◎CHANTS OF INDIA
▼チャント・オヴ・インディア
☆Ravi Shankar
★ラヴィ・シャンカル
released in 1997
CD-0329 2012/12/14
ラヴィ・シャンカルが亡くなりました。
享年92歳。
大往生といえるでしょうけど、ニュースで見る限りは最期は苦しかったのかもしれない。
ラヴィ・シャンカルは、ともすれば自身の音楽以上に、洋楽好きの間では2つのことでよく知られています。
ひとつは、ジョージ・ハリスンのシタールの師匠。
もうひとつは、ノラ・ジョーンズのお父さん。
僕は、一昨日、、最初にネットで死の報に接してから、頭の中でビートルズのLove You Toがずっと流れっぱなしで時々口ずさんでいます。
ジョージ・ハリスンが初めて本格的にインド音楽に取り組んだ曲ですが、それであればその曲が入ったアルバムREVOLVERを取り上げればいいのかなとはじめは思ったけど、ここはやはりラヴィ自身が音楽家であるため、敬意を表して本人のCDにしました。
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このCD、「インドのチャント」というタイトルの通り、インドのポップスではなく、それこそ寺院で流れているような宗教的な意味合いを込めた曲が集められています。
曲は、インドに伝わるチャントを、ラヴィが現代風に解釈してまとめたもので、ブックレットにはサンスクリット語による歌詞が記され、その下に英語訳が添えられています。
弟子でもあり友人でもあるジョージ・ハリスンがプロデュースを務め、1996年にインドのマドラスとロンドンで録音されたアルバム。
当時のジョージは、咽頭がんが見つかり治療に入る前の頃で、これを制作している段階で直接的にジョージが自分の死を意識したということはないと思われます。
むしろ、CLOUD 9で復活して再びミュージシャンとして活動をしてゆく中で、積年の思いであったラヴィとの仕事をまとめる機会が漸く訪れた、と捉える方が自然でしょう。
ただし、それから5年もしないうちに亡くなってしまったのは、何かの因縁を感じずにはいられないことも確かですね。
これを作ることができて、間に合ってよかった、と本人も思ったでしょうし、ファンもそう思います。
ジョージは、ビートルズ時代にアップルでもインド音楽の「ハレ・クリシュナ・マントラ」をプロデュースしリリースさせていますが、そのアルバムはアップルボックスセットでも聴くことができます。
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音楽は、ビートルズを聴いたことがある人ならだいたい想像通りのインド音楽です。
札幌が誇るB級グルメであるスープカレーの店に行くと、時々この手の音楽がかかっている店があります。
余談ですが、スープカレーの店のBGMはなぜかR&B/ヒップホップ系とレゲェ系が多く、インド系はそこまで多くはないかな、あとたまにロック系かもっと広いポップス系という感じ。
一度、有線なのかな、エアロスミスだけがかかっていた店があったのがなんだか妙に印象的でした(笑)。
話は逸れましたが、言葉は分からなくても、宗教的な意味合いがあるのはなぜかよく伝わってきます。
それは、人種も宗教も関係なく、尊敬の念を音で表すことはある程度の共通感覚なのかなと。
僕はこれ、結構好きです。
聴いたのは数年振りだけど、気持ちが洗われると感じるし、響きも好きだし。
まあ、だから記事で取り上げているんですけどね(笑)。
特に朝にはいいですね、そう、朝なんです、夜ではなく。
シタールなどの音に開放的な響きがあるのがそう感じさせるところでしょうか。
僕はそれと、ロックを通して接したいわばワールドミュージック的な要素には引かれるものがあって、アフリカの音楽は特にこれから聴いてみたいと思っていますが、このインドの音楽もその流れの中にはある、だから引かれるのでしょう。
これを買ったのも、ジョージが関わっていることにより、それまで漠然と聴いてみたいと思っていたインド音楽が身近なものだと感じられたからでした。
でも、よく言われる表現として「抹香臭い」、きっとそうでしょう。
それがダメな人はまったく受け入れられない音楽だとは思います。
恐い、という感慨を抱くかもしれない、そんな響きの曲もある。
というわけで一応言うと、ポピュラー音楽とは言い難く、誰にもおすすめできるものではないことも確かです。
一方で、興味があれば、よい音楽には違いありません。
なお、このCDは現在では単品では流通していない模様で、Amazonの中古でも1200円くらいが最低価格、新品は3000円以上していますが、2010年に出たラヴィとジョージの作品を集めたボックスセットCOLLABORATIONSにそのまま収められています。
ただ、それは1万円以上するので、それならまだ単品のほうが安いのですが。
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1960年代に名前が広く知られるようになったラヴィ・シャンカルは、かの「ウッドストック」でも演奏の機会を得ます。
当時は「チベット死者の書」がヒッピーたちのバイブルとして読まれており、国は違うけど思想的なものとして主催者に呼ばれたのだと推測します。
ただし、雨のため途中で中止になったとのこと。
70年代に入り、ロック史上最初のチャリティコンサートとして知られる、ジョージ・ハリスン主催の「バングラデシュ・コンサート」にも参加。
こちらはCDのも収められていてその演奏を聴くことができ、映像も観ることができます。
また、1971年には、アンドレ・プレヴィン指揮のロンドン交響楽団とともに「シタールとオーケストラのための協奏曲」を録音。
僕もCDを持っていますが、今はラヴィ・シャンカルの10枚組CDボックスの中に収められているようです。
それとは別に、娘のアヌシュカーが演奏するLPOとの最近の録音のCDも出ています、今調べて知りましたが。
ノラ・ジョーンズは彼の娘であることは知られていますが、異母妹のアヌシュカー・シャンカルは父を継いでシタール奏者として活躍しています。
ちなみにノラとは2歳違いです。
ラヴィ・シャンカルはこうして、ロックの時代にインドの音楽を世界に伝える使者として活躍しました。
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ラヴィ・シャンカルはジョージ・ハリスンの師匠として知られていますが、意外なことにというか、ラヴィ自身はビートルズの曲には参加していません。
僕も若い頃はずっと、参加していたのだと思っていました。
と、ここからビートルズやジョージの話につなげてゆくつもりで書き始めたのですが、長くなりそうなので、明日、続きという形で、別のCDを取り上げてその話をさせていただきたいと思います。
なんだか急にフェイドアウトするようですが、ご了承ください。
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インドは、日本人には昔から、そして子どもの頃から、なじみがあるし親しみ深い国ですよね。
インド人のほうも割と親日的ということですし。
僕はさすがに「インド人もびっくり!」の世代ではないけれど、でも子どもの頃にはそのセリフはよく使われていました。
今でもよく言いますよね、若い世代の人でも。
毎年年末になると流行語大賞が発表されますが、CMから発した単なる「流行語」にすぎなかったはずなのに、まるで日本人のDNAに刻み込まれたかのように語り継がれるのは、考えてみればすごいことだと、日本語観察者の僕は思います。
他にも日本におけるインドにまつわる話は事欠かない。
僕の世代では「レインボーマン」のテーマ曲、「インドの山奥で」というのが流行りました。
番組は僕は何度か見たことがあるくらいだったけれど、みんなが替え歌を歌っていたりで曲は知っていました。
ちなみにその替え歌は確かこうで、()の中のかなから始まる言葉で歌い継いでゆくというもの。
「インドの山奥(で) でっぱのはげあた(ま) まんじゅうくいたい(よ) ヨットに乗りたい・・・」
戦争で殺されてしまったインドゾウの話も、今でもよく語られています。
もっとも今はアジアゾウが標準和名になっていて、インドゾウとはいわないのですが。
象といえば、象が踏んでも壊れないという筆箱のCMもありましたね。
僕はそれもリアルタイムじゃないけれど、小さい頃からテレビの歴史を振り返る番組などでみたことがあります。
一方でインドサイはまだインドサイで、こちらも割と小さい頃から名前を知るのではないかな。
インドといえばトラですが、でも、インドにもライオンがいると聞いた時は子どもながらに驚きました。
小さい頃の話ついでに、インドのイメージを「悪用」したのが、プロレスラーのタイガー・ジェット・シン。
ターバンを巻いてサーベルを持ってリングに上がり、新宿の伊勢丹でアントニオ猪木夫妻を襲ったという話もありますが、でも彼は実際はインド系カナダ人なのだとか。
ハウスの「印度カレー」って実はまだあるみたいですね、僕がよく行くスーパーでは最近は見ないんだけど、あれば買ってしまうかも(笑)。
それに象徴されるように、もはや国民食となったカレー。
実際のインドのカレーは日本のカレーライスとは違うことは、最近はよく知られるようになりましたが、いずれにせよインドは昔からおなじみ。
僕も最近、本格的インドカレーのレシピ本を買って、時々自分でも作っています。
うちに近くに「ミルチ」という札幌では有名なインドカレーの店があって、僕の中では今のところその店がいわば基準なのですが、自分が作るカレーはまだまだそれにも程遠いですね(笑)。
僕は高校時代にインドに行ってみたいと思ったことがあるんだけど、当時はそんなことを言うと、変わった人、と言われました。
当時はインド旅行のツアーもないし、よほど物好きの人が行く国という感じでしたが、今は割と普通に行けるみたいですね。
そうだ、確か高校生の頃、暗殺されたインディラ・ガンディー首相の葬儀の模様がテレビ放送され、じっと見ていた記憶もあります、日曜で家にいたからだと。
当時のインドは社会情勢もまだまだ不安定で、確かに、ひとりで旅行する場所ではなかったのかもしれない。
などなど、インドと日本の話には事欠かない。
実際にはそれらはステレオタイプのイメージかもしれないけれど。
日本人がインド人に親しみを持つのは、歴史的経緯ももちろんあるでしょうけど、日本とインドの相性みたいなものかもしれない。
僕の場合、なんだか引かれる、以上にはうまく説明できません。
このCDを聴くと、言葉も分からないし日本のものとは明らかに感覚が違うのに、なぜかほっとするものを感じるのも、インドとの相性なのだと思う。
などなど、ラヴィ・シャンカルの死の報に接して、インドについていろいろ思い出して書いてみました。
いつも以上に雑談ですが・・・
ラヴィ・シャンカルのご冥福をお祈りします。