過疎の田舎で助産師らしく働くには? | 岐阜県郡上の妊婦さんや母乳育児中のママのための鍼灸院

岐阜県郡上の妊婦さんや母乳育児中のママのための鍼灸院

数千例を超える出産や母乳育児に立ち会ってきた助産師です。病院の検診だけでは安心して出産が迎えられない妊婦さん、通常の母乳指導に満足できない‘子育てにこだわりたい’ママのためのに身体と心にアプローチする針灸院です。

岐阜県郡上八幡の
助産師&針灸師の
加藤祐里です。

過疎の街で
助産師として働くことが
難しいとご相談を
受けました。

私は針灸院を看板に
掲げていますが
やっていることは
お産は取り上げていないけど
「THE・助産師」を
目指しています。

表向きはからだの治療を
東洋医学的・
整体的にとらえて
針もするし
お灸もするけど

ほかの誰にも
真似できないような
カリスマ的な
一発技で治すのでなくて

できるだけ
足湯とか湯たんぽとか
冷え取り靴下とか
どこででもできるお手当や

食養生とか
おすすめの本を教えたり

話をよく聴いて
考え方を変えてみるよう
お伝えしたり

お母さん自身が
家でもできて
病気のときも
そうでないときも
小さい子どもも
膝の痛いばあちゃんにも
できるような

ママだけじゃなくて
家族の手当てにも
やってあげられるような
ことをしています。

助産師は薬を使ったり
出来ない分

そうじゃない方法で
自分で治して産んで育む力を
高めてやることを
教えてくれたのは
助産師のお師匠です。

郡上に引っ越してきて
すぐのころは
なんとか経営を安定
させたいと意気込んで
いましたから

「郡上中の妊婦さんが
来てくれるような治療院」を
目指していましたが

5年たってみて
だいぶ力も抜けて
視野も広がって

自分の頑張る方向性は
違うな、と気づけるように
なりました。

岐阜には親戚どころか
全く知り合いも
いなかった私が

看板も出してなくて

あるのかないのか
分からないような立地で
やっていて
お客さんが来ること自体が
奇跡なんです。

5年たった今だから
たくさんのミラクルが
つながって
ここに生かされているのだと
気づけます。

そう、最初のお客さんって
たまたまはじめて入った
喫茶店で隣に座っていた
地元の市民病院で働く
助産師さんだったのですよ。

後にも先にも
どこに住んでも
普通、そんなこと
ないです。

たまたま紹介して
いただいた方が
お腹に赤ちゃんがいたとか、

80代の患者さんの
よそにお嫁にいった
お孫さんだけど
たまたま実家にいたときに
腰が痛くなって
紹介してくれたとか、

私が意図的に
そうしたかったから
その仕事をみつけてきた
というより

神様が連れてきてくれた
ご縁でやらせて
いただけている感じ。

だから、お客さんが
少ない時も
今は家事や子育てを
しっかりやる時期、

忙しいと
なかなか会えない人に
会いにいったり
家族や知り合いを
練習台にして
治療の腕をあげる時期とか

それもその都度
神様からの宿題だと
思って取り組めるように
なりました。

5年やってみて
どの仕事もうれしかったけど

一番、心に残っているのは
イベントや勉強会を
成功させたとかよりも

妊娠中に通って
くださっていた肩が

急に状態が悪化して
遠方の病院に入院して
しまったときに
面会に行きました。

あの日、私には
何もできることは
なかったけど、

もし私のお師匠だったら
どうするかな?と
考えた時に

まずは会いに行く、
話を聴きにいくだろうな、と
思ったからです。

あのときのママさんには
いまだに感謝して
もらえます。

そのときはあんまり
深く考えていなかったけど
治療の技術とか
メールや電話でちょこちょこ
やりとりするより

直接会って「大丈夫」と
伝えることの
大切さをあらためて
気づかせてもらえた
出来事でした。

立地のいいところに
店をかまえて
営業時間を長くして
がんがん宣伝して
たくさんお客さんを
まわしていくやり方を
していたら

こういう関わりは
できなかったと思います。

尊敬する先輩助産師が
やっていたような
仕事のスタイル、というか

お客さんだけじゃなくて
私のような学生や
ほかの人に対しても
そうだったように

人としてどうあるべきか、
何を大切にしているかが
仕事にも出てくるのだと
思います。

子どもが少なくて
過疎の街で
いかに助産師らしさを
活かして働くか?

もし私なりの
答えがあるなら
妊婦さんやママを
相手にする仕事だけが

助産師らしさを
発揮する場ではない。

最終的に「自分らしさ」を
発揮することが
お客さんに伝わるところ。

老人ホームで働こうと、
コンビニのレジ打ちだろうと

自分がお気に入りの
お店の常連になって
お客さんとして
応援するとか

外に働きにいけず
家事と子育てしか
できなかったとしても

あなたを必要としてくれて
あなたの助けを喜んで
くれる場所が
「あなたらしさ」が
発揮できる居場所。