◎MACHINE HEAD
▼マシン・ヘッド
☆Deep Purple
★ディープ・パープル
released in 1972
CD-0201 2012/2/14
5日ぶりの記事となりました。
そんな今回はディープ・パープルの誰もが認める大名盤を取り上げますが、別に特に意図も何もなく、ただただ昨日なんとなく目に留まって聴いただけです。
ディープ・パープルは、一応は好きなバンドで時々とたまにの間くらいの頻度で聴きますが、でも「思い入れ」とまで呼べるものはないかな、僕にはそんな存在です。
パープルのこのアルバムであれば大好きで思い入れがたっぷりの人がたくさん記事を上げておられることでしょうね。
そんな中で僕のような人間が話すのはどうかなと自分でも思う反面、時にはそういう見方の記事があってもいいのかなとも思いました。
本題の前に、僕の中での話ですが、「思い入れ」と「大好き」が微妙に違うということが、BLOGを始めてからここ数年で分かりました。
その違いというか分かれ目となるのは、「冷静でいられるかどうか」ではないかと。
思い入れがあるアーティストであれば僕はもう冷静ではいられません(笑)。
思い入れが強ければ強いほど冷静さを失い、例えばポール・マッカートニーの新譜が先週出ましたが、僕はもう発売予定日の2日前くらから、いつどこで買おうかにはじまり、買いに行くのにどのルートを通って行くかなんてことまで考えていました。
ただ、もう大人になったので、まだ2日前からで済んだんですよ、若い頃だとポールくらいなら1週間前からそうでした(笑)。
思い入れというのは、そのアーティストのCDが出る情報に接するとそわそわしたり、特別盤も出るとなると買わずにいられなくなったり、持っているのに同じ中古CDを見つけると欲しくなったり、街角やラジオで不意に曲を聴いたりポスターを見たりするとうるうるしたりで、そのアーティストに触れると気持ちが揺れるということでしょう。
ディープ・パープルはその点、常に冷静でいられます。
でも、このアルバムは、僕が最初に買ったCD50枚に入るくらいに早くから聴いていて、もう20年以上の付き合い。
大学1年の春休みの2月に、札幌のタワーレコードの初代の店舗で買いましたが、その時はとても期待していて、楽しみでわくわく、帰りのバスの中で待ち切れずに箱を開けて出して眺め、さらには、箱に書いてあった短い解説文を読んでいたのをなぜか今でもはっきりと覚えています。
当時のタワレコでは、輸入盤のCDは、LPの高さで幅が1/3くらいの箱に入れて売られていましたね、懐かしい。
これを買ったきっかけのひとつは、CDが出たからでしょうね、レコード時代にはディープ・パープルを買って聴こうとまでは思っていなかったから。
本格的にCDの時代になった1980年代後半は、旧譜のCDは、商品としても、新譜と同じ魅力を放っていましたが、今考えると、それはそれでいい時代だったかもしれません。
パープルは名前だけは小学生の頃から知っていたし、リッチー・ブラックモアが大好きな人は高校時代に同じクラスにいたりで、いつか聴きたいという気持ちは低レベルで続いていましたが、CDを見てその気持ちが一気に上りつめたのでしょう。
ディープ・パープルのアルバムを聴いたのはこれが初めてで、曲も1曲しか知りませんでしたが、聴いてみると、「意外とハードじゃないんだ」と感じました。
音の響きがまろやかで、ギターの音もザクザクと粗いよりはむしろ整った、ようするに「きれいな音」という感じがしたのを覚えています。
ギターが主のバンドかと思っていたのですが、サウンド的にはキーボードがむしろ主導権を握っているのがそう感じさせたのかもしれない。
またそれが日本でも受けたのかもしれない、とも思う。
もうひとつ思ったのは、ディープ・パープルといえば当時は既に「懐古趣味」というか、70年代が懐かしい、その象徴みたいな存在でしたが、でも実際に音を聴くと、もっとノスタルジックな響きの音楽を想像していたのが、それもちょっと違いました。
音楽自体がノスタルジックであることと、昔を懐かしむことは違うことも僕は学んだ気がします。
まあ、それは当り前のことなのかもしれないですが。
ともあれ僕はこのアルバムがとっても気に入り、その春休みは、ディープ・パープルのCDを他に2枚買って聴きまくっていました。
ただし、僕の中でのディープ・パープル熱はその頃が頂点で、もっと突き詰めようと思うまでには至らず、上述のように「時々聴きたくなるバンド」として安定してしまいました。
音楽ではよく「A派」対「B派」という話がされますね。
中でもよくあるのが「ビートルズ派」対「ローリング・ストーンズ派」と「ディープ・パープル派」対「レッド・ツェッペリン派」の2つではないかと。
僕は、特に初めて会った人などにくどくどと説明するのが面倒な時などは、前者では「ビートルズ派」、後者では「レッド・ツェッペリン派」と言うことにしています。
パープルが僕の中でそこで安定してのは、おそらくそこにあるのでしょうね。
ただし異論を唱えると、「A派」「B派」という話の文脈では、「A派の人はBの音楽が嫌い」ということになりがちだと思いますが、僕はそれは断じて違います。
ビートルズは自分の基本だけど、ストーンズだって大好きでほとんど思い入れに近いものがあり、CDは80年代までのアルバムなら今でもよく聴くし、コンサートだって2回行ったことがあります
レッド・ツェッペリンは僕にとってはビートルズの次に大切なバンドだけど、パープルだって普通に聴きます、嫌いではありません。
例えば、ツェッペリンのあのアルバムよりはパープルのこのアルバムのほうが好き、というのもありますし。
などと若い頃は考えて人と話す時には意地になって主張していたのですが、年をとるにつれて自分のすべてを人に見せなくてもいいんだと分かり、今は「ビートルズ派」「レッド・ツェッペリン派」を主張しています(笑)。
ただ、「派」ではないからといって嫌いではないということだけは分かっていただきたいのです。
1曲目:Highway Star、名曲中の名曲ですが、ごめんなさい、実は僕はこの曲が大好きというわけではないのです。
バンドをやる人にはバイブルみたいな曲のようですが、バンドをやらない人間だからでしょうね。
まあこんなこと言えてしまう時点でやっぱり「ツェッペリン派」なのでしょうけど(笑)。
でも真面目な話、大好きなアーティストの有名な曲でもそれがあまり好きではないという曲は、僕の場合はだいたいどのアーティストにもありますが、それは一般的なことなのかな、どうだろう。
ちなみにビートルズのそれは・・・言えません(笑)。
2曲目Maybe I'm A Leoはイントロのギターリフが「字余り」のような感じで面白くて最初から心を掴まれました。
説明が遅れましたが、Highway Starはこのアルバムを買う前からロックの歴史を振り返るテレビ番組などで見て聴いていたので唯一知っていた曲でしたが、アルバム1曲目がその曲で、そのイメージでずっと引っ張るのかと予想していたところそうではなく少し緩い曲になったのが最初は意外に感じました。
3曲目Pictures Of Home、ドラマティックなギターリフに、またまた一発で心を掴まれました。
虚しさの中で疾駆するという感じがすっかりお気に入りになり、最初に聴いた時、1曲目はともかく2曲目、3曲目と聴くに従って「予想外に」よくなっていったのを思い出します。
4曲目Never Before、ダイナミックかつ切れがあるギターリフが好きで、リフにアルペジオを混ぜるのもカッコいい。
5曲目がかのSmoke On The Waterですね、これはこのCDで初めて聴きましたが、かけたところ耳にしたことがある曲ではありました。
こちらは大好きですが、あまりにもあまりにもな名曲なので、曲について僕が言うことはありません。
と思ったけど、やっぱり大好きなので書きます(笑)。
個人的には、フェイドアウトのラストで音が消え入る寸前に、イアン・ペイスのドラムスが乱打され、そのドラムスの音だけ大きく残るのがなぜか昔から妙に気に入っています。
ペイスはまた、間奏の部分でシャッフルっぽくビートが走りだすのもいい。
何を隠そう、僕はイアン・ペイスと誕生日が同じなのです。
それを知ってからイアン・ペイスが大好きになり、さらにはポール・マッカートニーのRUN DEVIL RUNに参加したことでペイスには思い入れのようなものができました。
僕はドラムスは演奏できないしだから聞きどころがよく分からないんだけど、彼のプレイは上手いんでしょうかね、そうですよねきっと。
この曲はまた歌メロが「ド」の音で終わってなくて、だからいつまで経っても曲が終わらない、ループ状態に陥るのが面白いところです。
そしてもひとつ、歌詞にフランク・ザッパ&ザ・マザーズやローリング・ストーンズのMOBILE音楽祭で有名なモントルーが出てきたりと、ロックの横のつながりを強く意識するようになった曲でもあります。
エレクトリックギターを弾く人でこれ弾いたことがない人っているの!? という感じがしますが、もちろん僕も弾きましたよ(笑)。
なんて、結局は長く話してしまいました(笑)。
6曲目Lazy、僕は歌メロ中心に聴いていた人間でしたが、このインスト中心の曲を、意外にも最初から気に入ったのでした。
なぜかは不明だけど、クオリティが高くて飽きさせなかったのは確かでしょう。
もしくは、大人になって歌メロ以外にも目や耳が行くようになったか。
7曲目Space Truckin' 、この曲でノックアウトされました!!
僕がいちばん好きなパープルの曲はこれですね。
アルバムを聴き進めきて、アルバム自体が「予想外」に良かったところ、最後の最後にこんなカッコいい曲が待ってたなんて!
歌メロがよく、展開も素晴らしい上に、全体にかげりがある。
確かにロックンロールなんだけど、僕がそれまで耳にしたことがない「新しい」タイプのロックンロールに度肝を抜かれました。
なんといっても、ギターリフがとにかくカッコいい!
最初に聴いた次の瞬間にはもうギターを手に取っていました(笑)。
3コーラス目に突然出てくる、リッチーのギターを叩くような激しいバッキングギターがまた最高にカッコいい。
そのギターの音は左チャンネルから出てきますが、その時ふ思ってアルバムをヘッドフォンで聴き直すと、このアルバムは全編、右と左に違う音のギターが入っていて(多分ギターも違うと思う)、どの曲のソロはどっち、このバッキングはこっちとそれこそ縦横無尽に動き回るのに気づいた時には、もうそれこそほんとに鳥肌もの、脱帽しました。
この曲は今でも一度聴くと繰り返し聴いてしまいますね。
はい、左様、この曲に関しては僕も冷静ではいられないようですね(笑)。
繰り返し、このアルバムは、ディープ・パープルは、もっと粗い(よい意味で)音楽だというイメージがあったのですが、このアルバムを聴き通すと、力任せではなくむしろきめ細かくて、なんだか洒落た感じがしたのが意外でした。
でも、だから日本で受けたのかもしれないですね、ハードだけどしゃれている。
概ね、粗いイメージの音楽は日本ではあまり高い人気にはならないですからね(笑)。
しかしこのアルバムはほんとうにお気に入りで、昨夜一度だけ聴いて記事を書いて上げるつもりが、もう今日だけで3回目を聴いていますよ。
たまらずにギターも持ち出し、今はそれを抱えながら記事を書き終わったところです(笑)。