BRIEFCASE FULL OF BLUES ブルース・ブラザーズ | 自然と音楽の森

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自然と音楽の森-Feb20BluesBrothers


◎BRIEFCASE FULL OF BLUES

▼ブリーフケース・フル・オヴ・ブルース

☆Blues Brothers

★ブルース・ブラザーズ

released in 1978

CD-0204 2012/2/20


 今回はブルース・ブラザーズのアルバムを。

 先にまた話は逸れますが、ウィキペディアを見るとブルース・ブラザー「ズ」となっていて、今は一般的にそう書くんですかね。

 でも映画のタイトルは「ブルース・ブラザース」のままでした。

 国内盤のアーティスト表記も「ブルース・ブラザーズ」だったので、ここはそれに従って書きます。

 (じゃあなんでブルー「ス」なんだろう・・・)


 それはともかく、前の記事のケヴ・モではブルーズとソウルの間の話をしましたが、たまたま少し前に買ったこのアルバムもそうであると気づいて、続編のようなかたちで書くことにしました。


 映画「ブルース・ブラザース」は高校1年の時にテレビで放映されたものを見ました。

 もう1発で大好きになりました。

 音楽が楽しい上にストーリーも面白かった。

 後日、ある友だちと映画についての感想を話した時、その友だちは開口一番、「スター・ウォーズ」のレイア姫のキャリー・フィッシャーがあんな役だったのがショックだったと話していて、お前最初に思うことがそれかって情けなくなりました・・・


 映画を観た方ならお気づきかと思いますが、映画の中で、ブルース・ブラザーズ・バンドをはじめジェイムス・ブラウン、アレサ・フランクリンなどの登場人物に歌われていた曲の多くは、ブルーズとは言いながらもほとんどがソウルもしくはゴスペルでしたよね。

 「ローハイドのテーマ」や「監獄ロック」も歌っていて印象的でしたが、ブルーズという印象は薄かった。

 そのことは、実はつい最近までずっと別に不思議ではない、逆にごく自然にそういうものかと思っていました。


 映画が公開された1980年頃は、ブルーズはもはやポップスではなくマニアだけが聴くものという感じではなかったかと思います。

 80年だと僕もまだ洋楽を聴いていなかったので当時のことは後追いですが、でもそれから2年で洋楽を聴き始めた頃は少なくともそうでした。

 

 映画にするにあたってはやはり一般受けということを考えて、ポップな音楽で知名度が高いソウルなのかなと。

 前の記事で書いたソウルとブルーズのつながりを考えれば十分以上に納得できるし、R&Bという呼び方が復活して市民権を得ている今ではむしろ必然とすら思えるものがあります。


 そしてもうひとつ、どうしてソウルだったのか。

 ブルース・ブラザーズはブルーズを応援し復興することを願っていた、そのために入り口を広くとった、よく知られたソウルを通してさらにそこからさかのぼってブルーズの素晴らしさにひとりでも多くの人が触れてもらいたい。

 ただし1980年代頃になると、もうソウルも衰退の道をたどっていたので、ソウルを応援するという気持ちももちろんあったのでしょうね。

 ブルース・ブラザーズはアメリカの人気テレビ番組「サタディ・ナイト・ライヴ」のコーナーから出たバンドで、エルウッドがダン・エイクロイド、ジェイクがジョン・ベルーシの兄弟という設定。

 これが受けて話が発展、ライヴアルバムを制作して出したのがこの作品、なんとそれがビルボードでNo.1に輝いてしまいました。

 いわば究極の素人芸ともいえるものだけど、しかしバンドのメンバーは素人なんてとんでもない。

 ギターにはマット・マーフィ、ギターのもうひとりとベースが元ブッカーT&MG's、あのスティーヴ・クロッパーとドナルド・ダック・ダン、ドラムスにスティーヴ・ジョーダンなどなど、逆に最高峰のR&Bバンドといえるでしょう。

 ダン・エイクロイドはハーモニカも演奏していてこれがなかなかいい。

 

 このライヴ盤は最高にショーアップされていて、歌い方はやはり本格的なブルーズというよりはユーモラスな発声だけど、上手いとか下手とかそういう次元ではなく、ひたすら楽しく聴かせてくれます。

 5曲目のRubber Biscuitは歌詞ではなく変な声でハミングして間に語りを挟んだもので、これが最高位37位とシングルで小ヒットしたということ。


 選曲は、オープニングとクロージングがオーティス・レディングのI Can't Turn You Loose、千葉ロッテがチャンスを迎えた時に応援歌として使っていますが、それとサム&デイヴのSoul Manがソウル系の曲、さすがはどちらもスタックスの代表曲ですね。

 他はブルーズ系だけど、でもやはりジュニア・ウェルズのMessin' With The KidのようにブルーズというよりはR&Bという趣きの曲もあって、彼らが目指していたところがよく感じ取れます。

 Soul Manはシングル最高14位と中ヒットを記録、聴いているとやっぱり会場がいちばん盛り上がっているのはこの曲ですね、「素麺」ですからね(笑)。



 3年半前にソウルに凝って自分の中に定着し、昨年はブルーズに凝ってやはり定着した僕にとっては、ソウルとブルーズの間にある音楽というのはいろいろと考えさせてくれる気になる存在ではあります。

 2年ほど前にブックオフで750円で見つけて買おうかどうか迷ってやめたままになっていたんだけど、先月に新品で600円を切ったのでついに買ったこのCD、結果としては今でよかったのだと思います。 

 久しぶりに映画も観たくなってきました。 



 「サタディ・ナイト・ライヴ」は以前ケーブルテレビで放送されていた時に観ていたのですが、録画はしていなくて、そろそろまた放送してくれないかな、番組ごとすべてDVD保存しておきたい。

 印象的なコントが幾つもあったけど、ジョン・ベルーシがギリシア系移民という設定で、レストランでアルバイトをしていてペプシしか聞き取れないというのがなんだかわけもわからずおかしかった。


 そのジョン・ベルーシは、僕が映画を観たすぐ後に亡くなったと記憶していたのが、調べてみると逆で、テレビで映画を放映したのは追悼だったのかもしれない、ともかく亡くなった時になぜかブルース・ブラザーズは知っていて、新聞記事を読んで驚いたものでした。


 そして映画の後、ジョン・ランディス監督はかのマイケル・ジャクソンのThrillerを撮影と、僕の中でつながっていったのも、洋楽聴き始めだった僕にはよかったところでした。