◎LED ZEPPELIN II
▼レッド・ツェッペリンII
☆Led Zeppelin
★レッド・ツェッペリン
released in 1969
CD-0221 2012/3/24
Led Zeppelin-03
ビートルズの次に僕の基本のレッド・ツェッペリンを今日は2枚目のアルバムで。
これはロック史に燦然と輝く名盤中の超名盤ですね。
これだけ有名なアルバムであれば、アルバムの背景などはわざわざ僕が話をしなくてもいいですね、というのはいささか怠慢でしょうか(笑)。
でもだから思いっきり僕の個人的な思いを書きます。
しかしひとだけ書くと、これは1969年にリリースされましたが、当時はビートルズのABBEY ROADが出た頃で、まだ2枚目の若造がかのビートルズをチャートで蹴落としたと話題になり、ロックの世代交代を印象付けたということです。
このアルバムは、僕が買ったCDの最初の10枚に入るものです。
1987年、僕は大学に入り、東京に出ましたが、そのすぐに後にリリースされ、石丸電気で買いました。
当時はCD化時代のはじまりで、過去のカタログが魅力的な「新商品」として次々とリリースされ始めた頃でした。
僕にとってそれはちょうどいいタイミングで、次々と出る「新しい旧譜」に目を光らせていて、聴く音楽の幅が広がりました。
あの頃はCDを買うのがほんとに楽しかったなぁ。
今でももちろん楽しいですが、でも当時はまだ使えるお金が少なく、悩みながら選んで買うのもまた楽しかったです。
あ、今でも悩みながら買っていますけどね(笑)。
Zep自体は高校3年の時に3rdと4thのLPを買って聴いていましたが、本格的にZepを聴き始めたのもこの2ndからということになり、Zepは確かその年の秋までにCDすべて買い揃えました。
僕のこのアルバムの感想は・・・
「いったいこのアルバムはどうなっちゃっているんだろう・・・」
後に本などで知ったのですが、当時はツアーの混乱の中スタジオも移動しながら録音していたということで、そんな中でも筋が通ってぶれていないアルバムを作れたのは、創作意欲及び能力が異様に高かったことが想像されます。
ジミー・ペイジはまったく新しいスタイルのロックを1stで確立し、その勢いと流れが本物になったというところでしょう。
僕はこの音に圧倒されたという感じですが、初めて聴いたアルバムで凄いと思ったり感動したという体験はいくらでもありますが、圧倒されたという体験は、その後もそうはなかったものでした。
もうひとつ思ったのが「意外と歌メロがいい」。
3rd、4thを既に聴いていたのでそれは新発見ではなかったのですが、こんなに「混乱」した中でも歌メロはしっかりしているというのが僕には意外に映りました。
全体に曲が、リズムがうねっているのも感じましたが、音のうねりの洪水に襲われる感覚がグルーヴ感というものなのだ、ということを教わったアルバムでもあります。
ブラック・クロウズの記事でも書いたのですが、まっすぐに突き進む曲がなくて、前後左右に跳ねたり粘ったりしながら曲が進んでゆき、聴いていると自然と頭や手足をリズムに合わせて揺すってしまいます。
大学に入ってすぐに僕は、当時流行りで憧れだったミニコンポを買いました。
SONYのものでしたが、このCDは、毎朝目覚まし代わりにタイマーでセットしてかけていました。
CDの時間を計算し、終わる時間に起きるようにセットしていましたが、大学が2時間かかる場所にあったので、6時になると"Whole Lotta Love"が始まるという毎日でした。
ただ、1、2回、途中で寝てしまい、気がつくとCDが終わっていたということはありましたが、幸いにして遅刻したことはありませんでした
1曲目Whole Lotta Love、Zepで唯一のビルボード誌Top10ヒット曲、最高位4位。
僕はこの曲をこのCDで初めて聴いたのですが、そのことは知っていて、チャートマニアとしてはどれだけいい曲なのだろうと期待したら・・・
歌としてはそれほどいいとは感じなくてやや期待外れでした。
もちろん曲としてはかなり以上にいいなと思ったのですが、当時の僕は今以上にポップな歌メロ中心主義だったので、え、これがそんなにヒットしたのか、という感じでした。
Zepの曲はおしなべてヒットチャートには不向きかもしれないですね。
ただしギターで演奏してみると最初からカッコいいと思い、ギターのキレがいいですね。
ところで、この3年後にマディ・ウォーターズのボックスセットを買ったところ、You Need Loveがこの曲にそっくりで、僕は軽くショックを受けました。
歌い出しの歌詞もほとんどそのままだし、途中にもそのままのくだりがあるし、違うのはサビくらいというくらいにほんとそっくり。
プラント自身もライヴで、この曲にマディの歌詞をのせて歌っていたのを映像で見て聴きました。
しかし今は権利関係のことはきちんとしてゆこうという動きがあるのか、この曲のクレジットには、4人の他に、「原曲」の作者であるDixonの名前が連なっています。
もひとつ、この曲にはくだらない思い出がありまして。
当時は僕も若造、高校からの友だちとよく音楽の話をしていました。
この曲は最後のリフレインが始まるところで、プラントが"Shake for me, girl"と叫ぶのですが、僕と友だちは、マクドナルドやロッテリアなどでシェイクを買う際に店員の女性にそうやって節をつけて叫んでみる勇気はあるか、ちゃんと「girl」と言うんだぞと冗談で話して笑っていました。
もちろん、実行したことはないですよ(笑)。
2曲目What Is And What Should Never Be、この曲はまずジョン・ポール・ジョーンズの歌うベースに心が奪われました。
最後の「ザザッ ザザッ」というギターのハードな音が、右から左からめまぐるしく乱れ飛んで来て、ああこれってきっとクスリのイメージなんだろうなと・・・
しかしバラード風のこの曲は歌メロがよくて歌いやすく、歌詞もいい。
叫ぶけと歌メロがいいというのは僕には新機軸でした(笑)。
3曲目The Lemon Song、なんだこの中華街風のイントロは! というのが最初に聴いて僕が思ったこと(笑)。
グルーヴ感という言葉はジョンジーのためにあるのではないかというくらいにぐいぐい引っ張りつつもメロディアスなベース。
この曲はジョンジーのベースが凄いのひとことで、ベースの名演としては屈指の曲だと思います。
テンポが変わる展開もメリハリがあっていいですね。
ところがレッド・ツェッペリンの初期の頃の曲はオールドブルーズから「いただいている」というのはもはやよく知られたお話ですが、この曲はハウリン・ウルフのKilling Floorからちゃっかりいただいています。
Zepが大嫌いなピーター・バラカン氏が何かで、ブルーズを「改作」して自分達の曲だと堂々と言っていた当時の英国のブルーズのブームが許せない、と言っていました。
だからこの曲、今はBurnettと「原曲」の作曲も名を連ねています。
4曲目Thank You、この曲はバラードといっていいのではないでしょうかね。
Zepの中でも歌メロがよくて抒情的な歌詞の曲のひとつですが、2曲目やこれで彼らも意外とロマンティックなんだと思いました。
途中から始まるようなイントロも印象的、シンプルこの上ないタイトルにも感動。
アコースティック・ギターがメインの曲というのは、実は彼らはバッファロー・スプリングフィールドやペンタングルが好きだったというのは3枚目の後に言ったことですが、この曲もそれがよく分かりますね。
間奏のアコースティック・ギターのソロも雰囲気を醸し出していて、何をしてもよいほうに進む勢いがあった時期だったのでしょうね。
この曲はデュラン・デュランがカバーしていますが、オリジナルにはないノマド風のイントロの旋律がついていて、ポップソングとしてはこのほうが印象に残りやすく、僕が聴いたカバー曲の中でも最上の部類に仕上がっていて驚きました。
ここで唐突に閑話休題、LPとCDの違いについて話します。
Thank Youは一度フェイドアウトし終わったかと思わせておいて、またフェイドインして通常の音量近くに戻ったところで終わります。
CDで聴くと、完全に終わって2秒ほどの間を置いてから5曲目のHeartbreakerのギターが唸りを上げて始まります。
僕は、アルバムは曲と曲のつなぎと「間(ま)」が重要と考えていますが、僕はこのアルバムをLPを経験することなく最初からCDで聴いたので、この2曲のつなぎと間が絶妙でカッコいいと思いました。
僕は、CDで初めて聴いたCD時代以前のアルバムは、どこまでがA面でどこからがB面かを調べて頭の中で区切りながら聴くことにしています。
このアルバムは4曲目Thank YouまでがA面、5曲目HeartbreakerからがB面。
つまり、LP時代には、4曲目が終わったところでレコード盤をひっくり返し、5曲目を聴くため、この2曲の「間」は数秒から十数秒かかるわけです。
LPで聴かれたかたは、やっぱりひっくり返したところで始まるHeartbreakerの唸るギターに驚いたのでしょうけど、僕は、CDのように「間」が短いほうがより効果的だと思いました。
そこでさらに勝手に考えを進めてしまうのが僕の悪い癖(笑)、もしかしてジミー・ペイジは当時から、A面B面がなくつながって聴くことができれば、より効果的だったのになと思っていたのかもしれない、と考えてしまいました。
違うかもしれないし、LP時代から聴いているかたには或いは僕のそんな聴き方は邪道かもしれないけど、でも僕は、CDのこの2曲の「間」が最高にカッコいいと思っています。
まあここはそういう楽しみ方もあるんだということで。
5曲目Heartbreaker、僕がZepで3番目に好きな曲グループの1曲で、カッコよさの塊であり権化のような曲。
ギターリフは聴いてすぐに耳コピーして弾くようになりましたが、自分で弾いていても陶酔します(笑)。
演奏がすべてブレイクしたギターソロも印象的、その間奏への入り方がカッコよく、曲に深みがあって聴かせてくれます。
ジョンジーのベースはファズ系のエフェクターをかけつつ潜りっ放しで下支えしていますが、それもまたカッコいいし味わいがあるプレイ。
歌メロもいいし、コード進行もギターのカッティングもカッコいい。
最後の直前の異様な盛り上がりはゾクゾクしますし、プラントが突然"heart"と言って曲が終わり、次の曲に即座につなぐのも斬新な終わらせ方。
6曲目Living Loving Maid (She's Just A Woman)、このアルバムではまっすぐなロックンロールといっていい曲かな。
コード進行が単純で、印象的でカッコいいギターリフに押されてロバート・プラントが歌い進む分かりやすい曲。
しかし、AメロとBメロのつなぎの部分のギターの入り方など、パートによって少しずつ違うという工夫もこらされているのはさすが。
この曲はギターソロも割と簡単で、バッキングともどもギターで耳コピーし、実は、僕が初めて通しで弾けるようになったZepの曲でもあり、そういう点では思い入れもたっぷりの曲です。
ジミー・ペイジといえばレス・ポールがトレードマークですが、このアルバムの頃はまだテレキャスターも、ほとんどかな、使っていたようで、特にこの曲のギターの音は、ソロもバッキングも、いかにもテレキャスターらしく聴こえます。
7曲目Ramble On、僕がレッド・ツェッペリンで2番目に好きな曲。
この曲を最初に聴いた時、感動を通り越して崩れ落ちました。
なんて素敵な曲なんだろう。
こんなに美しいハードロックってあるんだ、知らなかった。
まずはアコースティック・ギターのイントロではっとさせられ、それを受けて始まるジョンジーの抒情的に歌うベースで完全に引き込まれますね。
当時はベースを持っておらず、そのベースをギターで弾いていました。
さらにBメロでのジョンジーのベースは、まるで秋に狂い咲きした花のように派手に動きつつ美しく歌いまくる。
いやほんとすごいですね。
僕が最も好きなベーシストはポール・マッカートニーかジョンジー。
これはそれが決定的となった曲であり、僕には今でもベーシストといえばその2人ですが、この曲は、ロック史において、ベースのイントロが印象的な曲としてはビートルズのCome Togetherと双璧をなすものではないかと。
センチメンタルでロマンティクな歌メロがいい。
そしてこの曲には明確な季節感があり、秋を歌っています。
僕は、洋楽には基本的には季節感がないと思っていますが、だから、明確に秋を表現しているこの曲に驚きました。
ただし、実際に秋を描写しているのではなく、たそがれて再出発を余儀なくされる心象風景を秋と重ねて表現したのかもしれないですが。
間奏のエキゾティックな響きのキーボードも効果的で、ジミー・ペイジは曲作りのつぼを押さえていると感じる部分です。
サビに入る前のジョン・ボーナムのドラムスのひと叩きは、気持ちが揺るぎそうなところをぴしゃっと鞭を打つように響きますが、ボンゾのドラムスは、上手い下手以上に印象に残る音が多いですね。
ただ、この曲、アコースティック・ギターがよくて歌メロがよくても、ギターで弾き語りすると意外とつまらない。
それはずばり、ベースがないからで、あまりにも素晴らしい曲であるがゆえの弱点だと思うけど、じゃあベースで弾き語りするほうがいいのかも(笑)。
8曲目Moby Dickはボンゾのドラムソロのためにあるインストゥロメンタルの曲で、そういう曲を用意する当たりも仲間意識が感じられていいですね。
まあ、忙しくて曲を用意できなかったのかもしれないですが。
とにかくギターリフがかっこいいけど、この曲はいちばん低い音がDで、6弦開放のEより全音低くなっています。
僕はそれに気づき、当時はギターは1本しか持っていなくて全音下げチューニングをするのが面倒だから、6弦だけ全音下げて弾いていて、今でもその運指を覚えています。
余談ですが、サウンドガーデンの"Spoonman"も同様に6弦だけ全音下げて弾けます。
このアルバムは朝にタイマーでかけていたと書きましたが、この曲のボンゾのドラムソロの辺りになると、そろそろ起きなきゃと思いながら聴いていました。
そんな時にこのボンゾの手で叩いているというドラムワークには、なんだか妙にいらいらしたものでした。
半分寝ている状態では、普通に流れがある音楽は心地よいけど、こうした音は雑音のように感じたのでしょうね(笑)。
もちろん普通に聴く時は普通に好きですよ。
9曲目Bring It On Home、最後のこれは曲としてはこの中でも弱いかなとは思いますが、でも、この大喧騒に巻き込まれたアルバムを締め括るには、やはり混乱と喧騒のままで終わるほうがすっきりするし、カタルシス度も上がるのではないかと思います。
タイトルはサム・クックを彷彿とさせるものだし、彼らがブルーズからロックにかけての流れの中にある音楽をこよなく愛していたことはよく伝わってきます。
そしてこのタイトル、ツアーが長くて家に帰りたかったのかな(笑)。
いや、ほんとに圧倒的に凄いアルバムだと思います。
僕は、Zepのアルバムで、アルバムを通して聴くものという観点ではこれがいちばん好きです。
今日はだからつべこべ言わずもう終わります(笑)。
あ、でも、そうだ、僕はまだこのLPを持っていないんだ。
きれいなのを探して買わなきゃ(笑)。