かどのたくぞうじゃねぇよっ!!!
扉をたたく人
監督:トム・マッカーシー
(2007年/アメリカ/104分)
【ストーリー】
愛妻に先立たれ、心を閉ざして孤独に暮らしていた大学教授のウォルターは、久々にニューヨークにある別宅のアパートを訪れるが、そこにはいつの間にか見知らぬ移民の男女が暮らしていた。シリア出身の青年タレクは“ジャンべ”というアフリカ発祥の太鼓の奏者であり、ウォルターはタレクからジャンベを習い始め、2人は次第に心を通わせていくが……。
【かんそう】
ヨカッタわぁ。
良い映画だった。
考えさせられる映画だった。
実は「くうこのTHE☆観に行きたいリスト」にがっつり入ってなかった映画だったのだが、結構いろんなところでレビューを目にし、評判がよく、私が参加させてもらってる国際交流がらみのお話でもあったので観に行くことにしたのだ。
アメリカでも最初は4館だけの封切り。
それが、口コミでどんどん上映会場は広がり、ロングラン上映になり、オスカーノミネートにまで発展!!!
この主人公の男優:リチャード・ジェンキンスさんが主演男優賞にノミネートされたのだ。
「日本の笹野高史」と何かに書いてあったが、それくらいにアメリカでも名脇役でずーっときた俳優さんだ。
でも、私にしてみたら、顔は角野卓造さんにしか見えなかったけどね。
そしてそう感じるたびにハリセンボン春菜が『カドノタクゾウじゃねぇよ!』と頭の中で怒ってるんですけどね。
タクゾウ演じるウォルターはピアニストだった愛妻が亡くなってから20年間無気力生活が続いている・・
大学教授なのに講義ノートだって20年間同じもの。
講義概要だって、年度のところの数字を変えているだけ。
何の向上心もナッシング!
こんな教授の授業はつまらんだろうなぁ・・・と思うわ。
愛妻の残したピアノを習ってみるものの全く上達しない。
だって無気力だもの。
心がピアノに向いてないもの。
それは上達しないし、ピアノだってかわいそうよ。
そんなある日、学会の発表をしぶしぶ引き受けてNYへ。
そこからはストーリーの説明にあるように移民の2人に出会うのだが・・・
ウォルターはある日、学会会場の外で演奏するバケツの音楽(リズム)を聞いて、なんだか心がウキウキしてくるのを覚える。
そして、タレクから『クラッシックの基本は4だけど、アフリカンビートの基本のリズムは3なんだ。』『頭で考えないで』・・・と、シャンベを習うようになるのだが・・・・
人によって、心に響く、心が動かされる音楽ってのはさまざまなんだなぁ・・・
ウォルターが水を得た魚のようにみるみるうちにイキイキしてくる!!
タレクともどんどん仲良くなって打ち解けてくる。
タレク自身とっても明るくていい人だからね。
この辺りはほのぼの国際交流という感じでニコニコ見ていられるのだが・・・
地下鉄の駅で誤解が元でタレクが捕まったことから事態は急変・・・
不法滞在がばれて拘留されてしまうのだ。
あんなに無気力だったウォルターがタレク解放のために奔走する。
20年間どうしたってスイッチはONには入らなかったのに、ここで20年間何もしてこなかったのを取り戻すかのように精力的に動くのだ。
そこでタレクの母親とも知り合い、男女が一緒に住んでいると、やはり情がうつるのか、お互いを想う仲になっちゃったりなんかもする・・・
ウォルター・・・・大変な時だけど恋はしっかりしちゃうのね。
甘いものは別腹・・・てやつですかね。
そんなことはどうでもいいわ!
国と国、ネイティブとビジターが交流するにはプラスの面ばかりではない。
必ずといっていいほどこういうマイナスの面が出てくるのだ。
私は国際交流関係のボランティアをしているが、結局私は訪れてくれる方々の国の事情なんてほとんど知らないことが多い。
今回のこの映画を観ても『私は世界を知らないねぇ・・・』とつくづく実感したよ。
でも、こういう映画に触れることで、また、国際交流で色んな国の人々と触れることで、「この国のこともっと知りたいな」「この仕組みはどういうことなのでしょうか?・・知りたいわぁ。」と思えるようになるものだ。
頭から入る国際交流なんて楽しくない、と私は思うのだ。
国際交流における基本はまずは顔と顔を合わせること、と私は常に言っているのだけど、なんでもそこからだと思うんだよね。
言葉が話せなくてもまずは顔と顔を合わせる・・・これが私の国際交流の基本姿勢です。
・・・単に考えることが苦手なだけですがね。
ということで前半は自分が行ってきた、そして今後も続けていくであろう国際交流の形を見ているようでほのぼのし、後半はこれから私がもっと踏み込んだり考えたりしていかないといけないような国際交流の形を見たようで、なかなか考えさせられて、今のぼんやりとした自分に刺激を与えてくれた良い映画だった。
うりぼう5つ: