◎PUSH AND SHOVE
▼プッシュ・アンド・ショウヴ
☆No Doubt
★ノー・ダウト
released in 2012
CD-0301 2012/10/25
ノー・ダウトの新譜です。
ノー・ダウトは1990年代にMTVを観ていた頃によくかかっていて結構気に入り、アルバムを買って聴いていました。
ただ、次のアルバムが出る頃にはもうMTVを観なくなっていて、その後はどうしていたか、数年前にさかのぼって知りました。
その後は2枚アルバムを出した後、グウェン・ステファーニがソロで成功し、日本でも受けていたことを知りました。
彼女は昨年の東日本大震災では個人で義捐金を贈ってくれましたね、それは記事にしました。
もうバントとしては体を成していないのかと思っていたら、突然、この秋に新譜が出ました。
Amazonで買うつもりでしたが、店のタワーレコードでも2枚組限定盤が1500円と200円くらいしか差がなかったので(1500円の200円は割合とすれば少なくはないかもですが)、店で買いました。
いいですね、たまには店で手に取って買いたい。
聴くと、これがですね、くやしいけど、とってもいいんですよ。
ノー・ダウトってこんなにもいい曲を書く人たちだったかって、それにただただ驚きました。
Don't Speakは、彼女たちのみならず1990年代屈指の名曲だと僕は信じているのですが、でも、どちらかというとそれは多くのアーティストにある一瞬の閃きだったのかな、と思っていました。
そのアルバム、TRAGIC KNGDOMは、それとMTVで流れていた曲以外は、歌としてはあまり頭に残らなく、ただただ流していて気持ちがいい、でも聴き込むものではない、というのが僕の感じていたことでした。
それがどうだ、今回のアルバムは、みんな歌メロがいい。
サビの部分のしつこさが、まさに「押してまた押す」という感じで耳にべったりとこびりついて離れない。
とりわけ最初の4曲が素晴らしい。
1曲目Settle Downは最初クラシックのような荘重な雰囲気の音で始まってなんだなんだと思うと、スカッと抜けた明るい歌が始まってほっとする。
2曲目Looking Hotはマイナー調で雰囲気は重たいけどサビは突き抜けている。
3曲目One More Summerは夏が終わった虚しさを誰も(夏が好きな人限定だけど)が感じる旋律にまとめあげて共感得まくり。
そして表題曲である4曲目Push And Shoveのパーティのような盛り上がり。
野球のペナントレースでいえば、開幕10連勝したくらいの勢いで押しまくっていて、もうこの時点で参りました、となる。
5曲目以降がよくないというのではないですよ、みんないいんだから。
ただ、この4曲を最初に持ってきた時点でもう決まりですね。
グウェン・ステファーニのヴォーカルももちろんとっても魅力的。
彼女は声が低くてお世辞にも美声じゃないしナチュラルディストーションがかかった声だけど、でも個性的かどうかでいえば今のロック界でも飛び抜けて個性的な声の持ち主であることを再確認しました。
「押してまた押しまくる」歌メロは、この声だから初めて成り立つのだと思う。
これが爽やかな声のひとだったら、中途半端に押しが強いだけでくどく感じるのでは。
でも、サウンドプロダクション、もっと簡単に言うと音が、最初は抵抗がありました。
シャープではなくてしまりがないというか、べたっと横に広がった感じで、プロっぽい感じじゃない。
おまけに僕はユーロビート系の音も苦手だから、僕には落ち着かない音ですね。
ただ、ユーロビート的な要素もロックの中に取り込まれているので、慣れればまあ聴けます、大丈夫。
それにしても歌メロがいい。
悔しいけど、いいんだよね。
時々ありませんか?
CMソングとかで、特に好きでもないのについつい口ずさんでしまう。
あのタイプです。
正直いえば、僕が根詰めて聴き込むタイプの音楽じゃないんだけど、でも、いいものはいい、しょうがない。
だけど、それがポップソングの本質じゃないかな。
芸術というよりは大量消費財なのだから、つかみはいいけどあまり持続しない。
ノー・ダウトのこの新譜は、ポップソングの本質を見事に突いている、そんなことを思いました。
僕なんか小難しく考えてしまうきらいが強くて、歌に意味を持ち込もうとばかりするので、たまにはこうして考え込むことなくただただいい歌にひたっていることができるのもまたいいな、と思い直しました。
断っておきますが、ノー・ダウトが聴き込みに堪えない、という意味ではなく、あくまでも僕はそう感じて思った、という話です。
それにしても、今も書きながら思い出して口ずさんでしまう(今はドラフト会議のニュースを見ながら記事を書いています)、それくらい強烈な歌。
あーもうどうしよう、アーモンドしよう、などと新垣結衣のようなことを思ってしまう、そんなアルバムですね(笑)。
いろんな音楽、自分に合う音楽を聴いてゆききたい。
その中にはこういうものが混じっていてもいい、いや、だから音楽は面白い。
なんて、結局は大げさなことを思ってしまうのでした(笑)。