◎PURE GENIUS - THE COMPLETE ATLANTIC RECORDINGS (1952-1959)
▼ピュア・ジーニアス:コンプリイート・アトランティック・レコーディングス(1952-1959)
☆Ray Charles
★レイ・チャールズ
(released in 2005)
CD-0277 2012/8/30
レイ・チャールズがアトランティック在籍時代の1952年から1959年の間に録音し正式に発表した音源のすべてと、幾つかの未発表曲が収められた7枚組のボックスセット。
元々は2005年に出たものでしたが、この夏に装丁を新たに、おそらくコンパクトになって出直したものを僕は買いました。
買うまでのいきさつから。
10日ほど前、突然、レイ・チャールズが聴きたくなりました。
それがまた、ばかみたいにくだらないことがきっかけでした。
北海道は十勝地方の上士幌町に「ナイタイ高原」という観光地があるのはご存知でしょうか。
僕も一度だけ行ったことがありますが、規模の大きな牧場風景は日本離れしたもので、夏場には道内外から訪れる人が多い場所です。
10日ほど前、たまたまネットで「ナイタイ高原」という名前を見て、頭の中で鳴り出したのが、クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルのThe Night Time Is The Right Timeでした。
なぜかといえばもうこれはダジャレの世界(笑)。
"Night Time"が「ナイタイ」に聞こえる、というだけのこと・・・
「タモリ倶楽部」を見ていると、「空耳アワー」があるせいか、番組の地の部分ではそのシーンに合った空耳もしくはダジャレの曲をかけていますが、その影響でしょう(笑)。
タモリが何かをする時はいつもザ・バーズのMr. Tanbourine Manがかかりますが、これは「タンブリン」が「タモリ」に聞こえるからであり、また何かの作業工程のシーンではベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」の第1楽章の最初がかかる、という具合です。
時々分からないかなり無理なこじつけの曲もあり、また邦楽も主に古い歌謡曲やフォークでありますが、洋楽好きとしてはなぜその曲が使われたかを考えるのもまた楽しいですね。
C.C.R.のと書きましたが、もちろんこれはレイ・チャールズの曲でレイのヴァージョンも割とよく聴いています。
しかしまだベスト盤でしか聴いたことがないので、この際だからオリジナルアルバムを買おうと思いました。
ちなみにレイ・チャールズのものは、(Night Time Is) The Right Time、が正しい曲名表記となっています。
レイ・チャールズはWarner系の例の(チープな)紙ジャケット5枚組が出ていて、それはまさにAtlanticから出ていたものだから、最初はそれを買うつもりでした。
折よく今AmazonではそのWarner系(チープな)紙ジャケ5枚組が1800円のセールをやっていることもあって。
しかし、他の商品を見ていたところ、このボックスセットが3700円くらいで出直したばかりであることを知りました。
コンプリートというからにはその5枚組の音源もすべて入っているものと判断し、値段も安いので(HMVより4割以上安い)、買うことにしました。
ところが、届いてみると、微妙に失敗したかな。
確かにその5枚組の音源はすべて入っているのですが、アルバムごとに並んでいるわけではなく、ばらばらに収録されているのでした。
ばらばらであるため、同じ曲が入っていることを確認するのにあっちを見たりこっちだたりと大変でした(笑)。
何かの意図があって編集されたものでしょうし、そのこと自体は咎めるでもなくむしろそういう姿勢は好きです。
でも、僕は、このBLOGの体裁からもお分かりかなと思いつつ、アルバム単位で聴くことが、好きというか、自分にとってそれが自然な形だから、曲としてはすべて聴けても、アルバムとして聴くことにはならないのがどうにも困りました。
ちなみに、アルバムを聴くと決めた場合は絶対に途中の曲を飛ばすこともはありません。
ただ、聴いていてその時の気分や精神状態とは違うと感じたものを途中でやめることは、たまにあります、それでもたまに、です。
結局のところ、(チープな)紙ジャケ5枚組も、それはそれで買おうかなと今は思案中。
もしくは、有名なWHAT'D I SAYだけ国内盤で買うかな。
だぶってしまうのは無駄といえば無駄かもしれないけれど、これは趣味だから(笑)。
ただし、間違わないでいただきたいのは、このボックスセット自体はこれはこれでとっても気に入りました。
装丁がいい。
シンプルな網目状の黄色い箱に文字だけというアートワークは、なぜかレイ・チャールズのイメージが湧いてきます。
写真のうちの犬、ラブちゃんのハウは外出時は黄色い首輪をしていますが、そのイメージにぴったりだからハウの横に置いて撮るとまたこれがいい(笑)。
ちなみに、ハウは皮膚が弱いと先生に言われ、家の中にいる時は首輪を外しています。
もちろん音楽も素晴らしい。
1960年より前のものとは思えないほど音質がよくて、さすがはリマスターのRHINO。
でも、考えてみれば、ソニー・ロリンズもそうでしたがジャズの場合は1950年代に録音されたものでも素晴らしい音質のCDが出ているので、ポピュラー音楽はその点は損かもしれないとも思いました。
レイ・チャールズの音楽は、ソウルというには少し早いかな。
普通にR&Bといったほうが分かりやすい。
まあ、ジャンルなんて関係ないんだけど、「ソウル」というと、後の時代の人間にとってはやはりモータウンから1970年代のディスコの前までをイメージしてしまい、一方レイ・チャールズのこの頃はまだまだそこまで洗練されてないと感じました。
聴いていてひとつちょっと驚いたことが。
未発表音源の中に、レイのヒット曲でありDr.ジョンでも知られたMess Aroundが入っています。
この曲は、アトランティックの創始者でありソウル史上の最重要人物のひとりであるアーメット・アーティガンが作曲したものですが(クレジットの名義はA. Nugetreとなっている)、これを歌っている人の声がDr.ジョンに声がそっくりなのです。
一瞬、Dr.ジョンが若い頃に録音していたのかと本気で勘違いしてしまったくらい。
ブックレットを見ると、リードヴォーカルがAhmet Ertegunであると記されていましたが、納得、そういえば僕はアーメット・アーティガンの声を聞いたことがなかったのでした。
なお、調べると、Dr.ジョンは1940年生まれだから(ジョン・レノンと同い年だ)、これが録音された時は16歳かそれくらい、まだ音楽活動を始めていないか始めたばかりの頃だったようです。
他、ロックサイドで知っている曲としては、ハニードリッパーズが演奏したI've Got A Woman、エリック・クラプトンのHard Timesなども入っています。
ただ、ですね、もうひとつ困ったことが発生しました。
この時期("era"という意味ですが適当な日本語がないですね)のレイ・チャールズは、ミルト・ジャクソンと組んだジャズのアルバムを2枚出していました。
僕はそのことはまったく知らなくて、今回これを買って初めて知りました。
ミルト・ジャクソンは、一応書くと、ヴァイブラフォン奏者で、主にMJQとして活躍して多数の名盤を残し、1960年代後半にはあのビートルズのアップルからもアルバムを出したという人。
ジャズが好きだった父がよくMJQやミルト・ジャクソンのことを話していたこともあり、おまけにビートルズに関係があるので、僕も中学時代から顔と名前は知っているジャズマンでした。
MJQはMilt Jackson Quartetだと思いきやさにあらず、Modern Jazz Quartetのことだと、僕が中学時代に父が得意げに言っていた思い出もあります。
ミルト・ジャクソンとの録音が入っているのは、偶然のようでいて、僕はどちらかといえば運命論者だから(笑)、最近の僕にジャズの流れができた中の必然と受け止めました。
だから余計に、このボックスセットを買った満足感が高かったのでした。
しかし。
レイ・チャールズは当時はピアニストとしても注目されていたようで、ジャズのアルバムにおけるレイ・チャールズはほんとんどピアノに徹していて歌がありません。
ちなみに、ジャズ・ミュージシャンとしてのレイ・チャールズのピアノ演奏の力量は僕には分かりません、念のため。
困ったことというのは・・・歌がない。
ジャズのアルバムの音源自体はそれはそれで気に入ったのですが、しかし、歌がないというのがなんとも寂しいというか物足りなく、歌を聴きたいという思いをどこかに抱えながら聴き進めることに。
そうか。
僕は、レイ・チャールズの声が好きだったんだ!
歌がないというだけでこんなにまでも気持ちが揺らぐなんて。
長々と書いてきましたが、要約すれば、今回はそこにたどり着くだけのことでした・・・
ともあれ、レイ・チャールズの声が大好きだと分かったので、早速ネットで1枚別のアルバムを注文し、他に何枚か近いうちに買うことにしました。
レイ・チャールズはベスト盤しか持っておらず、未開に近い人だから、ここからいろいろ買って聴き進めてゆくのがとっても楽しみ。
そういう楽しみは幾つになっても失いたくないですね。
さて、レイ・チャールズも楽しみになってきたぞ。