LIVE AND LET DIE サウンドトラック | 自然と音楽の森

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自然と音楽の森-June26LiveAndLetDie


◎LIVE AND LET DIE

▼007 死ぬのは奴らだ

☆Original Motion Picture Soundtrack

★サウンドトラック

released in 1973

CD-0252 2012/6/26

(Paul McCartney-05)


 今回はサウンドトラック盤です。

 

 というのも、その中の1曲の話をしたいのですが、このBLOGはあくまでもアルバム単位で紹介しているためにこのようにしました。

 僕の本家BLOGはそのような制約はないので(そもそも音楽専門BLOGではないけど)、1曲で記事にしましたが、再編集してこちらでも取り上げます。



 先日、エリザベス女王即位60周年を記念して "The Diamond Jubilee Concert"がバッキンガム宮殿で行われたことは、ニュースなどでご存知のかたも多いかと思います。
 ポール・マッカートニーとエルトン・ジョンという、英国の2大ポップスターが参加したのはもちろんのこと、スティーヴィー・ワンダーをはじめ数多くのアーティストが参加し、華やかに盛大に女王陛下をお祝いしたとのことです。

 ポール・マッカートニーは、Ob-La-Di, Ob-La-Daを歌っていたのをニュースで見ました。

 出演者がみんなステージにいたので、コンサートの最後のほうに歌ったのかもしれません。

 さすがにHer Majestyは歌わなかったみたいですね(笑)。

 余談、ヤフーのニュースで見出しだけ見たのですが、ポールは「Hey Judeはロンドン五輪にとっておく」ということを言ったらしく、ジョークなのか本気なのか、今から楽しみですね。

 弟がその日の演奏曲目を何かで見て、その中には、「007死ぬのは奴らだ」のテーマ曲Live And Let Dieがあったことを教えてくれました。

 弟はいつも言います。
 「この曲はそんなにいいか? そんなに盛り上がるのか??」
 弟は実はこの曲が嫌いというか、よさか分からないようであり、女王陛下を祝うコンサートでも演奏したことが意外だった様子。

 いや、自分はむしろ、ああやっぱり、と思いました。
 おそらく、007が英国の映画であり、ビートルズと同じく英国が世界に誇れる文化だからではないかな、と。


 Live And Let Dieは、映画「007/死ぬのは奴らだ」のテーマ曲として録音され、ポール・マッカートニーのビートルズ解散後7枚目のシングルとして、1973年6月10日、ポール・マッカートニー&ウィングス名義で英国でリリースされました。

 映画のテーマ曲ということもあって、この曲はポール本人のスタジオアルバムには収録されていませんが、時期としてはアルバムRED ROSE SPEEDWAYの後、BAND ON THE RUNの前ということになります。
 もちろん、後に出たベスト盤にはすべて収録されています。

 この曲は、かのジョージ・マーティンがプロデュースしており、コンビを組むのはビートルズ以来で当時は話題になったのだとか。

 この曲は英国で最高位9位、アメリカでは2位の大ヒットを記録。
 長らくこれは映画007のテーマ曲としては最高のヒットでしたが、1985年にデュラン・デュランの「007 美しき獲物たち」のテーマ曲A View To A Killがついに全米No.1を記録しました。

 曲は、ピアノ弾き語りで静かに始まり、いかにもポールらしい口ずさみやすいきれいな旋律が流れ、リンダをはじめとしたコーラスが被さってバラード風に進みます。

 歌がブレイクしたところで急に大きな音が入り、急にテンポアップして、007の映画挿入歌を意識したとおぼしき派手なオーケストレーションのめまぐるしく騒々しいサスペンス風の音楽に変わります。

 オーケストレーションが一度やみ、アップテンポのままホンキートンク調のピアノにのせて強烈なパッセージをポールが歌い、またサスペンス風に、ぐるぐる、ぐるぐる。

 それが終わるとまた急にテンポがダウンし、ピアノ弾き語りへ。
 冒頭のパッセージを少し旋律を変え歌詞も変えてポールが歌い、もう一度サスペンス風になり、最後はまるで放り投げられたように音がさっと引いて曲が終わります。

 なんとも落ち着きのない曲ですが、でも、バラードの部分の旋律の良さはさすがで、僕もよく口ずさむし、サスペンス風のところも歌ではない楽器の主旋律も「テテテッ テテテッ テテッ」などと口ずさみます(笑)。

 つまりはほんとうにポール・マッカートニーらしい曲。
 でも、この派手なめまぐるしいアレンジ、並の人がやれば、ただただ慌ただしくて騒々しくてまとまりがなくなるところを、きれいに流してうまく聴かせてしまうのは、やはりジョージ・マーティンの手腕によるところが大きいのでしょうね。
 マーティンの仕事として、ビートルズ以降では屈指のものでしょう。

 3分くらいしかない短い曲なんですけどね、でも、疲れるというか、それは大げさ、後に残るものはべたっと重たい感じがします。
 ロックがまだまだ可能性を求めて広がっていた時期のことですね。


 というこの部分は、ここがYou-Tube画像を貼るBLOGであればまったく要らないのは分かっているのですが、僕も意固地な者でして・・・(笑)



 僕は、中学時代にFMでエアチェックして初めて聴いた時から、この曲は大好きです。
 面白い、だけど歌がいい、こんな曲はポールならでは、と。
 しかしこの曲、それから3段階で僕の愛着が増していきました。
  


 第1段階は、1990年のポール初来日コンサートで演奏したこと。

 当時は毎日ポールのことしか考えていなかったくらい(もちろん誇張表現)、とにかくポールに夢中で、どんな曲を演奏するか予想していましたが、この曲はどっちだろうと思っていたら演奏しました。

 サスペンス風の部分では照明の明滅が激しくて、今ならテレビで注意が出るのではないかというくらいのもので、予想通りの演出だったけど、会場の盛り上がりはビートルズ以外の曲では1番だったと僕は感じました。

 僕はそのコンサートに3回行って、3回とも違う人と行きましたが、そのひとりが弟でした。

 この曲は僕以外の人は特に好きではないというか、ひとりは曲はどうでもいいけど演出は楽しかったと言っていました。
 弟は、実際に自分でコンサートで見て聴いたはずなのに、そのようなことを言うのは、いまいち解せないのですが・・・(笑)。



 第2段階は意外なところからやって来ました。

 当時は時代の寵児だったガンズ・アンド・ローゼズが、1991年に2枚同時に出したうちの1枚、USE YOUR ILLUSION Iでカヴァーしたのです。

 ガンズはトラヴェリング・ウィルベリーズが大好きだと言ったり、フレディ・マーキュリー追悼コンサートに出演したり、さらにはKnocking On Heaven's Doorを歌ったりと、ロック全体への愛を感じさせるバンドとして僕も当時は注目していたけど、そのガンズが、まさかポール、しかもまさかまさかのこんな曲を歌うなんて。

 曲の展開はオリジナル通り、ということは、サスペンス風の部分をどう処理するかが着目点となるわけですが、ガンズはまったくもってギター中心のロックに仕立て上げていたのがただただすごい、と思わされたものでした。
 キーボードは使っているんだけど、でも、オーケストラなしでもこの曲がここまでできるんだって、驚き、感動したものです。

 MTVでもライヴフッテージのビデオクリップが流されていて、若い世代にこの曲が知られたのもうれしかった。
 といって僕も当時はまだ20代前半でしたが、既に当時の僕は1970年代ロック人間になりかかっていたのでした(笑)。

 それにしても破壊的な力に満ちたガンズがこの曲を歌ったのは「生きよ、そして殺せ」というメッセージがロック的だからかな。

 でも、ポールが"Die"と曲名に入れたのはこれが初めて、しかもこの後にもない、つまり唯一というわけですが、映画に名を借りてもっともっとロック的なことをやってみたかったということでしょうかね(笑)。


 そして第3段階。

 ポールは1993年に再び来日コンサートを行いました。
 僕はその時もそれぞれ違う人と3回行きましたが、この曲はその時も演奏されました。

 2回目のツアーは曲目をがらりと変えて、1回目にはやらなかったMichelle、Penny Lane、My Loveなどがうれしかったのですが、1回目に演奏して2回目も演奏した曲というのが2曲しかなく、1曲がHey Jude、そしてもう1曲がこれだったのです。

 でも、Hey Judeは分かるけど、どうしてもう1曲はこれなの?

 ポールは意地っ張りでロックを作ったという自負があるから、ガンズがこの曲をカヴァーして若い世代に知れ渡ったことで、オリジナルは僕なんだよ、と言いたかったのだと思う(笑)。

 断っておきますが、これは100%愛情を込めて言ってますからね。
 ポールのそういうところもファン以上の僕としては大好きなのであり、さすがというか、頼もしい部分でもありますからね。
 

 今回は第4段階ということになるけど、ポール自身はこの曲を気に入っているのは間違いないようですね。

 

 この意固地なBLOGはあくまでもアルバム単位で紹介すると書きましたが、実は、このサントラは持っていなかったので、本家で記事にしてからこのCDを買い求め、漸くこちらでも紹介することができました。

 

 もちろんボールのこの曲が入ったベスト盤を取り上げてもよかったのですが、そうなると他の曲にも触れたくなるじゃないですか。


 もうひとつ、僕は、名曲や大好きな曲は、ベスト盤だけではなくオリジナルアルバムでも聴きたいしそのCDを持っていたいと、いやむしろ、そうしなければいけないと、自分に対してですが、思っています。

 この曲はサントラの曲だからオリジナルアルバムはサントラということになるわけですが、今更ながらにしてそのオリジナルアルバムを持っていなかったことに気づいたのでした。


 ネットで探すとリマスター盤が出ていて、もう買うのにためらいはありませんでした。



 せっかくサントラを買ったので、もちろん聴きました。

 

 たまにサントラを聴くと楽しいですね。


 基本的には何も考えずに音を「楽しむ」というのは、ともすれば僕は忘れがちだから、テーマ曲をはじめなんとなく知っている曲の旋律がいろいろなかたちにアレンジされるて出てくるのはとっても楽しい。


 ギターを持つと誰もが弾く(違うのかな?)あの007のテーマ曲も、ジョージ・マーティン風にきれいにまとまっていて洒落た感じがいい。


 Live And Let Dieは、B.J.Arnauという女性ヴォーカリストがソウル風に歌っていて、これがまたなかなかよくて、この曲の旋律の良さを再認識します。


 食事の時にかけると合いそうな雰囲気の音楽ですね(笑)。


 こうなったら他のリマスター盤が出ている007のサントラも買って聴いてみたいですよ(笑)。

 特に、有名なジェイムス・ボンドのテーマ曲が最初に世に出た1枚と、ゴールドフィンガーかな。

 


 というわけで、結局は、ただ単にポール・マッカートニーの話がしたいだけの記事だったような・・・(笑)・・・