TALES FROM THE BROTHERS GIBB ビー・ジーズ | 自然と音楽の森

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◎TALES FROM THE BROTHERS GIBB : A HISTORY IN SONG 1967-1990

▼ビー・ジーズ・ゴールデン・ストーリー

☆Bee Gees

★ビー・ジーズ

released in 1990

CD-0242 2012/5/21


 ビー・ジーズのロビン・ギブが亡くなりました、享年62歳。


 先週はまたドナ・サマーも亡くなりましたね、享年63歳。

 

 僕はドナ・サマーは数年前にベスト盤とアルバム1枚を初めて聴いただけで、もちろんHot Stuffなど数曲は知っていましたが、あまりよく聴いていない僕が追悼の記事を上げるのは逆に申し訳ないと思っていました。

 しかし、今日、ロビン・ギブの死の報に触れ、同じ時代に同じくディスコで一斉風靡した2人がほぼ同じ時期に亡くなったということに何かの因果を感じて、ここで哀悼の意を表させていただくことにしました。

 

 亡くなられたロビン・ギブとドナ・サマーのご冥福をお祈りします。


 

 言葉というものは意味がひとつではない、ほとんどの言葉がそういうものでしょう。


 「洋楽」という言葉を「集英社国語辞典」で引くと、「西洋の音楽」と、いとも簡単に1行で説明されています。

 その意味でいえば、クラシックもジャズもれっきとした「洋楽」になります。

 しかし、今の日本における一般的な「洋楽」の認識は、「日本及び東洋以外の地域のポピュラー音楽」となり、そこには欧米及びその他の英語圏はもちろん、ラテンアメリカやアフリカも含まれているのでしょう。

 しかしそうなるとインド音楽がどうなるのかが僕にはちょっと分かりかねますが、でも今は「ワールドミュージック」という言い方も定着していて、それは「洋楽」と重なる部分も多いのではないかな。


 でも、「洋楽」という言葉には何か独特の響きがあると僕は思っています。

 具体的にいえば、東京オリンピックの頃から1979年頃までの15年間の主に英語で歌われたポピュラー音楽、という感じです。

 主に、としたのは、シャンソンやカンツォーネなどもその時代のものは「洋楽」に含まれるかなと思うから。

 日本は昭和の高度経済成長期であり、日本の経済が飛躍的に向上し、人々の生活がよくなり、庶民が外国への憧れに近づけた。

 「洋楽」という言葉がいつごろから一般的に使われるようになったかを僕は知らない、おそらくもっと前からでしょうけど、でも「洋楽」という言葉の根幹には人々の外国への憧れが詰まっていると思い、その思いが現実に近づいたのが行動経済成長期であり、「洋楽」という言葉は、日本人の上を向く気持ちもニュアンスとして持っているような気がしてなりません。

 きらびやかで、おしゃれで、スマートで、カッコよくて、でも気持ちがよく伝わってくる音楽。


 僕個人の思いの話をすれば、僕にとっていちばん狭義の「洋楽」という言葉の定義はこうです。

 「自らの意志で音楽を聴く前の小学生時代からアーティスト名と代表曲を知っていた外国のアーティスト」

 具体的に、ビートルズ、サイモン&ガーファンクル、ビリー・ジョエル、カーペンターズ、ディープ・パープル、スティーヴィー・ワンダー、ロッド・スチュワート、ベイ・シティ・ローラーズ、アバ、キッス、そしてビー・ジーズ。

 ただし今の僕はビートルズは「洋楽」ではなく「ビートルズ」で独立しているのですが(笑)、それはともかく、これらのアーティストは「洋楽」という言葉が持つ時代の輝きを最もよく音楽で表している人たちだと思っています。

 ちなみに僕は、ローリング・ストーンズは名前は知っていたけど曲を知らなくて、クイーンとレッド・ツェッペリンは自分の意志で洋楽を聴くようになってから知りました。

 

 もちろん僕は普段は一般的な意味として「洋楽」という言葉を使っているし、僕が多感な10代の1987年頃までのものはほとんど狭義の「洋楽」と同じく感じています。

 ただ、この場合は個人的な思いが強く、日本人がという部分とは少し違うのですが、でも思いが強いのは一緒でしょう。

 そうだから僕は、今のアデルやマルーン5などに対して使う「洋楽」と、ビリー・ジョエルに対しての「洋楽」では、自分の心の中での気持ちのありようが違うことを感じながら生きています。

 レニー・クラヴィッツやシェリル・クロウ辺りからもう僕はそれを感じていますが、それは多分、1990年代に音楽の趣向が多様化しかつワールドミュージックが身近になったことと無関係ではない気がします、今ふと思ったけど。


 「洋楽」という言葉には、時代がしみついています。

 だから、今の時代に僕は「洋楽」しか聴かないというと、実質的な面以上に時代遅れに感じるのかもしれません(笑)。



 いかにも「洋楽」らしい音楽であるビー・ジーズは、僕が洋楽を聴き始めた頃はちょっと前にすごく流行ったけど急速に落ち目になった人という感じで、暫くは聴こうとは思いませんでした、少なくともレコードの時代には。

 それまで知っていたのはお決まりのSaturday Night FeverとMassachusettesだけでした。


 大学に入り、ロッド・スチュワートが大好きな友だちSと仲良くなると、Sがビー・ジーズが大好きだと分かって興味が湧いてきました。

 Sはよく「ビートルズはビー・ジーズの影響を受けているんだよ」と僕をからかっていたのですが、そこまで言うなら聴いてみようと、大学4年の夏休みに初めて買った彼らのCDが、今回紹介するこの4枚組ボックスセットでした。


 初めて買ったCDが安くもない4枚組ボックスセットというのは気合が入っているな、と思われるかもしれません。

 ひとつには、友だちSがとにかくいい歌が多いからと強くおすすめしたこともあったのですが、もうひとつ、当時はCDのボックスセットが流行っていて、次々と魅力的なセットが出ていました。

 CDの時代になり古い音楽が若い人には「新しい商品」として再提示されたことにより古い音楽の魅力が次々と再発見されていった時代でした。

 ボックスセットは最初はこのようにLPの大きさの箱に入っていて、それを買って家に持ち帰るまでの幸福感がまたなんともいえなかったですね(笑)。


 いきなり買った4枚組で、もうほんとうにいい歌が多くてすぐに大好きになりました。

 大好きにはなったけど、Sには「まあいいじゃん」くらいしか言いませんでしたが(笑)。

 

 曲について具に話すと書き切れないしいつかそのアルバムを取り上げたいのでここは全体像と数曲だけ話したいと思います。


 先ほどMassachusettesを知っていたと書きましたが、この曲は、僕が「洋楽」、ビートルズを聴き始める前に抱いていた「洋楽」のイメージ、まさにそのものという響きの曲ですね。

 洋楽を特に好きではない父がなぜかこの曲が大好きで、僕が小学生時代にラジオでかかると口ずさんでいたのを今でも思い出します。


 しかし僕が最初に好きになったビー・ジーズの曲は、1987年の「復活」作であるYou Win Againで、MTV番組で見て聴いて、正直言うと最初はばかにしていたのですが、これはとってもいい曲だと思って。

 でもその思いはすぐに結実することなく何年かが過ぎましたが、このボックスにもその曲は収められており、ここで聴いてとっても気に入り、今では実は僕がいちばん好きなビー・ジーズの曲となりました。

 センスが80年代を通り越して90年代的なのが今聴いても新鮮な隠れた名曲。


 ボックスセットにはライヴのメドレーが収められていますが、その一つが、ビー・ジーズというかバリー・ギブが他の人に提供した曲を3人で歌っているというもので、これがまた楽しい。

 僕が大好きな1980年代ソングのひとつがディオンヌ・ワーウィックのHeartbreakerですが、それが実はバリー・ギブの曲だったことはここで聴いて知り、この曲もますます大好きになりました。

 また僕が洋楽を聴き始めた頃にケニー・ロジャースとドリー・パートンのデュエットで大ヒットしたIslands In The Streamもここで歌われていて、バリー・ギブはほんとうに優れたソングライターだなと分かりました。


 僕は歌が大好きな人間であることはいつも言っています。

 ビー・ジーズは、歌として好きな歌、歌っていて気持ちがいい歌の数という点で話すと、ビートルズ、ポール・マッカートニー、ビリー・ジョエル、その次の4番手グループをジョン・レノン、ロッド・スチュワート、クイーンなどと形成していると書けば、どれだけいい歌がたくさんあるかが、幾らかでも伝わると思います。



 そんな「洋楽」のひとつ、ビー・ジーズのロビン・ギブが亡くなった。

 ビー・ジーズはモーリス・ギブも亡くなっているので、ついに長兄のバリーだけになってしまいました。


 ドナ・サマーは、僕の最も狭義の「洋楽」にはあてはまらないのですが、でも名前だけは小学生の頃に聞いて知っていて、「洋楽」を聴くようになってからは「洋楽」らしい人のひとりと感じています。

 C.C.R.もまた同様。


 ほんとうに昭和がまたひとつ、段々と遠くなったと感じますね。



 日食の今日は休みなので、このボックスセットの4枚のCDを久しぶりに聴くことにします。