「女心の歌」 ヴェルディ『リゴレット』より | 自然と音楽の森

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洋楽の楽しさ、素晴らしさを綴ってゆきます。

20140615VerdiPavarotti

 ◎La Donna E Mobile
   from the opera RIGOLETTO by Verdi
 ▼「女心の歌」
  ヴェルディ作曲 歌劇『リゴレット』より
 2014/6/15  

 ワールドカップ2014ブラジル大会が始まりました。

 僕は普段はサッカーを観ないけれど、W杯は、通常起きている時間に放送する試合は観るという人間です。
 「にわか」、というより、「4年に1度」ファン、と呼んでください(笑)。
 
 日本はコートジボワールに1-2で負けてしまいました。
 先制したので少し期待したのですが、先制しただけで勝てるほどW杯は甘くはなかったですね。
 ただ、2勝1敗で予選を乗り切るその1敗目がたまたま初戦だった、というくらいの割り切りであと2試合に臨んでほしいです。
 もちろん応援します(割とひっそりと)。



 今日は日本戦の前に、イングランド対イタリアの試合がありました。
 同じ日に、しかも続けて試合があるなんて。
 サッカーの試合を熱心に観たのはほんとに4年振りかな。

 僕は、父と弟がイタリア人で、とうのはもちろん嘘、亡くなった父が仕事の関係でイタリア語が話せたので、小さい頃からイタリアを好きになるようにしむけられました。
 実際、好きですけどね、でも弟のようにイタリア語を習得するまでには至っていません。

 僕が中3の年にW杯スペイン大会があり、イタリアがブラジルとアルゼンチンを倒して決勝トーナメントに進み、ポーランド、西ドイツと倒して優勝しました。
 当時NHKで試合の生中継をしていて、ポーランド戦からは生で観ていたのですが、あれよあれよという間に勝ってしまった。
 僕はそれまでサッカー自体にも興味がなかったのですが、何事も最初の衝撃が大きくて重要、僕はそれからイタリアの応援をするようになりました。
 2006年にもイタリアは4度目の優勝をしましたが、父がその翌年に亡くなったので、今となってはより一層思い出深いです。

 というわけで、わが家ではイタリアを熱烈応援しています。 
 弟は昨夜、イタリア代表のレプリカジャージを着ていたくらいの熱の入れよう。

 試合は2-1でイタリアが勝利!!!

 予選リーグはいつもぎりぎり通過、でも前回はその戦略が外れて決勝トーナメントに進めないとう大失態を演じてくれましたが、そんなだし相手も相手だから、期待していなかったので、予想外の勝利の喜びに針が大きく振れました。
 その後日本が負けて、針が振れ戻ったのですが・・・

 イタリアがいるグループDは「死の組」と呼ばれ、4か国中3か国、この2つとウルグアイが優勝経験があるという組ですが、そのウルグアイがコスタリカに負けるという事態になり、イタリアの希望の芽は大きくなってきた感もあります。

 ただ逆に、負けたイングランドも、ウルグアイが負けたことで、初戦のイタリアに負けたことが当初ほど大きなダメージではなくなったともいえるかもしれないですね。
 さらにいえば、イタリアにとっても、1つ勝ったからといってリードしたともいえない、と言えるのでしょうけど。



 ところで、ビートルズばかを自称する僕なのに、イングランドは応援しないのか、と言われそうですが、イングランドは、イタリア、日本がいない状況では最初に応援する、くらいかなあ。
 
 僕は、サッカーの代表としてのイングランドと言われると、音楽ではアイアン・メイデンを象徴として思い浮かべます。 
 やはりビートルズじゃないのかと言われそうですが、ビートルズは「英国」で最初に思い浮かべるもので、いわばビートルズは「国家全体」、メイデンは「そのいち地方イングランド」といったところ。
 メイデンは、ステージでもユニオンジャックではなくイングランドの旗を振ったり、Maiden Englandという編集盤をリリースしたりしていて、イングランドだけに限ればイメージが強いです。
 ただ、メンバーはひとりだけスコットランド人なのですが・・・

 弟がメイデンの英国ファンクラブ会員だと何度か言いましたが、弟も、サッカーのイングランド代表はそれほど応援していない、少なくとも今日イタリアが勝って喜んでいた、くらいのものです。
 そんなことをスティーヴ・ハリスやブルース・ディッキンソンが聞くと怒りそうですが(笑)。
 


 話は逸れましたが、今回はイタリアの話題。

 サッカーの戦術や技術はよく分からないのですが、ピルロのパス回しやボールタッチの柔らかさは素人の僕でも感じられるくらい素晴らしかった。
 1点目のスルーパス、のそのそと動いているようで来たボールをさっと飛び越す、なんて人だと。
 ロック的にいえばまるでインド帰りのような濃いひげ面ですが(笑)、画面を見ていてついついピルロがどこにいるか探してしまう。
 観ていて楽しい選手、いや、人ですね。

 バロテッリはやんちゃぶりを発揮することなくきっちりと仕事をして、安全策のために(!?)交代していましたが、これから伝説が始まるその最初のゴールを見たのかもしれない。
 と書きましたが、実は僕、今朝は前半が終わったところでうとうとしてしまい、意識が戻ると誰かがバロテッリにパスを出したところで、目を開ける寸前に「ゴール!」という声が聞こえた。
 つまりは彼のW杯最初のゴールの瞬間は見逃しました(笑)。
 でも、我ながらすごいタイミングで意識が戻ったな、と妙に感心もしました。

 GKのブッフォンが昨日けがをしたとかで今日は出ていませんでした、残念。
 ブッフォンは近年、素顔のアリス・クーパーにますます似てきたなあ(笑)、けがは軽傷とイタリア側は主張しているそうで、それを信じて、次の試合では姿を観たい。

 4年に一度男で間は追っていないので、今回は知らない選手がほとんどでした(バロテッリはユーロで観ました、つまり、他の試合もたまに観ています)。
 他に知っている中では、デ・ロッシが後半の終わり近くにペナルティエリアのすぐ外でファウルして相手にFKを与えてしまいましたが、確か前の大会でもレッドカード退場になっていたはずで、ううんやっぱり暴走癖は治っていないのか、と、今後心配に。
 
 20番の選手(敢えて名前は書かない)の「頭」、上から撮るとかなり衝撃的だった・・・

 いろいろと印象的な試合でした。



 ここが音楽BLOGであるとするなら、今までの長い話は序章でして。

 僕は今日、試合の途中から、或る曲が頭の中で鳴り出して止まらなくなりました。

 「女心の歌」 ヴェルディ作曲 歌劇『リゴレット』より

 なぜかといえば、これが駄洒落でして・・・

 バロテッリと交代したのが、今年のセリエAの得点王、インモービレ Immobile。
 この曲は原題La Donna E Mobile、歌い出しもそのまま歌いますが、♪らどんなえもーびれ、 が、 ♪らどんないもーびれ に聴こえる、ただそれだけのことでして・・・お粗末でした。

 試合が終わってもまだ頭の中で鳴っていて落ち着かないので、ついに先ほど、『リゴレット』のオペラのCDを聴き始めてしまいました。

 You-Tube映像のひとつめはルチアーノ・パヴァロッティがニューヨークのメトロポリタン歌劇場で『リゴレット』に出演した時のもの。
 冒頭の写真のCDはその曲(同じヴァージョンではない)が入ったパヴァロッティのベスト盤ですが、そういえばパヴァロッティもイタリアが優勝した翌2007年に亡くなりましたね。
 なお、オペラで聴いたCDはドミンゴが歌うジュリーに指揮のものです。

 もうひとつのYou-Tube映像はそのドミンゴとカレーラスも参加したおなじみ「3大テノール」のもの。
 冒頭でアーノルド・シュワルツェネッガーが写っていますが、1994年にロサンゼルスで収録された、サッカーW杯アメリカ大会記念コンサートのもの。


 
 「女心の歌」、タイトルをご存知なくても、聴けば「ああこの曲ね」という人が多いのではないかと。
 かくなる僕も、クラシックを聴くようになって最初に聴いた時、「ああこれか」と思い、そこで誰の何という曲かを知りました。 
 ヴェルディのアリアとして日本でもよく知られた曲のひとつだと思います。

 タイトルの意味は「女性(の心)とは移ろうものだ」、恋愛の過程で歌われるもの。
 "donna"は女性で、ロックの世界ではスティーヴィー・ニックスのBELLA DONNAが有名、「美しい女性」という意味。
 だから実はアンスラックスのジョーイ・ベラドナは「美しい女性」という名字なのでした(笑)。
 "mobile"は英語の「モバイル」ですが、インモービレの場合は打消しの"im-"がついていて、実は意味が正反対、女性は心が動かない、ということになり、いかにも今風かもしれない。

 まあとにかく♪らどんないんもーびれ、などと口ずさんでおります(笑)。

 サッカー絡みの余談で、ヴェルディの曲で日本でいちばん知られているのは、『アイーダ』の「凱旋行進曲」でしょう。
 その昔、フジテレビの「セリエAダイジェスト」のテーマ曲として使われ、イタリアではサッカーファンが歌う歌として定着していたものが、中田氏がセリエAに行った頃から日本でも知られるようになったと記憶しています。
 以降CMでもよく使われていますが、これについてはまた別の機会に。



 ところで、今日のイタリア戦の解説は早野さんでしたが、実は僕、早野さんのファンなのです。
 よく響く低音の中、時々、何の予兆もなく駄洒落を入れてくるのがたまらない。
 真面目なサッカーファンのかたは、バカにされているようでお嫌いかもしれないですが・・・
 解説が早野さんと分かって、朝からテンション上がりました(笑)。

 以前、いつの大会だったか、ブラジルのスコラーリ監督を僕は俳優のジーン・ハックマンに似ていると思いながら観ていたところ、ブラジル戦の解説に出てきた早野さんが「ジーン・ハックマン似」と言っていたのを聞いて、この人とは感じ方が似ているんだと思い、それからのファンです。

 今日は、イングランドのGKがハートで、バロテッリに点を入れられて「ハートブレイク」だとか、彼はリーグ戦の頃一時期不調だったのが立ち直ってきたとアナウンサーが話を振ったところで「ハートが強いんじゃないですか」とさらりと言ったり、と。
 
 今日は、イタリアの監督はブランデッリ、まずそれを頭に入れて、後半に(守備をしない)バロテッリを(守備にも汗を流す)インモービレに変えたことで守備が強化されたのを見て、「監督の「プラン通り」、ブランデッリ」とハイパー駄洒落も炸裂していました。
 アナウンサーは駄洒落だと気づかなかったのか、もっと他の理由で(笑)、何事もなかったかのように話を進めていたのが笑えました。

 このように、いわゆる「親父ギャグ」より少しひねっているのがいいところ。
 といって、「親父ギャグ」並みのもたまに(よく?)入れてますけどね。

 もちろん解説も分かりやすくて、今日はイタリアとイングランドの選手の高度なプレイにいち個人として感心しまくっていたのには共感を覚えました。

 早野さんが次はどの試合を開設するのか、それもまた今大会の楽しみになりました。
 まあ、好き嫌いが分かれるので、日本戦では出ないでしょうけど。



 結局のところ、今日は駄洒落で話がまとまってしまいましたが、こんな日もある、ということでさらりとお読みいただければ、そして曲を聴いていただければと思います。

 W杯は始まったばかりですが、寝不足で日常生活に支障をきたさない程度に観て楽しんで時々応援したいですね。

 ところで、イタリアと日本は、決勝トーナメントの最初に当たる可能性があるそうで。
 イタリアが1位で日本が2位、或いはその逆だとそうなるみたいですが、本当に当たるとすれば、さて、どうしよう。
 なんとなく、日本のザッケローニ監督がイタリア人だから、トーナメントで当たるという「運命の筋書き」のようなものがありそうな気がしてならないのですが・・・