◎UH-HUH
▼天使か悪魔か
☆John Cougar Mellencamp
★ジョン・クーガー・メレンキャンプ
released in 1983CD-0377 2013/3/18
ジョン・メレンキャンプがジョン・クーガーからジョン・クーガー・メレンキャンプに改名したアルバムで、彼自身の7作目になります。
僕は中3からビルボードチャートを中心に洋楽を聴き始めましたが、ジョン・クーガー・メレンキャンプのこのひとつ前のAMERICAN FOOLは、僕が買ったビートルズとソロ以外の洋楽のLPでは最初から3枚目くらい、かなり早くに聴いていました。
そのアルバムの頃はジョン・クーガーと名乗っていましたが、売れたことで本人は芸名ではなく本名に戻したいと考えたところ、売り上げに影響するからとレコード会社から待ったがかかり、折衷案としてこの長い名前になった、という話だったかと。
ここから4枚、彼は長い名前で世に出ていましたが、1990年代に入って漸くただのジョン・メレンキャンプになれました。
音楽を聴いていると、嗅覚が備わってきますよね。
この人の音楽はこんなスタイルだからこのアルバムはどうとか、シングル曲がこの程度だからアルバムも期待できない、などなど、ある程度聴いて経験値が上がると、自分なりの考え方が備わるようになるものだと思います。
もちろん、予想や期待と違うことも多々あるけれど(特に人の話を鵜呑みにする場合)、良いほうに外れることもあるから、音楽を聴くのは面白くて楽しいのでしょうね。
ジョン・クーガー・メレンキャンプ、僕はこの前作を買いはしましたが、正直、シングルで大ヒットしたHurts So GoodとJack & Diane以外は、あまりうまく捕まえることができずに流れて行ってしまいました。
だからこのアルバムも、全体としてはあまり期待できないかな、と、高校生の分際で偉そうなことを語っていました。
ちょっとだけ自己弁護すると、若い頃は飽きっぽい、目先の新しいものに次々と興味が移りますからね、そうなるのはある程度は仕方ないかと。
ジョン・クーガー・メレンキャンプは、東夷jはまだ大好きといえるほどの存在にはならなかったこともあるのですが。
1曲目Crumblin' Down
最初のシングル、メッセージ性の強いロックンロールでそれなりに気に入りましたが、でも、若い頃の僕には、前作の2曲に比べると普通のロックとしか映りませんでした。
今はそれなり以上に好きですが、でも、歌メロよりはメッセージという曲かなと。
2曲目Pink Houses
名曲。
このアルバムを取り上げたのは、昨日の朝に散歩をしていて突然この曲が頭に浮かんで口ずさんだからでした。
口ずさんだのはクイーンではなかったんです・・・(笑)。
2枚目のシングルで、いつものように「ベストヒットUSA」で見て聴いて、これはいい歌、最初から気に入りました。
ただ、運がいいのか悪いのか、それを見て聴いたすぐあとにFMでエアチェックすることができて、しばしそれを聴いていました。
当時はまだ輸入盤シングルは買っていなかったのですが、そうではなければ間違いなく買ったと思う。
それくらい好きですね、昔から、今でも。
「ピンクの家々」の意味は、小林克也さんが説明していたような記憶があるのですが、残念なことに中身の記憶がありません。
歌詞の内容から察するに、さまざまな人が暮らすアメリカの喩えであることまでは想像に難くないのですが。
カントリー風のミディアムテンポの曲で、歌メロが最高にいいですね。
演奏が静かになるところで感傷的になるのが、Jack & Dianeに続いて、理想だけではないアメリカの裏と表をよく知っている人だなあと思います。
ただ、アメリカ人以外にはどうなのでしょうね。
僕は、歌詞の内容は理解しようとするけれど、自分が好きになるかどうかはまた別問題だから、♪えぃんとざっとあめぇりかぁ、などと能天気に口ずさんでいますが。
歌詞の中に"Rock 'N Roll station"と出てくるのは(実際は"rockin' rollin' station")、最初はロックンロールの駅があるのかと勘違い、この"station"はラジオ局ですね、「FMステーション」という雑誌もあったことだし。
ジョン・メレンキャンプのいちばん好きな歌は、やっぱりこれかな、これに決まり。
名曲ですね、「ローリング・ストーン」誌の「500の偉大な曲」で439位に入っているそうで、納得。
ただ、エアチェックして聴いていたとはいえ、いやむしろだからこそLPが欲しくなり、店頭で何度か手に取ったのですが、結局は買わなかった。
3曲目Autority Song
3枚目のシングル、いかにもロックンロールらしくギターの低音弦が躍動的に動き回る曲で、当時、おやっこれはいい、と。
しかしこの頃は僕の中ではもう2曲目の波が引いていて、結局はこの曲が気に入ってもLPを買うには至らなかった。
だから、僕がこのアルバムをフルで聴いたのは、3年ほど前に買ったこのリマスター盤が初めてでした。
この曲はCDで聴いて昔よりもずっといいなと思い、今ではお気に入り曲の一つです。
Wikipediaによれば、この曲はザ・クラッシュもカヴァーしたソニー・カーティスのI Fought The Lawの現代版だとのこと。
僕はまたこの曲で"authority"という言葉を知りました。
「オーソリティ」は今では、外来語としてある年代以下の人にはよく知られ、使われていますね、「スポーツ・オーソリティ」という店もあるし。
いつ頃からかな、今世紀に入ったくらいかな。
というわけで、ここからはほとんど初見の印象記。
4曲目Warmer Place To Sleep
ううん、今聴くとそれなりくらいでカッコいいと感じるけれど、当時もし聴いていれば、流れて行った曲かなあ。
普通のアメリカンロックの曲。
5曲目Jackie O
アメリカのフォーク系の曲にはよく人の名前が出てきますね。
メキシコ風の響きの曲、というのも高校時代には思わなかった、そこは僕の成長かな(笑)。
暖かいユーモアに包まれていて、気に入りました。
6曲目Play Guitar
タイトルのごとく、小さいバーで、開店前にセッションを楽しんでいるような曲。
このアルバム、音はいいですね、特にギターの低音が艶やかに聴こえます。
もちろん、LPをカセットに録音してラジカセで聴いていた頃は、それも気づかなかったでしょうけど。
結構気に入った。
7曲目Serious Business
これも普通のアメリカンロックで、いかにもジョン・クーガー・メレンキャンプといった響き。
8曲目Lovin' Mother To Ya
よぉ~く聴くとレゲエのリズムを取り入れている、軽くて明るくて開放的な曲。
そういえばこのアルバムは暗い曲がないのは、前作で売れて気持ちが前向きだったのかも。
9曲目Golden Gates
最後はやはり最後らしい落ち着いた曲で、タイトルからそれが想像できます。
彼のセンチメンタルな部分が出ている、そしてじわっと盛り上がる、これもなかなか以上にいい曲。
どことなく中国風の旋律のキーボードのフレーズが入る。
ただ、80年代真っただ中だけど、キーボードはほんとうに装飾音だけに抑えられていて、時代に縛られた古さはあまり感じないアルバムでした。
現行のリマスター盤CDには、Pink Housesのアコースティック・ヴァージョンが入っています、デモというか、ラフなものですが。
今はそれなり以上にいいアルバムだと思います。
アメリカンロックがデフォルトともいえる人間だから、かけておくだけで楽しいし気持ちがいいのは間違いない。
でも、高校生の頃に買っていれば、やっぱり、4曲目以降は印象に残らなかったかもしれない。
シングル曲が頭3曲で終わってしまうのは特に厳しかったかなあ、僕は10代の頃から歌メロ人間だっただけ余計に。
と書いてきてさらにWikipediaを見ると、このアルバムは、「ローリング・ストーン」誌が選ぶ1980年代ロックアルバム100枚の32位に選ばれている、という文章にも行き当たりました。
それほどまでに玄人筋には評価されているのを、僕は知りませんでした、32位なら高いといえますよね。
まあしかし、アメリカ人によるアメリカ人のための音楽であるし、僕だってアメリカンロックは大好きだけどアメリカ人ではないから、ははあそういうもんなんだ、というところかな。
ただ、Pink Housesが入っていることでこれだけの高評価になっているのは間違いないでしょう。
それだけの名曲中の超名曲ですからね。
1曲の印象でアルバム全体が引っ張り上げられるのもよくあること。
そして僕は、名曲が最初に世に出たアルバムで聴きたいという思いがあるので、その点は大いに理解できます。
ただ、「アーハー」ってタイトルは、ううん、どうなんだろう、いまだに真意をはかりかねる部分はありますね。
まあでも、例えばそれこそPINK HOUSESなどとはせず、なんとなくイメージで包むのはありだと思います。
どうでもいい余談だけど、「アーハー」といえば、ヴァン・ヘイレンのPanamaのイントロでデイヴがそう言うのを思い出しますね(笑)。
なんて、いいんだかよくないんだか分からない記事になってしまいましたが、そういうアルバムもあるということで。
CDの時代になり、リアルタイムでは買わなかったアルバムをよく聴くようになると、余計にそういうCDが増えてきました。
せっかくだから、暫くはアルバムを通して聴いてみよう。