全くの独学でいきなり
開業される方はあんまりいらっしゃらないと思います。
資格や一定期間どこかで働いてから
独立されることが多いですよね？
鍼灸院を開業するにあたって
不安だったのは、
開業してちゃんと患者さんを治せるか？
という点でした。
私は鍼灸の専門学校を卒業した後
どこかの偉い先生の治療院で勤めたわけでなく
産婦人科で助産師として働きながら
妊婦さんや、お産の人
産後のママに施術をしていました。
鍼灸の勉強自体は
定期的に学会に通っていたので
続けていましたし、
鍼灸とは違う視点で体について
学ぼうと思って
愛知県小牧市の「ＦＭＴ自然整体スクール」も
卒業しました。
どこか、偉い先生のもとで
一定期間、修行したわけでもないので
なかなか自分に自信がもてませんでした。
いままで違う仕事をされていて
新たに独立して開業される方などは
今の仕事とのかねあいもありますよね？
私も2011年11月まで助産師の契約の仕事も
続けなければならず
なかなか、開業の方のことだけ
考えるわけにはいかなかったので
イライラした時期もありました。
ですが、できていないことに
目を向けるのをやめたんです。
あれこれやれるようになろうと
背伸びをするのでなくて
今、できていることを
着実にできるようになって
精度をあげようと。
ちょうどそのころ、
すんごい、すんごい腕の良い鍼灸の先生から
通っている患者さんで
逆子が治らなくて困っているという
相談を受けて
その先生に治せないなら
日本中どこに行っても
治らないからっていう腕の先生なので
私は何のアドバイスもできなかったのですが
私が逆子の方には
今まで頑張ってきたことを
逆にやめてもらうような
指導をする、と話したら
「僕は男で
今まで奥さんがたくましく家庭を
しきってくれていて
女の人の繊細な気持ちなんて
考えたこともなかった」と
私を褒めてくれました。
そのときに、
今更焦っても腕はそんなにあがらないけど
今まで私が当たり前にしてきたことを
普通にやればいいんだ、と思いました。
それまでの私は
例えば一生懸命、フランス料理の店をだそうと
していたのだけど
タマゴかけご飯専門店にきりかえたみたいな。
ちなみに一番得意なのは
「寝かしつけ」
独身時代から知人の子どもを抱っこしているだけで
寝かしつけるのが早いので
よく「すご～い」と褒められていました。
施術をしていると私の患者さん達は
よく寝ます。
みんな疲れているからかな～と
思っていたのですが
先輩の施術家から
「加藤さんは、‘お母さんの手’だね」と
褒めてもらってから
自分が子どもを育てた経験を通して
得た感覚がにじみでてくるんだと気づきました。
患者さんは技術より人間性につくんです。
普段の生活、考え方、何を大事にして
意識をどこに向けているか…。
全部、手のひらから伝わっていくのです。
もし、これから開業される方で
技術の準備をしたいというなら
場所はどこでもいいから
とにかく一人でも多くの施術をしてください。
その時、絶対にお金をとってやったほうが
いいです。
できたら、開業した時のことを想定して
施術時間とか、施術の順番とかも
意識して。
他に仕事をしている人にとっては
月に一回とかしか
予定を空けることができなかもしれませんが
それでも続けることが大事です。
技術って上を向いてめきめきと
上手くなるときって少なくて
たいてい下手になっていくか、
現状維持かのときがほとんどなので
やっぱり日々、こつこつと積み重ねないと
上達しないのです。