GREEN RIVER クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル | 自然と音楽の森

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洋楽の楽しさ、素晴らしさを綴ってゆきます。


自然と音楽の森-September01CCRGR


◎GREEN RIVER

▼グリーン・リヴァー

☆Creedence Clearwater Rivival

★クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル

released in 1969

CD-0278 2012/9/1


 クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル、C.C.R.の人気を決定づけた3枚目のアルバム。


 「ナイタイ高原」でThe Night Time Is The Right Timeを思い浮かべて聴いたことは書きましたが、それからほぼ毎日聴き続けています。


 もちろんこのアルバムはそれまでも割とよく聴いてきているけれど、今回聴いて、発見というか、驚いたことが。


 このバンド、うまい、グルーヴ感が最高にいい。


 僕は、ドラマーが上手いかどうかは、いま一つよく分かりません。

 下手なのはなんとなく感じるのですが、ある一定のレベル以上の人になると、みな同じく上手いと感じます。

 理由は簡単。

 僕はドラムスを演奏をできない、だから分からないし想像力を働かせることができないからです。

 ピアノ・キーボードも同じですが、今回はそれは無視して話を進めます。

 ギターとベースは一応演奏できるので、上手いかどうかはある程度分かります。

 

 C.C.R.のドラマー、ダグ・クリフォードが上手いかどうかも分かりません。

 ただ、本でもネットでも、とても上手いという話は聞いたことがありません。

 下手という話も聞かないですが、そもそもダグ・クリフォードについては評価以前にあまり話を聞いたことがないというのが実情です。

 というより、C.C.R.はほとんどジョン・フォガティとイコールのような語られ方が多いですね。


 C.C.R.のアルバムは割と最近に聴いて記事を上げていますが、このアルバムに関しては、今回だいぶ久しぶりに聴いて、ドラムスとベースのグルーヴ感、ノリが最高にいいと感じました。

 少し前に、ドラムスの音と音の間の「間(ま)」の話をしましたが、C.C.R.には、ベースも込みで、力任せにぐいぐいと引っ張るだけというよりは、微妙に音を転がしているというか、要するに黒人のファンクほどではないけれど微妙な「間(ま)」を感じるのです。

 

 これは、バンドとして、同じ音楽好き仲間として鍛錬を積んできた結果でしょう。

 テクニック的に上手くなろうというよりは、バンドとしていい音を出そう、バンドとして聴き手を魅了しよう、それだけを考えてきたというか。

 今回、このアルバムを聴いて、テクニックだけでは語れないバンドというものの魅力をあらためて強く感じました。


 彼らがどうしてこのような魅力的なグルーヴ感を得るに至ったかといえば、それは彼らが演奏してる曲を見れば分かりますね。

 R&Bやソウルに対する解釈のセンスや体感的なものが秀でています。

 プラス、もちろんブルーズがある上にカントリーも体に染み込んでいて、そこが独特の「間(ま)」を得られることにつながった。

 とにかく音楽が好きで好きでしょうがない4人が、トム・フォガティは後から入ったので最初は3人だったそうですが、ブルーズやR&Bそれにソウル系の好きな曲を片っ端から演奏して得たものがこのグルーヴ感なのでしょう。



 1曲目Green River

 カリフォルニアの人間による南部賛歌。

 僕は聴き始めてすぐに彼らは本当の"bayou"の人ではないことは知っていたので、騙されたと思うことはなかったけれど、でもやっぱりほんとの最初の頃は、南部にしては洗練されたセンスを持っているなと感じていました。

 C.C.R.よりは70年代のローリング・ストーンズのほうが南部っぽい、とか(笑)。

 不思議なのことに、僕はC.C.R.はまだ10代の頃に聴き始めたんだけど、当時は一方で本当の南部の音楽はほとんど聴いていなかったのにそう感じたのです。

 この曲は心象描写よりはほぼ情景描写だけで進んで行くのですが、最後の部分でジョンが"Well"と歌いそれを受けたギターの音が入る、そこに、言葉以外の部分に強い心象描写を感じます。

 2番の最初の歌詞は、日本語に訳すと「ウシガエルが俺を呼ぶ声が聞こえるぜ」、微妙に間抜けですかね・・・(笑)・・・

 曲もブルーズを基調としていて、歌の節々に入るギターのオブリガードがいいdすね。

 ブルーズを完全に消化し自分たちのものにしているのが分かります。

 もちろん、ギターのプレイとサウンドは極上品。


 2曲目Commotion

 僕はC.C.R.はベスト盤で最初に聴いたせいか、3分の分かりやすいポップソングこそが彼らの音楽だと思っていました。

 でも、アルバムでこれを初めて聴いて、ジャムっぽいことも上手いんだと分かり、見方が少し変わりました。

 この曲は時間は短いですが、歌メロは至極簡単で演奏を、そしてグルーヴ感を聴かせるタイプの曲です。

 そして今回、この曲がかかった時に、よく動くベースとチャーリー・ワッツなみにスコンスコン鳴るスネアのドラムスを聴いて、彼らがいい音を出すバンドだと再認識したのでした。


 3曲目Tombstone Shadow

 一見すると明るいけどどことなく棘があって引っかかるミドルテンポのロック。

 間奏のギターソロが2本でユニゾンで揺れるように入ってくるのが、音が合っているようでずれているようで、どことなく不安にさせるのはやはり墓石だからか。

 さらにいえば、墓石といえば、当時は・・・


 4曲目Wrote A Song For Everyone

 ジョン・レノンがHelp!と歌った時、それはジョン自身の意志や態度を表明したわけですが、ジョン・フォガティが「みんなのために歌を書いた」というのも同じような意味を持つ、アーティスト自らが表現する自分自身の意志表明なのでしょう。

 この曲はソングライターとしての自信の表れでもあるし、ジョン・フォガティだから許されるしみんなが納得するのでしょう。

 曲はアメリカの民衆音楽の伝統をひきずるたおやかなバラード風の曲。

 

 5曲目Bad Moon Rising

 これはベスト盤で最初に聴いてすぐにギターを持って弾いて歌っていました。

 分かりやすいロックンロール、だけど、聴けば聴くほどに味わいがある、ジョン・フォガティならではの曲。


 6曲目Lodi

 カントリーをあまり聞かない人がこれを聴くときっと、これこそ「ドカントリー」と思うかもしれない。

 少し知っている人であれば、これはジョン・デンヴァーの曲と思うかもしれない。

 ちなみに、ジョン・デンヴァーは「ドカントリー」とは少し違うといわれているそうで、それも加味して書いています。

 のどかでノスタルジックでちょっとくすぐったくなる分かりやすい曲。

 途中で転調するのもいかにもという感じがします。


 7曲目Cross-Tie Walker

 Bad Moon Risingをさらにカントリー風にしたちょっとリズムが跳ねたカントリー風ロックンロール。

 ジョン・フォガティが自然に曲を作るとこんな感じになるのかな。

 ギターがチェット・アトキンス風なのかな、ビートルズの4枚目のジョージ・ハリスンのような雰囲気。


 8曲目Sinister Purpose

 これまた「悪い月が昇る」に呼応したかのような「不吉な目的」

 ベトナム戦争の時代、自らも出兵した経験。

 C.C.R.の重たくて粘つきがある攻撃的な曲には、大きなメッセージを感じずにはいられません。

 曲の最後に入る音が下ってゆくギターリフが印象的。


 9曲目The Night Time Is The Right Time

 来ました!

 レイ・チャールズのと話しましたが、オリジナルはナッピー・ブラウンが1957年に発表した曲。

 ただしレイもほぼ同じ頃に録音しヒットさせているので、知名度としてはレイのほうが高いでしょう。

 曲は分かりやすいブルーズ形式、「わぁ~どぅれぃ」というコーラスが印象的で歌よりもコーラスを口ずさんでしまう。

 これも3分くらいしかない曲だけど、歌よりもジャム風の演奏全体を味わう曲でしょうね。

 考えてみれば、ジャム風にやっても3分か4分で終わらせてしまうのは、ジョン・フォガティがいかにポップなセンスを持っているかが分かりますね。


 

 なお、現行のリマスター盤には以下の5曲がボーナストラックとして収録されています。


 10曲目Broken Spoke Shuffue 

 11曲目Glory Be

 12曲目Bad Moon Rising (Live in Berlin)

 13曲目Green River / Susie Q (Live in Stockholm)

 14曲目Lodi (Live in Hamburg)


 

 こうして僕はC.C.R.のバンドとしての実力を見直した、というか気づいたのですが、恥ずかしいことを告白しなければなりません。


 先ほど僕は、C.C.R.=ジョン・フォガティと思われていると、まるで他人事のように書きました。


 実は、それ、僕こそが思っていたことで、その偏狭な見方に反省しました。

 まあ、ちょっとだけ弁解すれば、意識と無意識の間及び頭脳ではない体の部分では悟っていたのでしょうけど、それを意識していなかったということだと思います。

 

 C.C.R.はやっぱり素晴らしいバンド、いいですよ、最高に!