CLASSICS THE EARLY YEARS ニール・ダイアモンド | 自然と音楽の森

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自然と音楽の森-April29NeilDiamond


◎CLASSICS THE EARLY YEARS

▼クラシックス・ジ・アーリー・イヤーズ

☆Neil Diamond

★ニール・ダイアモンド

released in 1983

CD-0398 2013/4/29


 ニール・ダイアモンドの1960年代のヒット曲などを集めた編集盤。


 ニール・ダイアモンドはアメリカの国民的歌手といった存在ですが、日本ではおそらく、まるで人気がないのでしょうね。

 ニール・ヤングと同じ類の人、という感じかもしれない。

 というのは実は、僕も中3まで思っていたから・・・


 まあ実際に音楽は、ものすごく遠くはないかな。

 アコースティック・ギターを基調とした、フォークやカントリーの香りがする歌。

 ロックかといわれると、広義のロックではあるけれど、でもロックだとは言い切れないのがニール・ヤングとの違いでしょうか。

 ニール・ダイアモンドは、心はあくまでもポップスの側にある人です。

 

 ニール・ダイアモンドは、アメリカでアダルト・コンテンポラリーと呼ばれる音楽スタイルのアーティストの中では、エルトン・ジョン、バーブラ・ストライザンドに続いて3番目に大きな成功を収めた人ともいわれています。

 デュエットも含め自らの名義で3曲のNo.1ヒットがあり、他の人への提供もしくはカヴァー曲でもNo.1に輝いた曲が複数あり、作曲家としても秀でた人です。

 若い頃は、歌手として以上に作曲家として業界では重宝されていたのだとか。

 声は、美声ではない、アクがありクセはあるけれど、それが故に印象に残りやすい商業向きの声だとは思う。


 僕も、ニール・ダイアモンドを聴くようになってまだ5年ですけどね。

 きっかけは、70歳にして発表したHOME BEFORE DARKを聴いたことですが、あまりにも素晴らしすぎるそのアルバムはいつか記事にします。


 それから10枚以上CDを買いましたが、なんせキャリアが長い人である上にリマスター盤が出ていないので、アルバムをすべて集めるのはひとまず保留し、かいつまんで買っています。

 これはその中の1枚で、若かりし頃の曲を集めた編集盤、年代限定のベスト盤といっていいほど充実した内容。


 1曲目Kentucky Woman

 このCDを買って聴いてみて、「これ知ってる! これはニール・ダイアモンドの曲だったんだ」、と発見多数。

 1曲目から、これはディープ・パープルがロッド・エヴァンス時代にカヴァーしていて、Rhinoから出ているベスト盤にも収録されていますね。

 パープルのそれはカヴァーであるのは知っていたんだけど、ロッド・エヴァンス時代はあまり聴かないこともあって、誰の曲までは記憶していませんでした。

 まさにNDの典型といった、フォークソングのスタイルの歌メロがいいポップソング。


 2曲目Cherry, Cherry

 基本は同じですが、NDの曲はサビの部分がとにかく印象に残りやすくて思わず口ずさんでしまう、しかもアンセム的にみんなで歌いやすい、その点がいかにもポップソングの作曲家といえるでしょう。

 だから、ロック側からは軽い嘲笑の的なのかもしれないけれど。


 3曲目Solitary Man

 マイナー調の曲でもそれは同じ。

 サビは明るく盛り上がろうとするけれどどこか引きずってすぐにマイナー調に戻る。

 さりげなく入るホーンがよく、歌メロ同様サウンド的にもセンスがいい。


 4曲目You Got To Me

 ブルーズハープで始まり、これはどうなるんだと思うけれど、曲が始まるとやっぱりND節。

 

 5曲目I Got The Feelin' (Oh No, No)

 スロウテンポでしんみりと歌い始めるけれど、サビではソウル的に盛り上がる。

 "Oh No, No, No"と歌う部分が耳について離れない。


 6曲目Thank The Lord For The Night Time

 NDは、日本風にいえば「濃ゆい」人ですね。

 あくが強い、押しが強い、そうなんだけど、でもそのほうがぴったり。

 多分、そこがだめな人はだめだと思います・・・

 僕は、こうこうこういうタイプだからダメ、というのは基本的にはなくて、あくまでも個性にどう反応するかで好きだったり聴かなかったりします。

 ただ、その濃ゆさがあるので、こんな曲を歌っても聴かされてしまうのだろうなあ、と。


 7曲目I'm A Believer

 これ知ってる!! 2曲目。

 モンキーズの1966年のNo.1ヒット曲で、NDが書いた初めてのNo.1ヒット曲でもありますね。

 モンキーズは実はまともに聴いたことがなくて、ベスト盤を持っているのみですが、ただのアイドル以上の存在だったと後になって評価が上がったのではないかな、と個人的には思っています。

 こうした曲があるのもそんなところでしょう。

 現金かもしれないけれど(笑)、いいですね、この曲はほんとうに歌いやすくて気持ちが明るくなる。


 8曲目Girl, You'll Be A Woman Soon

 これ知ってる!!! 3曲目。

 1990年代にMTVをよく見て聴いていた頃、映画『パルプ・フィクション』の挿入歌として、アージ・オーヴァーキルが歌ったものが毎日のように流れていてこの曲を知りました。

 とてもいい曲だな、ユマ・サーマンきれいだし、などと思いながら見ていたけれど、でもCDを買うまでには至らなかった。

 アージ・オーヴァーキルのヴォーカルの人の声があまり好きではなかったのもありました。

 それから月日は10年以上流れ、今から5年ほど前、NDを聴くようになってから、突然、アージ・オーヴァーキルのその曲を何かのきっかけで思い出し、懐かしさも手伝って無性に聴きたくなりました。 

 いつものようにブックオフに行くと、PULP FICTIONのサントラが首尾よく500円であったので購入、漸くCDで聴きましたが、でもやっぱりヴォーカルの声が、と。

 ところが、そのすぐ後にこのCDを買って聴いて驚いた。

 ニール・ダイアモンドの曲だったのか!!!

 サントラを買っても誰の曲かまではブックレットに目を通さなかったので把握しておらず、それが、ほんとうにすぐ後に買ったこのCDに入っていた。

 なんという偶然、これは間違いなく音楽の女神様が導いてくれたのだと(笑)。

 それはともかく、僕はNDの声は好きだから、その声でこの素晴らしい曲を聴けたのがうれしかった。

 バラード風に弾き語りで始まり、バンド演奏になったところでテンポが上がって、感傷的に歌い継いでゆくニール。

 タイトルの言葉を歌う部分で、ヴォーカルとコール&レスポンスで入ってくる3音のギターのフレーズがたまらなくいい。

 今やすっかり、ニール・ダイアモンドでいちばん好きな曲になりましたね。

 ただし、ひとつ残念なのは、僕はニールが歌う下のほうの声が出なくて、その部分は上で歌って、ニールが声を上げたところで逆に僕は下げて歌わなければならないことです。


 9曲目Shilo 

 あれだけ素晴らしい曲を聴いた後は、いつものニール節でCDは流れてゆくという感じ。

 

 10曲目Do It

 大人しいフォークソングだけど女声コーラスが入ったサビというかタイトルを歌うフックはどうしても耳に絡みついて残ってしまう。


 11曲目Red, Red Wine

 と思ったら、もう1曲、これ知ってる!

 僕のリアルタイムではUB40が歌ってNo.1ヒットに押し上げていたけれど、これもそうだったのか。

 つまりこのCDには、他人が歌ってNo.1ヒットとなった曲が2曲入っている、しかも年代も1960年代と1980年代、それだけでもニール・ダイアモンドが優れたソングライターであることがお分かりいただけるかと。

 オリジナルのこの曲は、2拍目4拍目にギターのカッティングが入って入るけれどリズムはまだ完全なレゲェとはまでは行っていない。

 それをレゲェに仕立て上げたのはUB40の勝ち、といったところかな。

 

 12曲目The Boat That I Row

 アメリカ人は川に関する曲が好きですよね。

 最後までND節満載でCDは終わります。



 僕は基本は歌メロ人間だから、とにかく単純に口ずさみやすくていい歌が多いニール・ダイアモンドはすんなりと抵抗なく聴けます。

 

 でもやっぱり、日本では、アメリカだけで人気がある人、なのでしょうね・・・

 ニール・ダイアモンドを日本に置き換えて考えてみると、その年にはヒット曲がないのに毎年紅白に出る歌手、といえば分かりやすいでしょうか(笑)。

 

 それにしても、この後で自身もヒット曲を連発するように、ニール・ダイアモンドがいい歌をたくさん書いている人であるのは間違いありません。



 ところで最後に余談、なぜ今回、ニール・ダイアモンドが突然出てきたか。

 

 先日、NFLのドラフトが行われました。

 GAORAで放送されていたものを録画して観たのですが、面白いですね、アメリカン人は何でもテレビショウにしてしまうんですね(笑)。

 そもそも会場が、グラミー賞授賞式なども行われ、コンサートでも有名なニューヨークのラジオ・シティ・ミュージック・ホールですからね。


 NFLのドラフトは成績が悪い球団から順に指名していくものですが、各チームの事務所でどの選手を指名するかを話し合う様子まで中継され、指名が決まるとNFLのコミッショナーが読み上げ、会場が、各チームの地元のスポーツバーなどが盛り上がる。

 コミッショナーがまた、ニュースキャスターかというくらいに見栄えがする人。 

 一部の有力選手は会場に招待されていて、指名が終わって3分もしないうちに、選手の名前がプリントされた指名球団のレプリカジャージが出てきて着て写真撮影に臨む。


 そこまでやるかという感じはあるけれど、面白い。


 その番組で、ニール・ダイアモンドのSweet Carolineが流れていて、何でもその曲はボストン・レッドソックスの本拠地であるフェンウェイ・パークで7回表が終わったところ(始まる前だったかな)に球場に流れる曲であることを知りました。

 ボストンであるのは、あのマラソンの悲劇への思いからでしょうけど、MLBであるのは、まあその辺はこだわらないということで。


 そのSweet Carolineがここに入っていたかな、と、記憶があやふやだったので取り出してみたところ、それは入っていなかった、でも聴いたので記事にした、という次第です、長くなりましたが。


 ニール・ダイアモンドは久しく聴いていなかったんだけど、これでまた聴き直すきっかけになったかな。

 


 ところで余談ついでに、日本のプロ野球でもドラフトの指名順はこのようにできないかと話したところ、弟曰く「日本はあの球団とあのご老人がいる限りは無理だろう」、とのこと・・・