生活している感は十分感じられると思う。



でも、かなこと俊介の部屋にはそれが感じられなかった。

なんか殺風景。



シンプル・・・と言えばそうだけど「殺風景」という言葉のほうがしっくりくる。


まずこの部屋に私は「?」だった。





この夫婦の隣の家で母が実の子供を殺してしまう、という事件が起きる。



その事件を週刊誌記者の渡辺(大友南朋)が追うことで、かなこと俊介の過去、関係が明らかになっていく・・・


そして驚愕の事実が!!!




レイプ事件の加害者(俊介)と被害者(かなこ)が一緒に暮らしているのだ。





私もなんでこの二人(かなこ&俊介)が一緒にいるのか理解不能やった。


今でも「多分私なら無理やわ・・・」という思いは変わらない。




でも、映画を観ているとかなこの心情がなんとなくわからんでもないのだ。



いや、でもやっぱり自分は無理ですけど。


でもでも、かなこもありかもしれん・・・と思わせるこの映画や監督、演者さんたちがすごいと思う。


俊介の心情はなんかすんなり「そうでしょーよ。あんた加害者だもの。」とわかるんよ。

うん。かなこがなぁ。




でも不思議な事にほんと私は「わっからんわぁ・・・」から最後には「こういうことも・・・あるのかも・・・」と思ってしまってた。



あ。何度も言いますが私にかなこの選択は無理かなぁ。




かなこが事件に遭ったことも悲惨だが、その後の人生もかなり苦しい事の連続だった。


そして俊介との再会。


最初は俊介を寄せ付けなかったかなこ。

そりゃぁ憎くて憎くてたまらんよな。


あんなことがなければ・・・ってずーっと思っていたはずだし。




それでもずーっとついていく俊介。



その距離感がなんか絶妙。



そしてかなこが俊介に言い放つセリフ



“あたしが死んであんたが幸せになるんだったらあたしは絶対に死にたくない。あんたが死んで楽になるんだったら、あたしは絶対にあんたを死なせない”



もう、今までの憎しみが溢れている。


あんたは一生罪を償わんとあかんのや!!!

私の許可なしに幸せになったらあかんのやぁ!!!


そんな風にも感じた。



また、「かなこ」って偽名なのだが、なぜ彼女が「かなこ」と名乗ったのか。

この場面でもやっぱり彼女は俊介が憎くて仕方ないんだなぁ、と思った。

他の意図もあったのかもしれないけれど私には当てつけのように思えた。

忘れんじゃねぇぞ・・って。




そして、ずーっと逃避行を続けていくうちに二人の距離が少しずつ縮まり・・・

もう、、この縮まり方も逃避行のシチュエーションもすごくよかった!!!



最後はおんぼろアパートにたどりつき一緒に住むことに。



ここで最初の私の部屋に対する疑問がとける。

なるほどだからあんなに殺風景で幸せ感のない部屋だったのね。



そしてお隣さんの事件。


また、かなこの告発。


それでも俊介はかなこを責めない。


面会の時の会話が泣ける。

賞味期限切れ間近のお豆腐の話なんて今する?!


記録員も「その話・・・今する?!」と思っていた事であろう。



俊介はずーっと罪の意識を感じているのだろうなぁ。


絶対にかなこを責める事はない。

でも、そうだよな。

忘れてもらっちゃ困るわな。



ここで思ったのが、俊介はかなこを既に愛しているかのようにも見えたが、それでもやはり「償い」という感情の方がつよかったのであろうか、ということ。


だって、かなこが目の前にいる以上、絶対、純粋に「愛」だけを注ぐことはできないと思うんよ。

事件のこと忘れる事はできないし。かなこの存在がそうはさせないだろうし。



なので、かなこが警察に告発したことも、俊介とずっと一緒にいることもかなこなりの復讐のひとつかしら、と思っていた私。


でもだんだんと単純にそれだけじゃないかもしれん、とも思えてくる。





不幸になるために一緒にいようと約束したのに・・・


幸せになるかもしれないと感じてしまい出て行ってしまったかなこ。



この時点でかなこはもう、既に俊介を愛してしまっていたのだろうか。





セリフに現れない深い深い湖底にあるようなちょっとやそっとでは見えない感情の揺れと移り変わりを真木よう子さんと大西満さんはうまぁく表現してくださっていたように思う。


大西さんなんて表情が抜群にええわぁ、て思ったもの。←素人判断ですが。





いい映画だったとは思う。


でもやっぱり私には「不幸になるために一緒にいる」という選択はできないわ・・・

まだ言うかー





クラッカーくうこのおまけクラッカー


私は行っていないのですが6/6に梅田に真木ようこさんが来てくれたのですー!

「今日は真木さんが梅田に来るんやー」と思うだけで6/6は幸せでした。


シネマド館

真木さんと監督さんがいらっしゃるのは知っていたのですが、サインを見ると大西さんも来てくださったのかしら??
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もしそうなら・・・すんません・・・



モスクワ国際映画祭で審査員特別賞受賞おめでとうございます☆

同賞に邦画が選ばれるのは48年ぶりとか!!!

素晴らしい!!シネマド館-旗2



うりぼう4つ:うり坊 うり坊 うり坊 うり坊


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ありがとうございました☆