◎CHICAGO 17
▼シカゴ17
☆Chicago
★シカゴ
released in 1984
CD-0188 2012/1/17
Chicago-002
昨日に引き続きシカゴ、アルバムも続いて17枚目の本作を。
たまたま昨日は16日に16枚目のアルバムを上げたので17日の今日は17枚目、ということも数字を意識する僕だからあるのですが、それ以前にこの2枚は僕の洋楽体験の中でも不可分ともいえる2枚であるので、続けて記事にすることにためらいはありません。
ただし、アルバムタイトルも似ているし(当たり前か)ジャケットも似ているので、CDを紹介するうちの犬は昨日はハウ、今日はポーラと少し変えてみました(笑)。
前作の「素直になれなくて」のNo.1ヒットでメインストリームに返り咲いたシカゴ、次のアルバムはもちろん大きな期待を持って迎えられました。
洋楽を聴き始めた僕にとっては、洋楽の世界というのはどうなっているのだろうという根源的な興味も手伝って、新譜からの新作がMTV番組(いつもの「ベスト・ヒットUSAではなかったと記憶している)で流れるのを楽しみにしていました。
最初のシングルはStay The Night。
アルバムの1曲目でもありますが、ハードな手応えのファンキーともいえる、決してバラードではない曲でした。
初めて聴いた僕は、悪くはないけど微妙かな、と・・・
ビルボードでは最高16位と中ヒット、悪くはないんだけど、そんなもんかなというのが僕もなんとなく分かるようになっていました。
僕はシカゴの古いアルバムは持っているけどまだよく聴き込んでいないのでよくは分からないのですが、若い頃のもっとワイルドな感じを出したかったのかもしれません。
まあ、今聴くと普通にカッコいい曲だとは思います。
若い頃は気持ちが移りやすく、また音楽の世界も移ろいやすくて、シカゴの17作目は中ヒットで終わるのかなと、まだまだ洋楽聴き始めの僕はそう思っていました。
ところが、今度は「ベスト・ヒットUSA」で聴いたアルバムからの2枚目のシングル、Hard Habit To Breakは落ち着いた歌メロが美しいバラードで、僕もすぐに引かれました。
案の定この曲は最高3位と大ヒットを記録して、シカゴはまた軌道に乗ってきました。
この曲には「忘れ得ぬ君へ」という邦題もつけられましたが、「素直になれなくて」からまるで連続小説のような流れですね。
またもやピーター・セテラとデヴィッド・フォスターのバラードですが、結局、良くも悪くも、世の中はシカゴに対しては最高のバラード「だけ」を求めるようになっていたのでしょう。
余談ですが、この曲の歌詞の最初のヴァースに"Don't know what you've got until it's gone"という歌詞があって、それは英語の常套句のようでそういう曲もあるけど、なるほど奥が深い表現だなって思ったものです。
さらに次のシングルがYou're The Inspiration、またまたバラードを出してきましたが、その頃はもう僕もそろそろ洋楽初心者マークがとれたころで、この流れはもはや読み通りという感じすらしていました。
しかしというかしかもというか(シカゴのダジャレではないけど)、こちらも最高3位の大ヒットとなって、もはやシカゴは最高のバラードを聴かせるバンドとして定着しました。
この曲の邦題も当然のごとく連続小説風の「君こそすべて」、でもこれはひねりすぎじゃないかなあ。
だけど「求めていたのは君」じゃ説明的に過ぎて情緒がないし、かといって「ひらめきの君」じゃおかしいしなあ(笑)。
もうこうなったら次もバラードだろうと思っていたところ、次のシングルAlong Comes A Womanはミドルテンポの明るいポップソング、どことなくビリー・ジョエル風の曲で、意外なことに僕はとっても気に入りました。
当時はちょうどうちでビデオデッキを初めて買った頃でした。
もちろんというまSONYのβで、この頃から僕は「エアチェック」ではなくビデオクリップを録画して観て聴くようになっていて、それを僕は「ビデオチェック」と称していました。
この曲のビデオクリップはモノクロの、「カサブランカ」だったかな、何かの映画を模したもので忘れてしまったけどなかなか面白くて(だったらなんで忘れるのか・・・)、毎日のように観て聴いているうちに、4曲も好きなシングルが入っているなら(1曲は微妙だけど)LPを買うかなと思いつつ、結局は買いませんでした。
この曲は最高14位とまた中ヒットで終わりましたが、今でも僕はこの曲は大好きで、僕のリアルタイムのシカゴでは「素直になれなくて」の次に好きですね。
なおこの曲には「いかした彼女」という邦題がついていたことを、今Wikiを調べて分かりました、そうだったんだ、曲は大好きだけど、その邦題はどうだろう(笑)。
このアルバムからのシングルカットはこれで終わりましたが、1980年代はアルバム1枚からどれだけシングルカットして引っ張れるか、もとい、長く売ってゆくかという「商法」が確立し、ゆえにアーティストのアルバムを出す間隔が長くなった、そんな時代でしたね。
僕はまだそれが分かっていなかったので、最初のシングルがそこそこだったところで終わってしまったと思ったのでしょう。
考えてみればマイケル・ジャクソンなんてTHRILLERの中でシングルカットしなかったのは2曲だけでしたからね。
あの時代、プリンスみたいに毎年出していると逆に妙な感じがしましたが、でも僕はプリンスは大好きだったので、もっとこういう人がいてもいいのにとも思いました。
そんなわけでこのアルバムは、いい歌を聴かせてくれた以上に、アメリカのヒットチャートがどういうものか、少なくともその時代の、ということを教えてくれた意味のあるアルバムということになります。
しかし僕がアルバムを初めて聴いたのは、16と同じく4年ほど前に買ったこのリマスター盤CDでした。
アルバムとして聴くとやはりシングル曲とそれ以外の違いがはっきりしていると感じました。
ただこれどうなんだろう、シングル曲は僕は昔からよく知っているからそう感じるだけで、予備知識も何もなしにまったく初めて聴くと、どうなんだろうな。
いや、自己否定のさらに否定だけど、これについてはやっぱり、シングル曲とそれ以外の差が結構大きいような気がします。
5曲目のRemember The Feelingなんてかなりいいバラードだけど、でも一方で当時シングルヒットしなかったのもうなずける、雰囲気に流されていて歌としてはあと一押しが足りない気もする、そんな曲だし。
シングル曲以外ではやはりスウィング色が濃くなっているのは感じて、この辺は当時の彼らのバラード以外の基本だったのかなと思います。
今はアルバムとしてCDを聴いているといいと思いますよ。
すべてがいい曲だとかえって疲れるとは昨日も書いたけど、これもまさにそうで、間の曲で気持ちがいい流れのまま心が休まってシングル曲に向けて心構えができる、そんな感じです。
結果としてこのアルバムは700万枚を売り、シカゴとしてはいちばん売れたアルバムとなったのは、見事な復活といえるでしょう。
ただし、昔からのファンにはきっと複雑だったとは思います。
その上、ピーター・セテラがこのアルバムを最後に脱退してしまいましたし。
そのピーター・セテラはひとまずソロでも大ヒットを出して成功しましたが、それもあまり長く続きませんでした。
さて、そろそろシカゴの「一桁」の頃のアルバムも真面目に聴き込んでゆきたいな。