◎SGT.PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND
▼サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド
☆Various Artist / The Original Motion Picture Sound Track
★サウンドトラック
released in 1978
CD-0163 2011/11/23
ビートルズの「サージェント・ペパーズ」を基にストーリーを編み出して制作された映画のサウンドトラック盤。
久しぶりにブックオフで当たりました。
昨夜、家からいちばん近いブックオフに寄ったところ、500円のコーナーにこれがありました。
帰宅してAmazonで調べると新品は3,000円くらい、HMVでも2,300円くらい、だいぶ得した気分(笑)。
僕はこれは持っていませんでした。
実はCDが出ていたことを知らなかったのです。
ということはつまり買おうと思ったことがなかったということにもなるのですが・・・
なんでだろう。
映画も観たことはありません。
そういう映画が作られたことはもちろん情報として知っていたし、アース・ウィンド&ファイアのGot To Get You Into My LifeとエアロスミスのCome Togetherはそれぞれのベスト盤で聴いていて、それらはこの映画のための曲だったことも知りました
買った以上は聴くわけですが、今朝は5時過ぎに千歳までのドライブに出かけて道中で1度聴き終わり、帰宅して今また記事を書きながら聴いています。
今回は主に道中で思ったことをまとめました。
アルバム概要ですが、もちろんすべてビートルズの楽曲で占められており、アルバムごとにみると
・SGT.PEPPER'S-11曲
・RUBBER SOUL-1曲
・REVOLVER-1曲
・ABBEY ROAD-12曲
・シングル曲-3曲 (MAGICAL MYSTERY TOUR-1曲、LET IT BE-2曲)
作曲者はHere Comes The Sunのみジョージ・ハリスン、他はレノン-マッカートニーとなっています。
いわゆる「前期」の曲はNowhere Manとアースが歌った2曲だけで、イメージとしてはやはりSGT.PEPPER'S以降ということなのでしょうね。
SGT.PEPPER'Sは全曲演奏しているかといえばさにあらず、ジョージのWithin You Without YouとポールのLovely Ritaが取り上げられていません。
前者については分かりますが、リタがないのは何かちょっと不思議な気がします。
でも映画と絡めると名前が出ているのはやりにくいのかな、映像とイメージが合わないというか。
取り上げない理由があるのであればそれで構わないんだけど、どうせなら全曲取り上げてほしかったですね。
カバー曲で僕が特に着目するのは以下の2つです。
・声がその歌手に合っているか
・リズムがどうなっているか
声が合っているかどうかは、映画ということもあって作り物っぽく軽く歌っていると感じたけど、それは、SGT.PEPPER'Sがそもそもビートルズが誰かに扮したというアイディアだから特に違和感はありません。
キーはさすがにオリジナルばかりではないですね。
僕はかつてはオリジナルとキーが違うカバー曲はかなり気になったのですが、今は普通です。
映画ではビートルズの4人の役をピーター・フランプトンとビー・ジーズの3人が演じているようですが、歌を聴くと誰が誰と決まっているわけではないようで、歌に合わせて変えています。
フランプトンはWith A Little Help From My Friendsをメインで歌い、Nowhere Manでバリー・ギブがさすがの歌声を聴かせ、Being For The Benefit Of Mr. Kite!はモーリス・ギブの名前が全面に出ていて、Oh! Darlingはビー・ジーズではなくロビン・ギブひとりのクレジットになっています。
英国の俳優ポール・ニコルスもバンドの一員として多くの曲で歌っています。
また俳優のドナルド・プレザンスもI Want You (She's So Heavy)で語りをつけていて劇的効果抜群。
サンディ・ファリーナ Sandy Farinaという女性が歌うHere Comes The SunとStrawberry Fields Foreverは声が癖もなくていいしサントラという枠内ではそつなくいい仕上がりです。
Maxwell's...はコメディアンのスティーヴ・マーティンが歌っていますが、歌ではなく語りでちょっとおかしくて怪しげな人そのものという感じで、聴く前にCDの曲目リストにその名前を見つけた時からイメージ通りでした。
これを聴くと逆におかしな人を平然と歌ってしまうポール・マッカートニーもまた恐い人だなと思ったり(笑)。
もう1曲、Becauseはアリス・クーパーとビー・ジーズ。
あの美しい曲がアリス・クーパーの語り口調の歌でなんだか穢れてしまったような印象を受けます。
バックではビー・ジーズが普通に歌っている、そのかなり前面にアリスが出ていて余計に目立ちます。
僕は、カバー曲といってもあくまでも歌う人が表現したいことなのだから、つまらない完全コピーよりはその人らしさが出ているほうを取りたいですが、でもこれは人によってはかなり抵抗感があるカバーじゃないかな。
Mean Mister Mustardなどでボコーダーが用いられているのは時代を感じますが、面白いしそれなりに効果があると思います。
リズムはディスコを経ている割にはディスコっぽさはないんだけど、でもビートルズの頃よりは時代的にもリズムが細分化されていたようで、跳ねるリズムに変わっている曲が多くて、軽いという印象につながります。
ただ、違和感があるほどのものはなく、映画のサントラとはなっから思って聴いているのでそういう風に聴こえます。
カバー曲の場合、僕は或いは声以上にリズムの違いに戸惑うことが割とあるので、その点はよかった。
ブラスも多用されていてこちらも時代を感じますね。
しかしこの中に入ると、アースとエアロスミスは際立ってよく聴こえ、ベスト盤に両者がわざわざ入れているのも納得です。
と思ってみるとこのアルバムはかのジョージ・マーティンがプロデュースしていますが、この両者の曲だけは違い、前者はモーリス・ホワイト、後者はジャック・ダグラスとジョージ・マーティンが共同プロデュースしています。
そう考えてみるとプロデューサーによる音作りの違いも分かって面白い。
なお両者とも当時はCOLUMBIA系のアーティストであるのは何か思惑でもあるのかな、このアルバムはPOLYDORだけど・・・
最後の前にビリー・プレストンのGet Backが入っているのは、1/5オリジナルですからね(笑)、ビートルズファンへの気の利いたユーモアのうれしい贈り物、もちろんビリーのエレピは軽やかに鳴り響いています。
とまあ意外とといってはなんだけど聴きごたえがあるCDでした。
歌としていいので流れてくると歌い手とは関係なく歌えばいいんですからね。
ただそうなるとやはりオリジナルとキーが違うのは少し気になりました。
しかし僕がこれを聴いていちばん強く感じたのは、やっぱりビートルズのすごさです。
これだけのアーティストがまとめてかかってひと組のバンドの曲だけを取り上げたアルバムを作るというのが、ビートルズがいったいどれだけのことをしてきたのかをまた証明したアルバムということにもなるでしょうね。
まだ映画を観たことがない以上、このCDは物語を想像しながら聴くのも楽しかったです。
スティーヴ・マーティンはきっと想像する通りの役柄なんだろうな(笑)。
DVDは多分出ていないと思う、CDを覚えていなかったくらいだからアテにならないけど(笑)、あるならぜひ買って観てみたいですね。
ほんと、このCDが500円は安い!
昨日から今日はとっても得した気分です(笑)。