Let's Groove アース・ウィンド&ファイア | 自然と音楽の森

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 20140321EarthWindFire

 ◎Let's Groove
 ▼レッツ・グルーヴ
 ☆Earth, Wind & Fire
 ★アース・ウィンド&ファイア
 from the album RAISE!
 released in 1981
 2014-03-22

 アース・ウィンド&ファイアのこの曲、3月に入り東京に行ってからずっと、1日に何度か思い出しては口ずさんでいます。

 僕がアース・ウィンド&ファイアを知ったのもこの曲でした。
 中3の時、FMでエアチェックして聴いたのだと思う。
 とてもいい曲だと思いました。

 高校に入って、新たなクラスで、最初に列に並んだ時、僕は前にいた人に声をかけました。
 「音楽聴きますか?」
 「ああ、好きだよ、アースとか」
 彼はそう言いましたが、僕は「アース」が分からず、バカ正直に「アースって何?」と聞き返しました。
 彼は特に反応も示さずアース・ウィンド&ファイアだよと答えたところ、僕はこう言いました。
 「ああ、Let's Grooveの人たちね」
 すると彼は烈火のごとく怒りました。
 俺はそんなヒット曲を知ってるだけのミーハーじゃない本当のファンなんだぞ、と言いたかったのでしょう。
 しかし、おかげで彼とはすぐに仲良くなりました。
 その彼が、今でも親交がある、さいたまのソウルマニア友だちM君です。
 ローリング・ストーンズのコンサートで東京に行った時も会食しました。

 そんなことも重なって、最近はよく口ずさんでいます。
 まあ、口ずさむといっても、フィリップ・ベイリーのあのハイトーンだから、周りに誰もいない時か、運転中だけですが。

 Let's Grooveは、1981年のアルバムRAISE!、邦題「天空の女神」からのファーストシングル。
 ビルボードのシングルチャート最高第3位、彼らにとっての現時点での最後のTop10ヒット曲です。
 ところで僕は、この曲が入ったそのオリジナルアルバムは持っていないので、今回の写真はベスト盤でその代わりとさせていただきました。

 このビデオクリップを見たのはM君と知り合った後のことで、リリースの6年ほど後だったはずだけど、最初に見た時から「古臭い」と感じました。
 
 そう感じたのは、ディスコを意識させるキラキラした映像かな。
 ディスコ自体がもう流行りが終わって過去のもになりかけていた頃でしたから。
 
 曲はディスコの後のソウルといった趣きで、まあディスコ一辺倒から上手く脱却した素晴らしい曲だと思います。


 歌い出しのところは「生麦生卵」に聞こえると、「空耳アワー」のごく初期に取り上げられ、爾来、僕もそう歌っています。

 0'16"、宇宙のピラミッドの中からアースのメンバーが隊列を組んで踊りながら前進してくる。
 
 コーラスが始まるとメンバーが大写しになり、みんなグルーヴ感を全身で表しながらにこやかな表情で歌って踊る。
 このコーラスは最高にいいですね。
 "Let this groove get you to move it's alright, alright"
 "Let this groove set in your shoes so stand up, alright, alright"
 と歌うわけですが、"all right"が出てくるのが後の方(2行目)では遅れて出てくるのがいい。
 ここは歌い始めるとループになってしまう(笑)。

 0'40"、よく見ると女性がいた、まあ、そうでしょうね、グルーヴなことですからね。

 0'46"、ヴァースが始まって初めてモーリス・ホワイト御大の顔が大写しに。
 それまでフィリップ・ベイリーの高音を中心として進んできた中、ここでモーリスが低音で攻めるのは曲としても上手いと思います。
 
 1'02"から1'09"にかけての歌詞はこうです。
 "Just move yourself, and glide like a 747 (seven-forty-seven)"

 僕がこの曲を口ずさむようになったきっかけはこれ。

 20140321EarthWindFire747

 ANAのボーイング747型機。
 「ジャンボ機」、今月で退役、つまりもう見られなくなるんですよね。
 羽田空港で飛行機を待っている時に、たまたま隣の搭乗口にいたのがこのジャンボ機で、ガラス越しだけど撮影しました。
 退役するとあって、僕以外にも3、4人が写真を撮っていましたが、みな男性、見たところみな35歳以上でした。
 自分から撮りに行かない限りは、僕が見るのもこれが最後かな。

 その時、この曲のこの歌詞の部分を思い出して、それから頭に口にこびりついてしまいました。

 ちなみに、アルバート・ハモンドのかの有名なIt Never Rains In Southern California 邦題「カリフォルニアの青い空」でも、歌い出しのくだりで747が出てきますね。
 "Got on board a westbound seven forty seven"
 でもその時はアースのほうを先に思い出しました。

 ジャンボ機といえば僕にも思い出があって、大学時代に羽田空港で夜間アルバイトをしていて、ジャンボ機の整備などをしました。
 使ったイヤホンを回収して、未使用のビニールに入ったものや機内誌それに「ゲロ袋」などを座席のポケットに入れて、というのが毎日の最初の作業でした。

 話は逸れました、歌に戻ります。
 ここで747が出てくるのは、空を飛ぶような気持ちよさ、そして次の節の"heaven"と韻を踏むためでしょうけど、身近なものが歌詞に出てくるとうれしいですよね。

 1'17"、二度目のコーラス(サビ)になると、メンバーの画像にエコーみたいな映像処理がされる。
 今見ると強烈に古いですね。
 でも、ダフト・パンクのGet Luckyやブルーノ・マーズのTreasureのビデオクリップはこのイメージを再現したわけで、時代は80年代回帰なのかなと、アースを見直してあらためて思いました。
 しかしやっぱり僕は、ダフト・パンクやブルーノ君のそのビデオクリップを見て、最初は可笑しかったのですが。

 1'32"、二度目のヴァースに入ると、フィリップとあと2人の3人の隊列。
 気になったのは向かって右のギタリストの人。
 M君と仲良くなってアースの話を聞かせてもらった時、「ギタリストがイタリア人なんだ」と言いました。
 そうかこのギタリスト、そういえばイタリア人っぽい顔をしているぞ。
 僕は父がイタリア関係の仕事をしていたのでイタリアという言葉には敏感なのですが、調べると、ローランド・バティスタという人で、イタリア人ではなくメキシコ系アメリカ人とのこと。
 イタリア人はM君の勘違いだったのか、残念。
 それにしてもこのバティスタさん、SG持って弾きながら踊る、動きはなかなか切れがいいぞ。
 SGというのが僕は意外に思いましたが、でも軽くて踊りやすいので納得。
 なお、ローランド・バティスタ氏は惜しくも一昨年急逝されています。

 2'04"、3回目のコーラスになるとモーリスやフィリップなど5人がピラミッド型になって女性を取り囲み、女性はその中で人形のように踊る。
 合成映像だけど、なんだかちょっとばかり可笑しい。

 2'19"、曲の中で一度しか出てこない中間部(=ブリッジ)では、モーリス御大の顔が宇宙に3つも大写し。
 なんだかちょっとばかり可笑しい。

 2'34"、"Boogie all down"と歌うところでモーリスの顔がひとつになり、気持ちよさそうに"down"と繰り返す。
 これまたなんだかちょっとばかり可笑しい。
 そして僕はこの♪だぁうん とよく口真似しました。
 ところで今思いました、モーリスの下で踊る女性の周りのCG、いや当時はコンピューターじゃないのかな、とにかく青くて斜めの楕円形で環状に広がるグラフィックは、蓮の葉をイメージしたものかもしれない、と。

 まあでも、当時の映像技術を駆使したこのビデオクリップ、曲のイメージには合っているし、曲の内容を邪魔していない、あくまでもメンバーのシーンだけが映像として印象に残るいいビデオクリップだとは思います。

 しかし、このビデオクリップで僕がいちばん驚いたのが。

 3'39"、最初のシーンの繰り返しと思いきや、モーリス・ホワイト以外のメンバーが一瞬にしてすべて後ろ向きになり、後退しながら元来た場所に戻っていくこと。

 律儀な人たちだなあ!

 感動というのは違うかもだけど、感心したというか。
 しかも、エンターティメントの世界では客に尻を向けるなという決まりのようなものがあったはずだから、それにも反している。
 面白いアイディアだなって。
 出てきた人が戻っていくビデオクリップなんて、他に見たことがないし。

 アースは日本でも人気がありましたが、そうした生真面目な部分が受け入れられたのかもしれない。
 それでいてショーは派手に大きく、もちろん歌は親しみやすく、そしてモーリスとフィリップというキャラクターがいい。

 この曲は今でもアースでいちばん好きです、Fanatsyでも9月でもなくて。
 イントロのブラスの旋律も口ずさむくらいですが、僕はブラスに明確な旋律を持たせている曲が好きみたいですね。
 
 
 そしてやっぱり、1980年代の音楽に時々戻ることが、僕にとっての精神安定剤のようです。