◎CEELO'S MAGIC MOMENT
▼シーローズ・マジック・モーメント
☆Ceelo
★シーロー
released in 2012
CD-0326 2012/12/9
シーロー、またはシーロー・グリーンの新譜はクリスマスアルバム。
シーローは、いずれも記事にしたロッド・スチュワートのクリスマスアルバムとクリスティーナ・アギレラの新譜に参加していることで、そろそろアルバムを買って聴いたみたいと思いネットで調べたところ、最新作がクリスマスアルバムだと分かってすぐに注文しました。
ただ、ネットで見つけたのが小さい写真だったため、最初はクリスマスアルバムとは気づきませんでした。
絵柄が見えないのもあるけれど、紫系の色使いが、それまでの僕のクリスマスのイメージとは違ったこともあって。
まあそれはともかく、届いて聴き始めたのがまだ一昨日だけど、クリスマスアルバムだからほとんどの曲は知っているし、うかうかしているとクリスマスを過ぎてしまうのですぐに記事を上げました。
ひとことで言うと、とっても聴きやすいです。
思いのほか、という言葉が先につくのですが、ロッドに参加して歌っている声が、ものすごい切れ味でこれは恐い人なのかなと、もっとどろどろしているのかなと勝手に想像していたのですが、そんなことはまったくなくてむしろこんなに普通でいいのか、というくらい。
シーローはこのCDを探すまでどんな人かも知らなかったんだけど、外見は、まさにロナルド・アイズリーをスキンヘッドにして若くしたような恰幅がいい人で、その点は想像が当たっていました(笑)。
歌はうまい、もちろんうまい、まあ曲が曲だからそれほどエモーショナルでもなくて、音楽ももっとヒップホップの影響が濃いのかと想像していたけれど、音が新しいだけでむしろ普通のソウルといえるものでした。
歌っている曲は、「ジングル・ベル」「そり滑り」「ウィンター・ワンダーランド」といったいわば子ども向けの曲はなくて、割と新しめの、僕が普通に買って聴いているロック系ポップス系のクリスマスアルバムでよく取り上げられる曲でまとめてきたといったところ。
先に2曲紹介。
2曲目Baby,It's Cold Outsideはクリスティーナ・アギレラとのデュエット。
大仰なイントロの後で静かに歌い始めるクリスティーナ、ちょっと予想外の展開を見せる面白いアレンジ。
ちなみにこの曲はノラ・ジョーンズとウィリー・ネルソンのがいいですね。
13曲目Merry Christmas, Babyはロッド・スチュワートがゲスト。
でも種を明かせば、ロッドのアルバムと同じテイク。
まあでもいいか。
つまり、シーローがゲストで参加した2人がそのままこちらにも参加しているというわけですね。
スタンダード系では、「チェスナット・ソング」こと4曲目The Christmas Song、そして最後に入るのはいちばん多く歌われている14曲目Silent Night、これだけ、後者はトラッドですが。
Silent Nightは歌が上手い人が歌うとさすがといったところですね。
他の多くが、先に述べたロック系ソウル系のクリスマスアルバムでよく聴かれる曲。
3曲目This Christmasはダニー・ハサウェイの曲、これを取り上げるのは自然なこと。
7曲目You're A Mean One, Mr. Grinch、映画にもなった漫画「グリンチ」のクリスマスソングということで、エイミー・マンで聴いたことがある曲だけど、歌というか台詞というか、コミカルな1編。
ストレイト・ノー・チェイサーがゲスト参加しています。
8曲目Please Come Home For Christmasは1950年代のR&Bだけどイーグルスが歌っていることでよく知られているでしょう。
この曲は他にやりようがないのかな、アレンジはイーグルスのものと同じ感じ、というよりそれこそが映える曲なのでしょうね。
9曲目Run Rudolph Runはチャック・ベリーが歌い、後に特にロックアーティストによく取り上げられるようになった曲。
この曲はロックのイメージが強いので、シーローのきれいな声によるややハイトーンのヴォーカルはちょっと変わった響き、もちろんそれはそれでいいんだけど。
10曲目All I Want For Christmas、そうですマライア・キャリーの曲だけど、僕はこの曲がカヴァーされたのは初めて聴きました。
シーローはマライアより若いしそれは当然かなと思うけど、でも、僕の中では新しい人であるマライアももうベテランなんだなと思うと、いろいろな感慨がありますね。
12曲目River、ジョニ・ミッチェルの曲でカヴァーは多いけれど、あの途中の声が急に大きく高くなって音を伸ばすところは、さすがソウル歌手、声が安定していますね。
僕が知らなかった(覚えていなかった)のは3曲。
1曲目What Christmas Means To Me、これは1960年代に作曲されたもので、ソウル系の人に特によく取り上げられているようです。
11曲目Mary, Did You Know?、これは1990年頃に作曲されたもので、ケニー・ロジャースとウィノナ・ジャッドが録音したカントリー系の曲とのこと。
マイナー調の重たい曲で、哀愁を帯びた旋律の胸に迫ってくる曲で、この中にあってはこれだけ異質といえばそうかもしれない。
そして6曲目、All I Need Is Loveという曲、ディズニーのマペッツがフィーチャーされているものですが、むむ、これはどこかで聞いたことがあるぞ。
「まなまな とぅっとぅ~とぅるるっ まなまな とぅっとぅ~とぅるるっとぅるるとぅるる とぅるるるるとぅとぅとぅとぅとぅ」
というやつで、文字で書いてもまったく分からないとは思いますが(笑)、多分、ほとんどの人が聞いたことがあるはず。
調べてみると、原曲がそのものMah Na Mah Na("Na"のほうの"a"の上に右向きアクセント記号)という曲で、1968年のイタリア映画『フリーセックス地帯を行く~天国か地獄か』(原題"Sweeden : Heaven And Hell")のテーマ曲として世に出た曲。
その映画はさしてヒットはしなかったけれど、この曲が後に「セサミ・ストリート」のマペッツ・ショーで使われて英米ではよく知られるところの曲になったということ。
へえ、そうなんだ、知らなかった。
なんとなく知っているけれど出自が分からない曲ってまだまだたくさんあると思うんだけど、その一つが今回分かってよかった、勉強になりました。
シーローのこれは新たに歌詞をつけ、タイトルもつけて、つまりオリジナルを拝借したというかたちで(もちろんクレジットあり)、ちょっとモータウン風の楽しい曲に仕上がっています。
さて、これで全曲に触れたかというとさにあらず、もう1曲あります。
5曲目White Christmas、言わずと知れたビング・クロスビーの名曲で、世界で一番レコードが売れた曲としてギネスブックに載っているそうですね。
しかしこの曲、今回聴いて気づきました。
この曲は、今まで確か20以上のアーティストがカヴァーしていて聴いてきたけど、そういえばこの曲は他の人が歌うとなんだか物足りないと感じるなあ、と。
ロッドも歌っていたけど、やはりそう。
どうしてかなと考えてみると、これはビング・クロスビーのオリジナルを知っていて、それが歌として完璧なものだから、どうしてもそこと比べてしまうからではないかと思いました。
なお、シーローはアップテンポで弾けるように明るく歌っていて、悪くはないんだけど。
でも、オリジナルを知っている曲としては、ジョン・レノン&ヨーコ・オノのHappy X'mas (War Is Over)がありますが、こちらは他の人が歌っていてもこれはいいと思うカヴァーが幾つかありました。
例えばサラ・マクラクラン、セリーヌ・ディオン、REOスピードワゴンなど、もちろん僕の場合その曲はオリジナルのほうが好きですが、White Christmasのような物足りないという感覚はなく、それはそれでいいじゃないと素直に思える。
割とどうでもいいことを考えるのが好きな僕として、さらにこちらはどうしてかなと考えました。
結論、こちらはロックだから、ということに。
ロックはやっぱりそうした遊びの部分が面白いのでしょうね。
ビング・クロスビーを批判するものではないのですが、やはり昔の歌手は歌い方もきちんと鍛えて完璧なものを作り上げてしまう。
一方ロックは、遊びの部分が感じられるくらいがいい。
そもそもロックは、アマチュアというか、きちんと音楽教育を受けていない人がやるものですからね、あ、これももちろん批判的な意味は込めていませんが。
今回、そんなことにも気づきました。
なお、Riverは僕はオリジナルより断然サラ・マクラクランのほうが好き!
しかしWhite Christmasのカヴァーが多いのは、歌手としてはやっぱり歌いたいのでしょうね。
シーローのこのクリスマスアルバムは、繰り返し、肩が凝らない、かけておいて楽しい、そして思いのほか普遍性があるなかなか聴きやすいCDでした。
次はシーローの普通のアルバムを聴いてみたいと思います。
シーローなのかシーロー・グリーンなのかも、できればはっきりさせたい(笑)。
などなど、今夜はなかなか寝付けないので(昼寝したせいかな)、思ったことを一気にまとめて記事にしました。
もう日付が変わったけれど、書き始めた時刻のままで上げることにします。
あ、やっぱり眠い(笑)。