What'd I Say レイ・チャールズ ~高倉健さんを偲ぶ | 自然と音楽の森

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洋楽の楽しさ、素晴らしさを綴ってゆきます。

20141119RayCharles

 ◎What'd I Say
 ▼ホワッド・アイ・セイ
 ☆Ray Charles
 ★レイ・チャールズ
 released in 1959
 2014/11/19




 
 高倉健さんが亡くなられたことは、昨日から今日にかけ、そして明日以降も、日本中で語られることでしょう。

 僕もショックでした。
 昨年、皇居での文化勲章親授式の映像を観て、まだまだお元気そうでとほっとしたものでした。
 83歳で亡くなられたのは若すぎるとはいえないでしょうけど、1年前のそのことが印象に強く残っていたので、「突然亡くなられた」、と、僕には感じられました。
 人間の命はかくもはかないものなのか、とも。

 僕は、高倉健さんの映画は数本しか観たことがないけれど、日本人として誇りに思える、尊敬に値する人でした。

 そんな僕が高倉健さんについて印象深いことふたつ。

 ひとつはあの、「不器用ですから」のCM。
 亡くなられてから、テレビ新聞ネットで健さんの情報が多く上がっていますが、今にして、珍しくCMに出たというその時の心のありようが不思議に思えてきました。

 「不器用ですから」は流行語になりましたが、それ以上に、日本人の常套句として定着したと感じています。
 だって、そのCMは1984年、僕はまだ高校生の頃でしたが、大学生になってもその台詞を言っていましたから。
 当時、バイト先で僕が「不器用ですから」と言うと、「お前はそういうガラじゃないだろ」と笑われたものです。
 逆にカッコつけていると思われたのでしょうね、ましてや女性がいる前だったから(笑)。
 
 そして今でもこの台詞は、多くの人が言っているのではないかと。
  誰かが言った台詞ではなく、昔からある言い回しであるかのように。



  僕が自分の意志で観た高倉健さんの映画は
 『八甲田山』『幸福の黄色いハンカチ』『駅 Station』『南極物語』
  洋画の『ザ・ヤクザ』『ブラック・レイン』『ミスター・ベースボール』
 7本、ということですね。

 邦画4本のうち3本は北海道にゆかりがある話で、ロケも北海道でしているものもあるので、そういう点でも高倉健さんへの思いのようなものはありました。
『鉄道員(ぽっぽや)』、僕は観ていないのですが、そこで「幌舞駅」として撮影に使われたJR根室線「幾寅」駅にある展示やセットを見に行ったこともあります。

  僕は健さんの映画をそれほど観ていないのは上記の通りですが、それでも、僕は僕なりの健さんを偲ぶ記事を書きたくて、 今回は、レイ・チャールズのこの曲で上げることにしました。
 いかにも洋楽好きの僕らしく、ということで。
 実際、昨日のその報に接してから、僕の頭の中ではこの曲が何度も何度も流れては消えています。



 健さんについて印象深いことのもうひとつが、映画『ブラック・レイン』。
 そこで使われた曲がWhat'd I Sayでした。

 映画は当時、日本で本格的なロケを行い、健さんが出ていることが劇場公開前から大きな話題になっていました。
 さらには公開後、松田優作さんが若くして亡くなられたことで世の中に大きなショックを与えました。
  今でも思い出すのですが、公開されてすぐに、新宿伊勢丹の近くの劇場の前を通ると『ブラック・レイン』のポスターがあり、いつか観に行こうと思った翌日に優作さんが亡くなられたのでした。

 その映画で、アメリカから来たマイケル・ダグラスと健さんが、クラブのような場所でこの曲を歌ったシーンが印象的なのです。

  確か健さんはマイケルに黒いサングラスを無理矢理かけさせられ、あの♪ あーああ おーおお の部分を健さんは歌わされ、 自信なさそうに調子はずれで歌うのでした。
 なんだか健さんがマイケルにいじめられているようで・・・(笑)。

 爾来、この曲を聴くと、いまだに、健さんとマイケル・ダクラスのシーンを思い出します。

 レイ・チャールズの歌について。
 まだソウル未満のR&Bといった趣きですが、レイのおかまっぽい声だったり女声コーラスとの絡みだったりと、エンターテイメント性の高さは後につながるものでしょう。
 そう、思わず♪ あーああ と歌ってしまう。

 そしてこの曲には本物の黒さがある。
  後のロックもソウルも、源はここにある、という曲でしょう。
 なお、この曲はビートルズもデビュー前に歌っていて、トニー・シェリダンとのライヴで聴くことができます。

今回のYou-Tube映像は、1963年のスタジオライヴです。


 高倉健さんが亡くなられた11月10日は、森繁久彌さんと森光子さんが亡くなられた日でもある、というのは、ただの偶然では片付けられない。

 昭和世代には、そう感じる人が多いかもしれません。

 安らかにお眠りください