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☆Christopher Cross

★クリストファー・クロス

released in 1983 

CD-0271 2012/8/18


 クリストファー・クロスの2枚目のアルバム。


 旭山動物園のフラミンゴが逃げた話。

 北海道では話題になっていますが、北海道以外のかたはご存知ですか?


 それ以前に「旭山動物園」といきなり切りだしましたが、こちらはもう説明は要らないですよね。

 旭川にある旭山動物園、昔は日本最北の動物園という意外に取柄はなかったのですが、ここ12年ほどですっかり全国区の知名度を誇るようになりました。


 ひと月ほど前、旭山動物園で飼育されていたフラミンゴの1羽が逃げ出しました。

 フラミンゴは飛べないように翼の風切羽を切って飼育されているのですが、逃げ出した1羽は羽が生え代わりの時期であることに飼育員が気づかず、羽が伸びてしまい、或る日、空に向けて飛び立ちました。


 逃げ出したフラミンゴは最初は、旭川から120kmほど離れた日本海側の小樽市銭函の海岸に現れました。

 小樽市といっても札幌と隣接している地域ですが、旭山動物園の飼育員が捕獲に来たところ、飛んで逃げていなくなってしまいました。


 次の日にフラミンゴが現れたのは、銭函から200km以上離れたオホーツク海側の紋別市にあるコムケ湖でした。

 コムケ湖は道内ではシギ・チドリ類がよく見られる場所として鳥好きには知られていますが、フラミンゴも飼育されていたとはいえ野生の感覚が残っていて、鳥にとっていい場所が分かるようですね。

 以降、そのフラミンゴはコムケ湖に落ち着いており、8月17日現在ではまだ捕獲されていません。


 旭山動物園は捕獲作戦に取り組んでいます。

 今行われているのは、コムケ湖のフラミンゴがいる場所におりを設けて仲間のフラミンゴ数羽をおとりとして中に入れ、近寄ってきたところで捕獲しようという作戦です。

 フラミンゴは本来群れで生活する鳥であり、仲間を見ると近寄ってくるという読みで、その通り、逃げたフラミンゴは関心は示して近くまで来ているようですが、まだ捕獲できるまで近くには来ていないとのこと。


 先ほどラジオで、今朝、ちょっとした動きがあったことを聞きました。

 おとりのフラミンゴのうち2羽がいなくなったそうです。

 1羽は生きていない状態で発見され、1羽は行方不明。

 キタキツネの仕業ではないかという。

 

 おとりのフラミンゴはかわいそう、と、僕はニュースを見る度に思っていました。

 逃げ出した1羽は自由にアオサギと群れて生活しているのですが、おとりのフラミンゴは、広々とした自然の中でおりに入れられてあまり動くことができない。

 なお、僕は動物園についてなんでも反対しているわけではなく、この場合は同じ種類の鳥が一方は自由でもう一方はおりに入れられているという絵的な問題としてのみ話しています、念のため。

 でも、その上、キタキツネにやられるなんて、飛ぶことができれば逃れられたかもしれないのに。


 逃げ出したフラミンゴは、犠牲が出てしまったこともあって、なおのこと早く捕まってほしいと思う。

 

 でも一方で、自然の中で悠々とくらしているフラミンゴの姿を見てみたい、とも思う。

 銭函にいた時は、もう2日ほどいれば見に行くつもりでいました。


 20年ほど前、「南仏プロヴァンス」の本が流行り、僕は何冊か読みました。

 そこで描かれていた(と思うが勝手な思い込みかもしれない)フラミンゴがいる南仏の湿地海岸の風景に憧れ、フランスに行ってフラミンゴを見てみたいと真剣に思ったことがあります。


 そんなフラミンゴが北海道で見られるなんて。

 テレビで見る映像がまたきれいなんですよ。

 フラミンゴがたくさんいれば、まさに昔行きたいと思った南仏の湿地の風景のようで。

 コムケ湖は車で高速を使って行くと5時間で行けるかな、くらいの場所ですが、僕がほんとうに見たくて行動力がある人間であれば、行くんだろうなあ・・・

 映像で見ていると、首の細さが日本で見られる他の鳥とは違って、面白いというか、ある意味恐い、すごい生き物だなと思います。


 ともあれ、動向を見守っています。



 長々と書きましたが、もうお分かりですね(笑)。


 フラミンゴが話題になってから、短絡的な僕は、「フラミンゴといえばクリストファー・クロスだよな」と思いました。

 クリストファー・クロスの1枚目は持っていて、2枚目もいつかは買おうとずっと前から思っていたのが、逃げたフラミンゴを見て、そうだ買おう、と。


 はっきり言って、今回のCDにはそれ以外のきっかけはまったくなくて、音楽を聴くきっかけはいろいろあるけれど、こんなきっかけは僕も初めて(笑)。

 まあ、考えようによっては「ジャケット買い」の変種といえるでしょうかね。



 クリストファー・クロスは、僕が洋楽を聴き始めた頃は1作目がグラミーを取ったばかりで、僕も関心がありました。

 当時は映画のテーマ曲であるArthur's Theme 「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」がヒットしていた頃で、これがまたえらく気に入り国内盤のドーナツ盤を買いました。


 でも一方、当時はビルボードでヒットしているものを聴き始めたばかりで、グラミーを取ったとはいえその1作目は「少し古い」ものだから、LPを買うのを躊躇しました。

 

 そのうち僕はハードロックが好きらしいことが分かり、レッド・ツェッペリンを熱心に聴き始めましたが、クリストファー・クロスの1枚目はその後で買って、もう気持ちがハード寄りになっていたせいか、思ったほど・・・かなあ、と、10代の頃には感じました。

 

 このアルバムはもう気持ちがハードになってから出たもので、「ベストヒットUSA」などで曲は聴いたけれど、買って聴こうとはまるで思わなった。

 それでも、Think Of LauraとAll Rightは、そことせいぜいラジオで数回聴いただけ、その後にベスト盤CDは買ったけれど1、2回しか通しで聴いていないし、その割にこの2曲は今回聴くとよく覚えていて自分でも驚きました。

 いつも僕は、曲の覚えが人数倍悪いと話していますが、若い頃はそんな僕でもやっぱり頭は多少は柔らかかったようですね。

 もちろん、この2曲がポップでキャッチーな佳曲ということでしょう。


 今回聴いて、クリストファー・クロスは全体に陰りがあって、それが日本では受けたのかもしれないと思いました。

 もうひとつ、音的な面では、いかにも80年代のフュージョンを通り越した心地よさ優先のサウンドで、AORなのでしょうけど、この手のサウンドのひとつの完成形ではないかと。


 それにしてもクリストファー・クロスは不思議。

 日本の場合、ヴォーカリストはいくら声がよくても歌が上手くてもハンサムでなければ受けない、という、ある種法則とすら呼べるものがあると僕は常々思っています。

 ハンサムと書いたけど、今の言葉でいえばイケメンですかね、でも僕はその言葉は好んでは使わないし、敢えて時代性を出すためにハンサムなどと書いています。

 それはともかく、ビリー・ジョエルはアメリカではあまりハンサムではないと自分でも言っていたかと思うんだけど、日本では、少なくとも僕が10代でビリーがまだ髪が潤沢にあった頃は、むしろハンサムと言われていたかと思います。

 その他、日本で特に売れた人を思い出してゆくと、ハンサムではないと言える人はほとんどゼロに近いくらい思い当たりません。


 クリストファー・クロス以外は。


 彼の場合、天使の歌声と言ってもいいハイトーンヴォイスとそのルックスのギャップが面白かったのかもしれないですね。

 しかも、声の良さが並じゃない、とっても素晴らしい、だから余計に。

 

 まあ、僕は音楽が良くて歌が下手じゃなければ特に気にしないのですが、一般論的にいえば、という意味で、当時言われていたことも思い出して少し鑑みながら、今回はこのようなことを書いてみました。

 クリストファー・クロスのファンのみなさま、とりわけルックスが好きというかた、どうかお許しください。


 肝心のアルバムだけど、そうですね、正直言えば僕が主として聴く音楽となるには、やっぱりちょっと物足りないかな。

 ザ・フーの記事で「ハードロックではないけどハードなロック」という話をしましたが、クリストファー・クロスの場合は意図的にハードなところを排除して心地よさを追求したようなところが感じられます。

 ガツンと当たらない、あくまでもソフトに。

 

 でも、僕も年を取って音楽を聴く幅も広がってきたので、これはこれで時々聴くにはなかなかよくて、買ってから毎日聴いていて、少し聴き続けるかなと思っています。

 

 

 ところで最後に、前回はアイアン・メイデン、今回はクリストファー・クロスと、世間一般的にはまるで毛色が違うアーティストを連続して取り上げました。

 節操がない? そうかもしれない。

 

 これについてふと思い出した話を。


 アイアン・メイデンの「鋼鉄の魂」スティーヴ・ハリスは、初期の頃、当時のメンバーだったギターのデニス・ストラットンが楽屋でウォークマンでトトを聴いていたのを聞きました。

 スティーヴはその時、「こいつとはうまくやってゆけない」と直感し、デニスはアルバム1枚で解雇されました。

 

 音楽の趣味の問題は、小さいようで大きいのでしょうね。