◎MAKE IT BIG
▼メイク・イット・ビッグ
☆Wham!
★ワム!
released in 1984
CD-0216 2012/3/13
ワム!の2枚目のアルバム、全米、全英ともにNo.1を獲得。
昨日、弟がなぜか新しく買ったワム!のベスト盤を聴いていて懐かしかったのでアルバムとしてこれを取り上げました。
僕は中高時代はアメリカンロックに走っていて、当時のブリティッシュ・インヴェイジョンものは、ビルボードでヒットしたところで聴くという態度でいました。
英国勢は最初から追いかけていなくて、もっといえばあまり自分が本気で聴くものとは思っていなかったのです。
もちろんMTV番組でよくかかっていたから、ヒットした曲は知っていたし、バンドエイドもあった、まったく知らないわけではない、でも一応という感じ。
当時大好きなアーティストを挙げてゆくと、ビートルズ、ビリー・ジョエル、ロッド・スチュワート、クイーンでここまで3/4が英国のアーティストだから、英国ロックが好きじゃないわけではなくて、単に若い人の感性についてゆけなかったのだと思います。
しかし逆に現金なもので、ビルボードでヒットすると途端に買って聴くものもあって、前に記事にしたカルチャー・クラブもそうだし、ワム!もそうでした。
ワム!はClub Tropicanaを何かで見て聞いて知っていたけど、なんか違うなと。
2枚目のこのアルバムからの最初のシングルWake Me Up Before You Go-Goは、番組は忘れたけど最初にビデオクリップを見て聴いた時、これはなんか楽しくていい曲だと思いました。
思いましたが、でもどうせアメリカでヒットしないだろうと思ってそこで思考が止まり、翌日の朝のクラスでみんなが話題にしていても、ああそう、状態でした(笑)。
ところがこの曲が1位になってしまいました。
ほんとうに現金なもので、そうなると途端に、なんか楽しくていい曲だと最初に聴いて思ったんだよって、人には言わなかったけど自分の中で自分に向かってそう言って、LPを買う口実にしました。
僕は、今ではいいと思ったものは素直に買って聴きますが、当時はやっぱり偏光グラスで見ていたんだな。
LPをタワーレコードで買いましたが、アメリカ盤はこのCDのジャケットとは違う写真で、ちょっとばかり安っぽい宣材写真的なものでした。
しかしLPを買ったのは僕なりの打算と先行投資もあったのでした。
Careless Whisperのビデオクリップが流れるようになり、こちらはクラスでとっても話題になったのでじゃあ買ってしまおうと。
驚いたことにCareless WhisperもビルボードでNo.1になり、これなんかもっと予想できなくて、こんな歌謡曲みたいな歌がアメリカで売れるなんてと、「FMファン」でチャートを見てもまだ信じられなかった。
アメリカは単純に曲が良ければ売れるんだな、と思ったんだけど、今にしてそれは、ブリティッシュ・インヴェイジョンの流れがあった上でレコード会社が積極的にプロモーションをしたことも大きかったのかなと。
ちなみにCareless Whisperは僕は大好きというわけではなく普通に好きです。
西城秀樹が「抱き寄せてジルバ」として日本語の歌詞をつけて歌ってヒットさせていましたね。
LPでもう2曲気に入った曲があって、1曲はEverything She Wants、これはちょっとメランコリックだけど歌謡曲っぽいという感じは薄くて(なくて)僕には聴きやすくて素直に気持ちが入った曲でした。
へそ曲がりの僕だから、LPを買ってからクラスの音楽仲間に、「ケアレス・ウィスパー」よりこっちのほうがいいよと言ったんだけど、多分その意見は無視されていたんじゃないかと(笑)。
さらにまた驚いたことに、この曲もNo.1になったんですよね。
驚いたけどこれはうれしかった。
しかし、この曲はシングルのB面がかのLast Christmasだったんですね。
実は今Wikipediaで調べて初めて知りました。
当時は同じ頃に両方のビデオクリップが流れていて、「ラスト・クリスマス」は別のシングルだとずっと思っていました。
というわけで当時の僕が英国勢は、はっきりいって疎かったということが証明されてしまいました(笑)。
それにしてもこのアルバムは3曲のNo.1があって、しかもB面でクリスマスの新定番となった曲があったなんて、ジョージ・マイケルはほんとに才能があったんだなって。
ソロになって1枚目は大成功し、2枚目もそこそこだったけど、でもジョージ・マイケルの栄光が思ってもみなかったほど早くに終わってしまったのは残念でした。
もう1曲を話し忘れるところでした。
Freedom、いいですよね。
最近はビール(の類い)のCMで使われていて意外と知られているのではないかと。
余談ですが、ビール類のCMって、白状すれば、僕はビール類は飲まないので、CMとしては誰が出ていてどんなCMとほぼすべて認識しているんだけど、どこの会社のどの種類のビール類なのかが結びつかないことが多くて、実はFreedomを使っているCMも今これを書きながら、キリンだったかな、そうだったよな、くらいしか確信が持てませんでした。
それはともかく、これは今聴くと思いっきりモータウンであることが分かりますね、ほとんど焼き直し。
当時はそれに気づかず、この曲もLPを買ってすぐに大好きになり、クラスでこんないい曲があるよってこんどは和やかに話しました(笑)。
この曲はCMで流れるようになってからまたよく口ずさむようになりました、サビの部分は歌っていてとっても気持ちがよくて、ビールが好きな人ならきっとビールの爽快感に喩えるんだろうなって(笑)。
僕は4年前にソウルを真面目に聴き始め、今さらながらにして分かったんですが、1980年代の英国はソウルを自分たちなりに解釈することが流行っていたんですよね。
英国ロックは1960年代はブルーズの独自解釈が盛り上がったけど、80年代はソウルだった。
僕は当時はソウルは真面目に聴いていなかったけど、でもだから逆に数少ない知っている曲から漠然としたソウルのイメージを作り上げていて、当時の僕には英国勢のソウル解釈がぎこちなく聴こえたのだと今にして思います。
または、僕自身がソウルを聴いていなかったので、ソウルが好きじゃないというよりは好きになりたいけど敷居が高いと思っていた、だからソウルにこんなにも熱を上げる人たちの考えることが分からなかったのだと思います。
今は僕もソウルが大好きになったので、いまなら逆に当時の英国勢を聴けるかもしれない、というのが最近思っていることです。
分からないけど、そして自信ないけど・・・
ちなみにこのアルバムはもう下手すると20年振りくらいに聴いたんだけど、他の4曲は見事にまったく覚えていなくて、高校時代はLPをカセットテープに録ってそれなりに聴いたはずだけど、シングルの4曲の印象が強すぎて逆に他の4曲は覚えていなかったのでしょうね。
If You Were Thereはアイズリー・ブラザースの曲だなんて当時は知る由もないけど、今聴くとなるほどアイズリーの曲って感じがします。
Wake Me Up Before You Go-Goについてもう一度話します。
この曲はベースがすごいですよね。
当時は安物のベースを買ったばかりだったので真似して弾いてみましたが、僕は家でギターやベースを弾く時はアンプにつながないので、あの「ぶうぉ~」というグリッサンドとか音の厚みや広がりがアンプなしで出るはずもなく、ひとりで弾いてもつまらなかったことを覚えています。
ともあれ、こうしたベースが歌っている曲には強く引かれます。
タイトルに"Go-Go"と入っているのは、ローリング・ストーンズのライヴで知ったスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズの名曲Going To A Go-Goへのオマージュ的なものなのかなというのは当時うすうす感づいていたけど、今聴くとやっぱりこの曲もモータウンですね。
この曲のビデオクリップでジョージ・マイケルが"Choose Life"という文字が書かれた白いTシャツを着ていたのが印象的で、当時は高校生で英語にみんな興味があるから、「人生を選ぶってどういう意味?」とこれまた話題になりました。
少し後で、クイーンのロジャー・テイラーが、Hammer To Fallのビデオクリップで同じTシャツを着ていて、それはワム!への思いというかいたずら心なのか、書かれていることにロジャーが共鳴したのか、英国で単に当時流行っていたのか、分からないけどあのクイーンがというのが面白かった。
そうそうこの曲を最近いいなと思ったことがもうひとつあって、3年前かな、千歳に早朝に鳥を見に行った日、カーステレオのCDがかからなくなってしまい、MDはついてないので仕方なくラジオをかけた。
ラジオはAMのSTVラジオで普通の番組だったけど、リクエストでかかった曲がこの曲で、その日はカーステレオの故障で音楽に飢えていたせいか、聴いていて、えっこれってこんなにいい曲だったかって思い直しました。
その日はなぜか次のリクエスト曲もアバで、洋楽が続いたのはうれしかった。
なんて、思うがまま書いてみましたが、昔聴いた音楽でも年齢によって聴こえかたが変わるんだなというのは、音楽の面白い部分だし、音楽を聴き続ける楽しみでもありますね。
今だから言う、Freedomはほんとうに大好き(笑)。