(2012年/日本・アメリカ/102分)
監督:内田伸輝
【ストーリー】
夫と二人暮らしのユカコ。夫と5歳の娘と3人暮らしのサエコ。二人は東京近郊の同じマンションのお隣同士で、2011年の3月11日を迎えた。地震、津波、福島原発の被害と今まで起こった事のない事態。この日から娘を放射能汚染から守るためのサエコの孤独な闘いが始まる。幼稚園で放射能の危険を一人訴えるが、ママ友たちに異端視され、サエコは徐々に孤立していく。なお、ユカコも目に見えない放射能の危険に不安を募らせていた…。(goo映画さんより)
【かんそう】
インディペンデント映画にありそうな「それはないやろ」的なこともあったけど、それでもこれはリアルに日常を描いているよなぁ・・・と思った。
おそらくニュースなどのメディアで私たちの目にふれないだけで、こういう風に闘っている人は、たとえ小さな範囲であっても、今でもたくさんいるんじゃないか、と思った。
確かに3.11以降、すぐくらいは放射能放射能とメディアでも「これでもかぃ!」と、取り上げられていたが、今はその時ほど取り上げられることはない。
中国からのPM2.5の方が敏感になっているくらいだ。
放射能もまだまだ怖い存在だと思うんだけど。
これからも。
でも、この映画は放射能がどうこう、というところ焦点をあてている映画ではない。
ママさん同士で言い争いになるシーンがある。
このシーンはアドリブ?だそうで、観てるこちらもハラハラドキドキ・・・
言い争っている内容というのが「自分の子供にだけマスクとかさせるな。そうさせることで周りの不安をあおる!!」「自分の子供を守って何が悪いねん!!」とかいうものだけど、結局「不安あおるからやめてよ!」とか言うてるママさんも放射能は怖いのよ。
サエコを攻撃するママさんも結局スーパーで「国産」の魚ではなく「外国産」の魚を探してたりするしね。
目に見えない放射能だからこそ、かもしれないが、ほんと反応は人それぞれだなぁ・・・と思った。
やりたい人にはやらせておけばいいのに放っておけない。
気になる。
自分たちと違うものは排除したい。
普段でもありがちな争いだけど、放射能という目の見えない危険だからこそ余計に敏感になる。イライラする。
もう1組、子供のいない夫婦が出てくるのだが、こちらも奥さんの方がすごく敏感に放射能に反応する。
だが夫の方は「そうでもないんじゃね?!大丈夫じゃね?!」みたいな鈍感な反応。
原発から微妙に離れた東京近辺ならこういう2種類の反応に分かれそうだなぁ・・
男女の差もあるのかな。
サエコもユカコも目に見えない放射能に恐怖を感じ、いろんな情報に踊らされているような感じもある。
第三者の目から見ると「そこまで?」な違和感もあるけれど、実際、渦中の人だとそうなってしまうこともあるんだろうなぁ。
で、そういう人たちを「おかしいんじゃないの?」と批判する人たちももちろんいるわけで。
と、いうように色んなタイプの人間が出てきたし、観てるとこれ、ドキュメンタリー?!とまで思ってしまうのだが、劇映画なんですよね。
その、だから何?どうしたらええん?という答えを導くような映画でもないし、ただ延々といろんなタイプの人がいますよねーと描いている映画でもない。
なんか、こう、がっつり原発に近い土地でもない微妙な距離感にある東京、というのがすごくよくあらわされたように思う。
こうです!こうなんです!
と、全てはっきりできないグレーで悶々とした感じ。
怖いけど「怖いんです」、ともなかなか言えない場合や雰囲気もあったり、言うとサエコみたいに疎外されたり(あそこまで極端じゃないかもしれないけど)。
怖くて外国産のものを買いたいけれど、こんな時期に買うと非国民みたいに思われるんじゃないか、とか。
なんかそういう悶々とした感じがこの映画からはすごく感じられた。
最後はいろんなタイプの人間が方法も手段も違うけれど、明るい明日を信じて一歩を踏み出す、というような終わり方していたのでとてもよかった。
関西に住んでいる私ですが、なんだかとってもグッと身近に感じられる映画でした☆
くうこのおまけ
・サエコの娘役の女の子がとってもかわいかった♪
・大好きな古館寛治さんが出ていたので嬉しかった。ちょっと笑った・・・
うりぼう4つ:
ありがとうございました☆