HAVING A RAVE UP ザ・ヤードバーズ | 自然と音楽の森

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◎HAVING A RAVE UP

▼ハヴィング・ア・レイヴ・アップ

☆The Yardbirds

★ザ・ヤードバーズ

released in 1966

CD-0189 2012/1/19

The Yardbirds-02


 ヤードバーズのアルバムは10月に知床遠征の間に1枚取り上げていました。

 それから僕の中でヤードバーズ熱が少し高まって、熱っぽいけど会社には行けるくらいの感じで(笑)、その後に3枚のCDを立て続けに買って聴きました。

 今回はその中の1枚を。


 ヤードバーズはまだ東京にいた12年以上前に有名なFIVE LIVEを買っていたのですが、当時はなにかこうもうひとつかふたつしっくりとこなくてあまり聴き込まず、僕にはとっつきにくいバンドになってしまいました。

 その前にジミー・ペイジ在籍の唯一のアルバムも買っていたけど、それはレッド・ツェッペリン絡みで資料として買ったようなもので、やっぱりあまりしっくりこなかった。


 それは単純に僕が勘違いをしていただけで、彼らはむしろ割とシンプルな歌を聴かせる演奏が少しハードなポップロックバンドだったということを、昨年の秋になってようやく気づきました。

 

 傍系の話ですが、ヤードバーズがとっつきにくいと思っていたもうひとつの理由がアルバムです。

 1960年代はビートルズも英国のオリジナルのかたちではなくアメリカで勝手に編集し2枚のアルバムとシングルを3枚のLPにでっち上げて売っていたわけですが、ヤードバーズもディスコグラフィをみてもどれがいったい「オリジナルアルバム」かが分かりませんでした。

 僕はできればオリジナルアルバムで聴きたい、編集アルバムを聴くのはある程度以上好きになったバンドだけと思っているのですが、だからヤードバーズもなかなか買えなかったのでした。


 このアルバムも実は、買おうと思うまでは英国のオリジナルアルバムだと認識していたのですが、HMVに注文する際によく調べると、やはりというかアメリカで編集されたアルバムだと分かりました。

 そこで3分23秒くらい迷ったのですが、でももう聴きたいという思いがはるかに勝っていたので注文しました。


 買ってよかった、これはいいですね。

 まあ編集盤でいい曲を集めているのでそうなるのでしょうけど、それにしてもいい曲、いい歌が多い。

 このアルバムのスタジオ録音の既発曲はジェフ・ベックがギターを弾いているのも統一感があっていいのかもしれない。


 1曲目Mr. You're A Better Man Than Iは劣等感を感じながらもなるべく元気に歌ってしまおうというひたすらポップな曲で、キース・レルフも悪くないじゃんと見直しました。

 じわっと盛り上がっていくスタイルでいい歌のツボを押さえています。


 2曲目Evil Hearted Youはカウンターで入るギターのイントロがジェフ・ベックらしくてカッコいい。

 マイナー調の恨み節ともとれるうねうねした曲だけど途中でテンポアップし曲も凝っています。


 3曲目I'm A Manはブルーズのカバーでがんばって本物のブルーズにしようとしているのですが、粘つき感がなくさらりと流れていきますね。

 僕はそもそもヤードバーズはこんな感じの曲ばかりだと勘違いをしていて、そこがとっつきにくいと思っていた部分です。

 

 4曲目Still I'm Sadはオリジナルで、東欧の曲のような哀愁を感じさせるほの暗い旋律がしみてきます。

 イントロの後いきなり「あ~ああ~あ~ああ~ああ~あああ~」とスキャットを入れるのですが、でもよく聴くと後半の方が暗い中に明かりが見えたという感じになっているのがまたいい。

 レインボーがカバーしていましたが、曲自体がレインボーには合う色だし、リッチー・ブラックモアはスタジオミュージシャンとしてキャリアを始めた際にこの曲を聴いていたのかもしれないですね。


 5曲目Heart Full Of Soulはイントロのギターリフが、インドとまでは言わないけどどことなくエキゾティックだけど、65年の曲ということで当時は英国でインド的空気が広まっていたのかもしれない。

 ソウルが頭にあるほの暗い歌メロがなかなかいい。

 Bメロのところでリズムギターが煽って全体的に早くなるのがいいアレンジだと思います。


 6曲目があのTrain Kept A-Rollin'、これはやっぱりすごい!

 出だしに多分ハーモニカとギターで汽笛のような音を出していてこれが上手い。

 低音重視のギターリフも機関車が力強く突き進んでゆく感じを表していてこの表現力がいいですね、まさに鉄道の曲。

 エアロスミスでもおなじみですね。

 だけど実は僕はヤードバーズのものを聴いたのは今回が初めてで、なんだこのカッコよさはと打たれたのでした。

 

 ここまではシングル曲を集めたものですが、6曲だから3枚のシングルの両面と思えばさにあらず、すべてが別のシングルから取られていて、1、4、6がB面、2、3、5がA面の曲という不思議な選曲になっています。

 気になるのは残りの6曲ですね。


 その前に、このアルバムは発売当時のかたちでは10曲入りで、7曲目から10曲目まではすべてFIVE LIVE YAREBIRDSから取られています。

 しかし僕は、その4曲についてはまったく覚えていませんでした。

 いかに昔は興味がなかったかということですね。

 まあそれはいいとして、その4曲はFIVE LIVEのCDを持っているのでまたいつかそのアルバムを記事にする際に取り上げることにします。


 このCDにはボーナストラックが11曲入っていますが、12曲目以降の10曲はアウトテイクなどです。


 11曲目はかのShapes Of Thingsで、ジェフ・ベックが後に再録音しますが、うねりもないしあまり重たくもないむしろ普通のポップソングを目指したような曲に仕上がっていて、それはそれでいいんだけど、でもロッド・スチュワートが歌うヴァージョンに慣れてしまっているので迫力不足は否めないですね。


 1曲目はこの曲のシングルB面で、これのみ両面が揃いました。

 ブックレットの最後にシングルのジャケット写真が載っているのですが、当時をしのばせて面白いですね。


 

 ヤードバーズ、僕の中では、もはや初期ビートルズの代わり、といっては失礼だな、初期ビートルズと同じ方向性にあるバンドという感じで聴いています。

 歌メロがよくて適度にポップだけど演奏がそれなりにハードという音楽、演奏は単なる伴奏ではなく演奏にも聴きどころがある、それがに僕の中でのロックの中心軸ですね、デフォルトと言っていいかも。

 どうして今まで気づかなかったのだろう。


 まあいいか、年を取ってからでもこんなにも歌がいいバンドと新たにめぐりあえたのだから。