エリック・クラプトン&スティーヴ・ウィンウッド札幌公演セットリスト | 自然と音楽の森

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自然と音楽の森-Nov18ECSWConcert


◎エリック・クラプトン&スティーヴ・ウィンウッド札幌公演
☆Eric Clapton & Steve Winwood

・2011年11月17日 

・札幌市「きたえーる」

2011/11/18


 昨日のコンサートのセットリストの記事です。


 エリック・クラプトンとスティーヴ・ウィンウッドは最近は意気投合しているようで、フレンドリーな雰囲気の中、全体としては余裕が感じられつつ、磨きがかかった演奏による素晴らしいコンサートでした。


 今回の僕の席は前から4列目で裸眼でステージの人の顔がはっきり見えたのはよかった、もう感激。


 僕は今年からスティーヴ・ウィンウッドを真剣に聴き始めたせいで、多分少数派(笑)、スティーヴが主な目当ての人間でした。


 ステージに上がってきたスティーヴはGパンにチェックのシャツとまったくカジュアルないでたちで、さっそうとしたなかにどこか親しみやすさを感じさせる笑顔が印象的なカッコいい人でした。
 ただスティーヴのハモンド・オルガンがある位置は僕の席とは反対のステージに向かって左側で少し遠かったのがちょっと残念。

 一方エリックは白系のシャツに黒いベストのウェスタン風の服装。
 髪はとても短く、角ばった眼鏡がとても似合っていました。


 スティーヴ目当ての僕は基本はスティーヴを見ていたのですが、やはり、コンサートが進むとエリックのほうが目立つというか、目も心も吸い寄せられるようにエリックと彼のギターを見てしまい、存在感がまるで違うことに気づきました。
 結局はエリックとスティーヴは五分五分くらいに見ていたかな。
 多分それでも僕はスティーヴの比率が高いほうだろうけど(笑)。

 スティーヴが地味ということではなく、もしエリックがいなくてもスティーヴだけでも超一流のエンターテイナーとして満足したはず。
 しかしエリックはさらにその上の存在で、大げさにいえば70億いる人間の中でも何人しかいないという本当に特別な人なのだと感じました。


 エリックはまた演奏に際しても、周りの人には見えない自分だけの世界が確かにあってそこを見て演奏している感じで、近寄り難い、近寄ってはいけない人、オーラ以上の何かを感じました。
 敢えて神々しいとは言わないのですが、そういうニュアンスかな。
 演奏は確信に満ちていて間違うという言葉が存在しない。
 僕はレコードからでは分からないその雰囲気を感じられただけでも、このコンサートの意味と価値は大きいと思いました。


 エリックは声がとてもよく出ていて、年を追うごとにほんとうに味がある歌手になったな感じました。

 スティーヴは高音は出るけど年相応という感じでした。


 エリックが使っていたエレクトリック・ギターは黒のストラトキャスターの指板がメイプルのもので、「ブラッキー」の後継ということでしょうか。
 使っていたエレクトリック・ギターはこれ1本だけでしたが、ステージの脇にはあと数本あったので、もう1本でもいいから見たかったな(笑)。


 今回驚いたというか感激したのが、スティーヴも結構ギターが上手いことでした。
 マルチプレイヤーですからね、CDのブックレットを読むと、ギターも時々自分で演奏しているのは分かっていたのですが、しかし実際に見て、これなら普通のバンドのリードギタリストとしても十分上手いです。
 でもここではエリックと比べられますからね(笑)。
 逆にいえばエリックがいるのに堂々とギターを弾いていたのは、この人やっぱり昔っから肝が据わった人なんだって思いました。
 また肝が据われるだけの大きなユーモアの心がある人だとも。
 ギターについてはエリックも、スティーヴが弾くところはスティーヴを立てて少し引いていた、そういう人でもありますからね。

 スティーヴのギターも同じストラトキャスターの指板メイプル、薄い青緑に見えたのでFenderのHPのカラーチャート表で見ると、「サーフ・グリーン」"Surf Green"という色だったと思います。


 セットリストについて、実は1曲だけ分からない曲がありました。

 いつもの言い訳ですが、僕は曲の覚えが人数倍悪いので1発で曲を覚えられないし、買ったCDもある程度以上聴かないと全曲が頭に入らず、その前に聴かなくなることも多々あります。
 思い当たる節を探してながら次々とCDを聴く度に、コンサートでの曲の印象が薄れてますます分からなくなりました。
 なのでその曲だけは分からないと書いて話します、ご了承ください。


 曲名の右のアルファベットはリード・ヴォーカルをとった人で、Eはエリック・クラプトン、Sはスティーヴ・ウィンウッドを意味します。



1. Hard To Cry Today - S
 1曲目は多分これだろうと予想していました。
 ブラインド・フェイスのアルバム1曲目でもあり、09年のMSGのライヴでも1曲目に演奏しているから。
 スティーヴはギターを持ってエリックと一緒にあの印象的なギターリフを弾いていて、こういう決まる曲はカッコいいですね。


2. Low Down  - E&S
 2曲目もMSGライヴと同じ、2人で歌う軽快にスウィングする曲。

 肩慣らしにちょうどいい感じ、聴く側も、きっと演奏する側も。


3. After Midnight  - E
 エリックほどになると多くはレコードとはアレンジを変えているのでイントロを聴いても、あれほんとにこの曲だろうかとよく思う。
 スタジオ録音の最初のヴァージョンほど速くはなく、2番目のほどゆっくりでもない自然体なリズム感のアレンジ。


4. Presence Of The Lord  - S
 この曲をこんなに早くやるとは思わなくて、腕時計を見ると19:20頃、昨日記事で予告したよりだいぶ早かった(笑)。
 一部でエリックもヴォーカルをとっていて、2人の声がシンクロしないで交錯するのがまたカッコよかった。
 スティーヴは本業のハモンドを心の底まで響かせてくれました。
 ほんとうに感動した、これぞ名曲ですね。


5. Glad
 ホンキートンク風の軽やかなインストゥロメンタル。
 スティーヴはピアノを弾いていたけどあれはホンキートンクのチューニングをしてあったのかな。


6. Well All Right  - S
 ブラインド・フェイスから早くも3曲目でバディ・ホリーのカバー。
 5曲目がこの曲のイントロ的につながっていたのが効果的。

 聴きながらこの曲は、数多あるロックのカバーソングの中でももしかしていちばんすごいカバーなのではないかと思っていました。


7. Hoochie Coochie Man  - E
 ブルーズに凝っていなくてもこれは知っていた(笑)。
 ほんとこれは大好きで僕個人的にはエリックのこの夜のベストに挙げたい。
 見ているその場でギターを弾きたくなりましたね(笑)。
 それにしてもエリックの声が究極なまでに渋くてかっこよく、この曲がエリックの声に最も合っているとも思った。


8. While You See A Chance  - S
 この曲は僕が中学生時代に「ベスト・ヒットUSA」で見て耳にしてスティーヴ・ウィンウッドという人の名前を知った思い出の曲。

 ベスト盤は持っていて曲はもちろん知っているけど、まだオリジナルアルバムを持っておらずHMVに注文中で、聴きながら先にアルバムを買って聴いておきたかったと後悔しました。
 まあそんなこと言ってもしょうがない、来週届くので。
 それはともかくアップテンポでポップで微妙に切なげな曲だけど、とっても好きな曲を演奏してくれたのはうれしかった。
 でも、会場での知名度は一桁台だっただろうなぁ・・・


9. Key To The Highway  - E
 この曲はもう無言でエリックを聴いて見るしかないでしょ(笑)。


10. No Face, No Name, No Number  - S
 トラフィックの1枚目の曲でMSGでも演奏されているけど、スティーヴのハモンドはこうした荘厳な感じの曲では無敵ですね。
 エリックのアルペジオも決まっている。


11. Crossroads  - E
 エリックはクロスロードで手に入れた魂を今や完全に人間の魂として聴かせてくれる。
 至芸、人間国宝、そんな言葉がいくらあっても足りない。
 アレンジは年相応にゆったりとしたテンポでした。


12. Georgia On My Mind  - S
 この曲はスティーヴの声にも合うしバンドのイメージに合う。
 エリックはここでいちばんリラックスしていたような気が(笑)。

 有名な曲だからか客の反応が意外とよかった。


13. Driftin'  - E
 ここからアンプラグドのスタイルで座って演奏。
 客席も座り僕もようやく座ることができました(笑)。
 僕は基本は座って聴きたいほうです。
 もちろん盛り上がる曲やアンコールは立っても構わないですが。
 UNPLUGGEDに収められたオールド・ブルーズで、エリックはこの曲を、僕が何度も演奏してきていた曲であり、それ以上にたくさん演奏されている曲だ、と紹介しました。


14.   - E
 この曲が曲名が分かりませんでした。
 オールドブルーズだと思います。
 しかしエリックのギタープレイはがこの曲が最高で、演奏後に後ろの席から「まさに神様だ」と誰かが呟くのが聞こえました。
 僕もこの曲の時はエリックのプレイをじっと見ていましたが、フィンガー・ピッキングで弦を弾く右手の指の使い方がもう、すごいとかうまいとかではなく、真似してみたいけど僕には無理、ただただ見つめているしかできませんでした。
 でも参考にはなりました(笑)。
 エリックの1/25でもいいから弾けるようになりたい。


15. Layla  - E
 エリックのギターのすごさはスティーヴももちろん分かっていて、この曲が始まる前にスティーヴが椅子に座ってエリックを見る目つきがなんだかこの人近寄り難いという雰囲気を発していて、会場にもそれが使って一部で笑い起こっていたのが面白かった。
 エリックが何かスティーヴに語りかけた後で始まったのがこの曲。
 やはりこれは演奏するんだな。
 でも僕の感触では会場の反応が思ったほど大きくなくて、やっぱりアンプラグドではないほうでやってほしかったのかな。
 僕はどちらでももちろん構わないんだけど。
 しかしこの曲での注目はスティーヴがギターソロを弾いたこと。
 スティーヴがギターが上手いと書いたけど、エレクトリックだけならまあ普通かなくらいにしか思わなかったと思うけど、スティーヴはアコースティック・ギターでもしっかり音が出ていたのがよかった。
 2人ともマーティンを使っていたと思います。


16. Can't Find My Way Home  - S
 アンプラグドの最後はブラインド・フェイスの曲。
 こうして演奏するとトラッド色が濃く出ていてなかなかいい。
 2人のギターの息がぴったりでとってもよかった。
 この曲は元々好きだけど昨夜聴いて大好きな曲になりました。


17. Gimme Some Lovin'  - S
 エレクトリック・セットに戻り最後に向けて盛り上がってゆく。
 スペンサー・デイヴィス・グループのこれを演奏してくれたのは僕としてはうれしく、いちばん声を出して歌った曲でした。
 ヴォーカルに入る前に「おぃっ」と入る元気で大きな掛け声を一緒に言っていたのは僕だけで微妙にこっ恥ずかしかった・・・
 それにしても齢17にしてこんな曲を作っていたなんてあらためてスティーヴは天才ミュージシャンなのだと思いました。
 エリックのギターはバッキングプレイもさすがに聴かせてくれて、イントロが終わって(掛け声が終わって)歌に入るところで、声が入る前のギターの音が残る部分にはしびれました。
 この曲はギターよりもキーボードの曲だと思っていたけど、エリックが弾くとまったくもってギターの曲だと分かりました。


18. Voodoo Chile  - S
 もうすごいとしか言いようがない。
 演奏のハイライトで、音の威力がこの夜でいちばんすごかった。
 僕の右側にスピーカーが天井から吊り下げられていて、右耳が聞こえにくくなっていたのが、この曲の音の大きさが僕の耳には決定打となった感じでした(笑)。
 エリックのギターはもちろんすべての楽器の音があまりにすごく、スティーヴの声がほとんど聞こえなくなっていたのは残念だけど、「ライヴ」という言葉の意味を心の底から感じ取った1曲でした。


19. Cocaine  - E
 本編最後はエリックのコンサートには欠かせないこの曲。
 この曲は最後の"Cocaine"を客も歌うというか叫びますが、半分くらいの人だったかな、唱和していたのは。

 この後バンドメンバーはみなそそくさと裏に歩いてゆきましたが、エリックとスティーヴが肩を寄せて話していたのが印象的でした。
 一見、先輩エリックが後輩スティーヴを諭しているという感じだけど、実はそれも演出だったのかもしれない、とも(笑)。


 会場はアンコールの拍手に包まれ、すぐにまた全員出てきました。


20. Dear Mr. Fantasy  - S
 最後はトラフィックの代表曲。
 ここで意外だったのがスティーヴがギターを持っていたこと。
 僕はこの曲はキーボードで聴かせる曲だと思っていたしトラフィックの曲なのでなおのこととスティーヴはハモンドと決めてかかっていたのでした。
 ギターバトルもなかなかでしたね。
 スティーヴが上手いと思ったもうひとつが、エリックとのバトルも無難にこなしていた、それ以上に聴かせてくれたことでした。
 スティーヴは"Dear Mr. Fantasy"と歌う部分の"Fan"の音が高くなる部分で1か所だけ音が外れていたのはご愛嬌。
 この曲を聴けたのはにわかスティーヴにわかトラフィック・ファンとしてはうれしくて、にわかを卒業するであろう今後の人生においてむしろこれが聴けたのはよかったと思うでしょうね。


 ここでメンバーが横一列に並んで肩を組み客席に向かって深く3回おじぎをして会場が盛り上がり、そのままメンバーは裏に消えました。

 当然またアンコールを求める拍手が起こり、僕はきっともう1回出てくるはずだと思っていました。

 というのも昨夜はメンバー紹介を一切していなくて、これはおかしい、そうかもう一度出てくるということだなと思っていたから。
 しかし残念ながら客電が明るくなりウグイス嬢の場内放送が入り、コンサートはほんとうに終わったようでした、残念。
 なんだか昨夜は今まで以上にそこで終わったのが残念でした。


 ということで2人以外のメンバーを紹介します。
クリス・ステイントン Chris Stainton (Key)
ウィリー・ウィークス Willie Weeks (Bs)
スティーヴ・ガッド Steve Gadd (Ds)
ミシェル・ジョン Michelle John (BV)
シャロン・ホワイト Sharon White (BV)
おなじみのメンバー。
 スティーヴ・ガッドが生で見られたのは付加価値大ありかな(笑)。


 

 終わってから地下鉄の中でふと思ったこと、あくまでも個人的な見解。

 

 昨夜のコンサートの客の多くは「体験」として自らも参加するというよりは、エリックの職人芸を「鑑賞」するという感じだったのかもしれない。

 曲の話でも書いたけど、LaylaとCocaine、ついでにGimme Some Lovn'への客の反応でそんなことを感じました。
 もちろん、聴き方、楽しみ方は人それぞれだから僕はどちらがどうとこれ以上話すつもりはありません、

 実際、「鑑賞」するという意味でもエリックはとても素晴らしかったし、本人だってもはやそういう意識がないことはないでしょうから。


 日本ツアーの最初の札幌公演だからまだ調整段階かなと思わなくもないけど、でもやる以上はそういうことは一切感じさせない、本気で真剣でかつ余裕があるステージでした。
 エリックの声がよく出ていたのは逆に初日だからかもしれないし。
 しかしセットリストは変わっていくだろうし曲も増えるかもしれない。
 僕としては大好きなForever Manを聴けなかったのが残念だけど、でもそれは不満ということではありません。

 とっても素晴らしいコンサートでほんとうによかった。


 あらためて、札幌に来てくれてありがとう!



 なお、この記事は、昨日のコンサートが終わった時刻の頃に上げています。