◎EN VIVO!
▼エン・ヴィーヴォ!
☆Iron Maiden
★アイアン・メイデン
released in 2012
CD-0223 2012/3/27
アイアン・メイデンの新しいライヴ盤が出ました!
厳密にいえば日本盤の発売日は明日、2012年3月28日ですが、今日はもう店頭にあるはず。
本国英国での発売日は3月26日。
昨日既に札幌のタワーレコードにも輸入盤が入荷していました。
アイアン・メイデンのライヴ盤はもう8枚目。
ロックバンドでこんなにもライヴ盤を出しているバンドもないのでは。
特に、2000年にブルース・ディッキンソンとエイドリアン・スミスが復帰してからはひとつを除いてアルバムの後のツアーからのライヴ盤が出ているのは、トリプルギターの自負でしょう。
今回は2011年5月にチリのサンチアゴで収録されたコンサートのライヴ盤です。
このライヴ盤を僕と弟は心待ちにしていたし、このライヴ盤は日本人にはまた特別な思いがあるのではないかと。
そう、アイアン・メイデンは、2011年3月12日から日本公演を行う予定でしたが、あの3月11日があり、公演は中止となりました。
3月11日は、パイロットの免許を持つブルース・ディッキンソンが自ら操縦する飛行機で韓国から成田空港に着く予定でしたが、ほんとうに着陸の直前にあの大地震が起こり、セントレアに着陸地が変更となりました。
その時の模様が、アイアン・メイデンが専用の飛行機「エド・フォース・ワン」と世界ツアーに出た際のドキュメントとしてまとめられた洋書FLIGHT 666に記されています。
それによれば、あの地震が起こった2011年3月11日14時46分は、成田空港着陸の9分前で着陸態勢に入っていたところ、管制官に急を告げられて着陸地が変更になりました。
ほんとうにぎりぎりのところだったわけですが、さらには飛行機は35分遅れていたということで、もし遅れていなければ着陸して飛行機を降りる頃に地震があったことになりますね。
コンサートを見に行った弟は飛行機を見ようと成田空港に行き、そこで大地震が起こって成田空港に一晩留まることに。
その間電話が通じず、僕は不安な一夜を過ごしましたが、朝になって成田から出られたところで弟から電話が来て、元気でほっとしました。
弟は情報を何も持っていなかったので、僕がメイデンのコンサートが中止になったと告げるとがっかりしていました。
弟は何があっても行くつもりで一晩を過ごしたようでした。
アイアン・メイデンはコンサートを行うことなく、次の目的地メキシコに向かい、当初の予定より1日早く旅立ちました。
今思い出しても、コンサート中止は残念ですね。
でもそれはきっとメイデンのメンバーもそう思っているでしょう。
メイデンはその後、日本公演用に作ったTシャツを、日本赤十字に売上金を寄付するチャリティTシャツとして販売しました。弟は3枚買いました。
そのようなわけで、今回のライヴ盤は特別ですね。
今回のライヴ盤は、2010年の最新アルバムTHE FINAL FRONTIERから6曲、他は往年のメイデンの名曲が並んでいます。
メンバーをあらためて。
スティーヴ・ハリス (Bs)
ブルース・ディッキンソン (Vo)
デイヴ・マーレィ (Gt)
エイドリアン・スミス (Gt)(Cho)
ヤニック・ガース (Gt)
ニコ・マクブレイン (Ds)
さて、聴いてゆきますか。
◎CD01
1曲目Satellite 15
2曲目The FInal Frontier
3曲目El Dorado
最初の3曲は2010年の最新作の頭3曲そのまま持ってきています。
1曲目はイントロですがコンサートでこういう始まり方も珍しいかも、もしかしてここはテープかな。
そして興味深いのはTr3、曲が終わったところでブルースが「サヨナラ」と言うことで、きっと日本を意識しているのでしょうね。
なお、El Doradoのスタジオヴァージョンは、2011年のグラミー賞でベスト・メタル・パフォーマンス賞を受賞。
それは、メイデンにとって初のグラミー受賞となりました。
4曲目2 Minutes To Midnight、4曲目でいきなりこの古い名曲が来るのは予想外でした。
実は僕はこの曲、昔はそれほど好きじゃなかったんですけどね・・・今は安定して聴ける曲のひとつですね。
5曲目The Talisman
6曲目Coming Home
再び最新作から2曲。
5曲目はメイデンのアルバムに必ずある展開が凝った大作で、コンサートでやるのではないかと予想していたその通りでした。
一方6曲目は僕が大好きな「家に帰る」もので、こちらは演奏してくれてとりわけうれしいし、今回聴いてこの曲がもっともっと大好きになりました。
ところで6曲目は、間奏が終わって本来歌い出すところで、ブルースが、忘れたのか意図か分からないけど、歌が間に合わなくてその1小節後から歌に戻っています。
今回のライヴはブルースのフェイクヴォーカルが以前より多いように感じました。
7曲目Dance Of Death、後期の大作系の曲でコンサートでもすっかり定番となりました。
弟が後期でいちばん好きな曲がこれなのですが、展開が凝りに凝っていてメイデンでは最も審美的な曲かな。
8曲目The Trooper、来た来た!
やっぱりこれをやらないとメイデンじゃないよなあ(笑)。
今回は会場が控えめに歌っているのかな、それとも会場が大きすぎて声がよく拾えていないのかもしれない。
9曲目The Wicker Man
この曲をやったのは僕は意外でした。
ブルースとエイドリアンが復帰した2000年のアルバムBRAVE NEW WORLDから切られた最初のシングル曲でしたが、当時は、確かにメイデンだけど、何かこうもうひとつ何かが足りないかなと話していました。
でもこれはその後だんだんと好きになり今はすっかり大好きに。
Bメロの歌い上げるところと最後のテンポが変わった朗々としたところがいい。
この曲はメイデンらしさを前面に押し出すというよりは、70年代ハードロックを彷彿とさせるものを感じさせて、そこが最初はメイデンにしては何か足りないと感じたのでしょう。
♪ おお~おおぅっ おお~おおぅっ
◎CD02
1曲目Blood Brothers、3拍子のこの曲をやるのはもっと意外だった。
弟が前に行ったコンサートで、この曲は客がのりにくそうだったと。
しかしこの曲、弟によれば、昨年の大地震の前まではロニー・ジェイムス・ディオに捧げるとMCを入れていたのが、今は日本に捧げるとMCを入れているのだそうで、なるほど、収録されているのは納得ですね。
2曲目When The Wild Wind Blows、最新作から最後の曲。
メイデンはこの先抒情性を出してゆくのかな。
3曲目The Evil That Men Do、コンサートで映える中期の名曲。
僕が最初に買ったメイデンのアルバムの中の曲で、メイデンの魅力を教えられた曲ともいえますが、この曲は特に大学生だった当時をよく思い出します。
冬に買って聴いていたので、寒かった、とか(笑)。
4曲目Fear Of The Dark、大作系としてはメイデンの全キャリアでも双璧を成す中期の大名曲で、コンサートでの盛り上がりも1、2じゃないかな。
この曲はライヴでは最初のヴァースの部分でタイトルの言葉を言った後にそのコンサートの場所を言うのが恒例ですが、今回ももちろん「サンチアーゴ!」とブルースが叫んでいます。
ところで、チリといえば鉱山事故の奇跡の生還を思い出しますが、「暗闇の恐怖」とはまさにあの33人が体験したことだろうなと思うとまた別の感慨が湧いてきますね。
恐怖感を克服する人間の勇気を歌った曲ですから。
5曲目Iron Maiden、この曲はライヴ盤で欠けたことがないのではないかと思う。
まあ、この曲をやらないとアイアン・メイデンじゃないですからね(笑)。
またここの2曲の流れも近年のコンサートではおなじみとなっています。
6曲目The Number Of The Beast、ここからアンコールというのがコンサートの流れ。
この曲も皆勤賞でしょうね。
英国のコンサートでは冒頭に入るチャーチルの演説のSEも客が「口ずさむ」のにはちょっと驚きますが、チリではさすがにそこまではいってない模様(笑)。
7曲目Hallowed Be Thy Name、そしてコンサート最後はもうこれしかない、メイデンの大作の双璧のもう1曲。
この曲はもはやロック界の世界遺産、あ、遺産はまだ早いか(笑)。
ともあれ、この曲の魅力を文字で表すのは不可能だから、ロックが好きと自負する人は必ずどこかで聴いてください(笑)。
8曲目Running Free、最後と書いたけど今回のほんとうの最後はこの曲。
1枚目のこの曲がライヴ盤に収録されるのは久しぶりだそうで、新譜の曲以外でもツアーごとに変える曲があるのはさすが。
ただ、今回は僕が大好きなWrathchildが落ちたのですが、仕方ないですね、不満ではありません。
タイトルのEn Vivoについて、スペイン語辞典で引いてみると予想通り"vivo"は「生きている」、そこに"en"がつくと慣用句で「生きたまま」という意味であることが分かりました。
それにしてもメイデンは、リオでのライヴ盤も出していたし、南米が好きなようですね(笑)。
今回のライヴ盤もCDとDVD/ブルーレイが出て、国内盤DVDの初回限定盤は缶ケース入りということです。
アイアン・メイデン、次の世界ツアーでは間違いなく来日するけど、その前に日本だけでコンサートをしてくれないかなあ。
次は僕も行きたい。
それまではこのライヴ盤、そして以前のライヴ盤を聴いて観て楽しむことにしますか。
Scream for me Japan!